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新型スープラ独占取材 Part.1「GR 開発チーフエンジニア 多田哲哉氏 同乗インタビュー」【動画レポート】

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新型スープラ独占取材 Part.1「GR 開発チーフエンジニア 多田哲哉氏 同乗インタビュー」【動画レポート】

GR Supra

GR スープラ

「グッドウッド 77th メンバーズ・ミーティング」レポート! 今年も名車&名マシンが激走!

一般道のテストに使われたのは、マルセイユ付近

2019年初春のとある日、筆者は南仏の街マルセイユに向かった。実はそこから小一時間ほど走ると、GRスープラの開発に使われた一般道のテストルートがある。目指したのは、まさにその開発の際に拠点としていたという某ホテル。そしてここで落ち合ったのはGazoo Racing Company GR開発統括部チーフエンジニア スープラ開発責任者の多田哲哉氏であった。

GRスープラ独占取材のPart.1は、自らが開発したGRスープラのステアリングを握る多田チーフエンジニアの助手席に乗り込んでの同乗インタビュー。テストルートへ向けてクルマを走らせながらまずうかがったのは、今回、徹底的な公道テストを主体としてクルマを開発した理由だ。

「一般道は、路面のバリエーションが圧倒的に多いんです。今回はアンジュレーションが複雑で、路面にも種類があるような道を選んで、そこを延々と走ってクルマを熟成したんです。フラットなサーキットみたいな所は、ボディをしっかり作って、あとはタイヤを選べば、どんなクルマでもそれなりに走るんです。でも路面が荒れていたりアンジュレーションが複雑だと、インプットをうまくいなしながら、いつもタイヤが路面にくっついて、しっかり路面の手応えをステアリングで感じながら走れるようにするのは難しい。そういう性能の熟成は、もちろん簡単ではなかったんですけど、(おかげで)いいところに来たかなと思います。」

公道テストは日本では様々な事情でさほど一般的ではなく、イメージも湧きにくい。正直、筆者自身もたとえば箱根のワインディングロードのような所を、それなりのペースで飛ばすくらいで・・・と想像していたのだが、実際にテストルートを訪れ、開発のメインドライバーを務めたTME(トヨタ・モーター・ヨーロッパ)のテストドライバー、へルフィ・ダーネンス氏の助手席を体験すると一瞬で目が覚めた。

超ハイスピードで操るテストドライバー

道の起伏、路面の荒れ具合は半端なものではなく、またバリエーションに富んでいるし、コーナーは大小様々。道は狭くブラインドコーナーも多いのに路肩に余裕はほとんど無く、しかも対向車だって居る。そんな中をダーネンス氏駆るGRスープラは、とんでもないスピードで駆け抜けるのだ。

いくら何でも、これは・・・と言いかけたが、考えてみれば前方はるか遠くに居るクルマはなかなか距離が近くならない。つまり同じようなペースで飛ばしているのだ。すべてのクルマがそうではないが、実際に普通のドライバーが高い速度域でそこを走らせているわけで、決して非現実的なことをやらかしているわけではなさそうである。

「最初は日本から来たテストドライバーも全然ついていけなかったですよ。しかもね、そうやって走らせているのに追い抜いてくる一般のドライバーだって居るんですよ!」

ヨーロッパで戦えるクルマを作るには、道自体もそうだがペースもまた日本で想像するのとは圧倒的に異なる領域を見なければならない。それが公道を主な舞台とした理由だ。

「それに一般の方が走るのは、サーキットなんて実は一瞬ですよね。大半が一般道を走るわけで、そのステージでいかに気持ち良く楽しくクルマと対話しながら走れるか。それがスポーツカーの一番大事なところだと思うんですよ」

GRスープラのボディ剛性はあのCFRP製ボディを使っていたレクサスLFAをも凌ぐレベルにあるということがすでに明らかにされている。実は、それもこうして一般道で開発を進めていくうちに到達した領域だという。

「シミュレーションでは、86の5割増しくらいの剛性で十分だと思っていたんですが、実際に荒れた道で走ると、フィーリング上、FR車の乗り味を決めるリアのトラクションがうまく出ないんですよね。それでドライバーの感覚でどんどん熟成して、最終的にそこまで来たんですね」

実際、ダーネンス氏の運転スタイルを見るとステアリング入力は割りと速く、大きめ。すぐにリアタイヤの横力を引き出すような走りだったから、この方向はなるほど納得である。

この驚異的なボディ剛性のキーとなっているのが、極太のサイドシル(ロッカー)だ。当然、これは乗降性とバーターで、トヨタ基準では本来通らない太さだという。

「走りだけを純粋に追求すると、それでは足りないんです。ポルシェも当然広いんですけど、それでも足りないとなって、スーパーカーの世界に限りなく近い幅になっています。」

こうして車体の低い部分で剛性を稼ぐ構造は、同時に重心高の低下にも繋がっている。まさに一石二鳥である。

ニュートラルステアをキープできる仕上がりに

では、このようにして目指したスープラの走りとは果たしてどんな世界なのか。そして、それはどの程度達成できたのだろうか。

「よく言う『ドライバーの意のままに走る』というのは、ステアリングを切るとしっかり曲がって、トラクションかけたいときにちゃんとかかる、止まるという当たり前のことなんだけど、当たり前のことがなかなか難しいんですよね。そういうことを、ライバルを研究しながら、更にその先を目指して作ってきたんです。色々な路面入力のある、色々なアールのコーナーで、ターンインから脱出までいかにニュートラルステアを保って、いかにクルマが暴れないように路面に吸い付いて走るかを、こういう一般道で煮詰めたことで、想定されるありとあらゆるシチュエーションで、いわゆるニュートラルステアがキープできるクルマになったと思います。まさにボディスーツを着て走ってるみたいな感じを、皆さんに味わってもらえると思います」

もうひとつ、多田チーフエンジニアがこだわったのがサウンドだ。GRスープラには4気筒モデルもあるが、メインはやはり直列6気筒である。

「エンジンの音は本当にいい音に作り込めたと思います。騒音規制や排ガス規制のレギュレーションにミートしながら、いわゆるスポーツカーらしいエキサイティングな音をいかにうまく出すか。ここはね、本当に大変でした。スカーンと抜けていくような直6の独特の音。皆さんにぜひ早くハンドルを握っていただいて、この音を聞いてほしいですね」

今回は、あくまでもベースバージョン

最後にGRスープラの将来像について聞いた。おそらくは10年近い長いスパンで販売されることになるだろう、GRスープラ。ラインナップの追加や進化の方法については86の経験が大いに活かされているようだ。

「あくまで今回はスープラのベースバージョンを発売したっていう思いなので、どんどん進化バージョン、色々なところのアップデートパーツを開発して、毎年新しいスープラがお客様のもとに届けられるようにしたい。そして当然、新しいバージョンを出せば、パーツも単体でお買い上げいただけるようにして、最初に買ったお客さんも自分のスープラを進化させていけるように考えています。一番最初にこのスープラを認めてくれて買ってくれたお客様って、一番大事なお客様じゃないですか。なのに次の年にアップデートすると、古くなったように思って、いやですよね。できるだけそういうお客様を一番リスペクトして、いつも最新のスープラにお乗りいただけるような工夫は、忘れてはいけないと思うんですよ」

GRスープラ独占取材の第一弾は、ここまで。引き続きPart.2、Part.3まで用意しているので、ぜひ楽しみにしてほしい。

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)

PHOTO & MOVIE/宮門秀行(Hideyuki MIYAKADO)

Special Thanks/トヨタ自動車株式会社

https://www.youtube.com/watch?v=u1qa3HydLJw

【SPECIFICATION】
GR スープラ RZ
ボディサイズ:全長4380 全幅1865 全高1290mm(社内測定値)
ホイールベース:2470mm

トレッド:前1594 後1589mm

エンジン:直列6気筒DOHCツインスクロールターボ
総排気量:2998cc

最高出力:250kW(340ps)/5000 – 6500rpm
最大トルク:500Nm/1600 – 4500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD

サスペンション形式:前ダブルジョイント スプリング ストラット 後マルチリンク

0 – 100km/h加速:4.3秒

GR スープラ SZ-R
ボディサイズ:全長4380 全幅1865 全高1290mm(社内測定値)
ホイールベース:2470mm

トレッド:前1594 後1589mm

エンジン:直列4気筒DOHCツインスクロールターボ
総排気量:1998cc

最高出力:190kW(258ps)/5000 – 6500rpm
最大トルク:400Nm/1550 – 4400rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD

サスペンション形式:前ダブルジョイント スプリング ストラット 後マルチリンク

0 – 100km/h加速:5.2秒

GR スープラ SZ
ボディサイズ:全長4380 全幅1865 全高1295mm(社内測定値)
ホイールベース:2470mm

トレッド:前1609 後1616mm

エンジン:直列4気筒DOHCツインスクロールターボ
総排気量:1998cc

最高出力:145kW(197ps)/4500 – 6500rpm
最大トルク:320Nm/1450 – 4200rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD

サスペンション形式:前ダブルジョイント スプリング ストラット 後マルチリンク

0 – 100km/h加速:6.5秒

【問い合わせ】

トヨタ自動車

TEL 0800-700-7700

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