ハイレスポンスな540馬力と驚異の空力ボディで勝負!
UKタイムアタックシリーズチャンプマシン
「10年の眠りから目覚めたBNR34」全盛期の風を感じさせるフルチューン仕様
このGC8は、イギリスでスバル車チューナーとして高い評価を得ている“ZENパフォーマンス”のデモカー。UKタイムアタックシリーズで、シリーズチャンピオンに輝いたこともある生粋のレコードブレイカーだ。
心臓部は22Bのクローズドデッキ化されたシリンダーブロックをベースに、EJ25用クランクシャフトにワイセコの鍛造ピストンとコスワースのH断面コンロッドを組み合わせて2.3L化。ヘッドにはZENオリジナルのハイカムを組み込んで高回転域のパワー追従性を引き上げている。
タービンはオリジナルのEXマニを介してギャレット製のGT40Rをフロントマウント。サイズ的にはGT3540とTO4Zの中間に位置する風量とのことで、現状は540psを出力させている。ECUはフルコンのオートロニックSM4が担う。
インマニはGC8前期を使用。マニとポートの形状が違うため、変換アダプターをかませて装着している。前期マニは加工によりコレクター容量を大きくできるメリットがあり、ヨーロッパで作られるラリーカーなどでもよく使う手法なのだとか。
冷却系には、水とエタノールを50:50の比率で混合した液体をインマニから燃焼室に噴射することで燃焼室温度を下げるウォーターインジェクションを採用。ノッキング防止に大きな効果があるため、同社では積極的に導入しているチューニング法とのこと。
エキゾーストはフロントサイドから排出。排気系が短いだけに超爆音仕様かと思いきや、バンパー内に大型タイコが収められていて驚くほど静かなボクサーサウンドを奏でていた。
サスペンションはZENのEXE-TC RS04車高調でセットアップ。ブレーキにはストップテック製の4ポットキャリパーに330mmローターの組み合わせだ。取材時のタイヤは、プロクセスR888だった。
スパルタンにまとめあげられた室内。メーターはAMIのマルチロガーで集中管理する。ダッシュボードには反射防止でスウェード風の電着塗装が施されているのも特徴的だ。ミッションはPPGの5速シーケンシャルドグを搭載し、エクセディのトリプルプレートカーボンクラッチを組み込む。
ロールケージはフル溶接留めのスペシャル。完全なる2シーター仕様と割り切ったバーのレイアウトが圧巻だ。
エクステリアはいかにもサーキットスペック的なメイキングが施されているが、このマシンのコア技術はフロア周りだ。フロントからリヤまで、合板を使って完全にフラットボトム化されているのだ。ちなみに、エキゾーストをリヤまで這わせなかった最大の理由も「フラット化の妨げになる」からだったりする。
一見すると、どこにでもいそうなサーキットチューンドだが、その実は、パワースペックから空力まで全てのパートにUKチューナーの拘りが詰め込まれた、非常にハイレベルなJDM仕様なのである。
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