ディーゼル・プラグイン・ハイブリッド登場
text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
【画像】EクラスのディーゼルPHV、「E 350 de」【実車】 全24枚
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)
個人的には、クルマの未来が電気自動車となるのは間違いないと考えている。と言っても、10年20年程度で電気自動車が一般化するとも思えない。内燃機頼りが当分は続くわけだが、だからこそ内燃機の効率向上も必須。効率限界に向かって開発も留まることを知らない。
そんな来るべき電気自動車の時代と内燃機車最終ステージの“糊代”となるのが「今」である。Eクラスに新たに追加された「E 350 de」は電動/内燃機糊代の時代を象徴するモデルと言っていいだろう。
パワートレインの形式は外部充電可能なパラレル式ハイブリッド、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)と呼ばれるタイプである。
内燃機駆動を基本にするパラレル式ではエンジン/ミッションの性能が重要。「E 350 de」は40.8kg-mの最大トルクを発生する2Lディーゼルと9速ATを組み合わせる。
ちなみにエンジンの基本スペックは「E 220 d」と共通。最高出力を基準にNAガソリン・エンジン相当で名付けているため「220」となっているが、最大トルクならば4L級に匹敵する。なお、ガソリン・エンジンを核に同システムを採用した「E 350 e」も同時発表されている
急速充電 非対応
電動系は90kW(122ps)の駆動/回生用モーターと、13.5kWhの走行用リチウムイオン・バッテリーを採用。
バッテリー容量はプリウスPHVの約1.5倍にもなるが、2t超の車重を考慮するなら余裕とも言い難く、WLTP欧州参考値による満充電時の電動走行距離は50km。
PHVでは標準的な値であり、「プラグイン」の主目的はハイブリッド車が苦手な暖機稼働などで燃費が落ちやすい短距離用途での効率改善を考えた設定である。
外部充電機構は普通充電のみの対応。無償提供される交流充電器の容量は6.0kWであり、200V/30Aで最長2時間半での充電が完了する計算だ。急速充電に対応していないのはスペック面の気になる部分だが、現実を見据えた設定でもある。
30分以上掛けて50km分を稼ぐのは時間的には非効率。また、急速充電スタンドの利用料金は時間当たり課金が基本。使い放題契約でなければ電気自動車に比べてバッテリー容量の少ないPHVは経済性でも非効率である。
このように効率面で内燃機車をリードするディーゼルに、電気自動車の要素技術を盛り込んだPHVを合体させたのが「E 350 de」なのだ。
どんな感じ?
ディーゼル×PHVで先進感ばりばりの先鋭的エコモデルというオチにならないのがベンツ車らしい。
「E 350 de」はあくまでもEクラスの上級モデル。もう少し言えば、これまでAMG要素とパワースペックに引っ張られていたベンツ的プレミアム性とは別志向の新たなプレミアム性をPHVが付与。コンフォートというか大人っぽいプレミアム感である。
試乗した時に第一に感じたのは静かさ。電動走行だから静かなのではない。エンジンを稼働し続けて走行し、バッテリー充電を行う「チャージ」モードで走らせていてもエンジン音は静かである。
ただし、感心させられたのはエンジン音の静かさではない。
エンジン騒音もその要素の1つだが、どのような走行状態でも騒音の質感が変わらないのが最も印象的だった。
乗り心地 FR系ベンツでも特筆
電動/内燃機/電動パワーアシストなどパワートレインの稼働状態は状況によって異なる。それに応じてパワートレインまわりの騒音は音量・音質ともに変化するのだが、「E 350 de」はその変化が少ない。
さらに言えば、パワートレインまわりが無音に近くなるほど目立つロードノイズにしても然り。路面舗装状態による音量・音質の変化が抑えられている。
ロードノイズは変化が大きいほど薄っぺらな印象を与えるため、電動走行時の走りの質感向上の要点の1つ。外部騒音の遮断も同様。結果、電動から加速まで定量的な静けさを維持できる。
静かさを強調すると、いつでも無音走行と誤解されそうだが、アクセル操作や走行速度を感じるために必要な音は聞き取れるし、エンジン稼働をタコメーターで確認する必要もない程度はある。音楽を聴いたり、会話が盛り上がるとそれも消えてしまうのだが……。
乗り心地は重質。FR系ベンツ車すべてに共通するが、その中でも重質。
重さを感じさせるゆったりとしたストローク感。しっとりとした沈み込みと据わりのよさ。ストローク量も程よく抑制されている。エアサスに比べると低中速域では腰の強さが先行した感じだが、コイルサス仕様では最もどっしりとした乗り味を示す。
全開加速は?
運動性能は、部分的な電動アシストを活かしたアクセル反応の素直さや、巡航ギア維持能力が特徴。全開時の高回転域の加速の伸びもよく、ディーゼル車とは違った加速の心地よさも味わえる。
電動からエンジン稼働走行への移行はスムーズであり、電動走行上限をペダルフィールに“ノッチ感”を与えてそれとなくドライバーに示すのも好感。
ただ、PHVとしては電動優先の「E」モードでも電動でカバーできる領域は限られ、登坂加速などで負荷が大きい状況ではエンジン稼働の頻度も高まる。「E」モードと「ハイブリッド」モードの差異はエンジン稼働のタイミングの違い。「E」モードはタウンユースや郊外路走行に合わせた電動優先制御とも言える。
穏やかで神経質な操舵を必要としない操縦性。サイズや重量をあまり感じさせない取り回し感覚。機能面だけでなく、渋滞路などで助けて欲しいところで使える運転支援機能と現実的な視点の安全装備。
最高水準の安全&運転支援機能など、Eクラスに共通する魅力はそのまま、もしくは上乗せ。エコのアドバルーンではなく実践力の高さが一番の魅力だ。
じつは、戦略的な価格
3.5LのV6ハイブリッドを搭載するクラウンRSアドバンスの価格は約703万円。「E 220 dアバンギャルド」にAMGラインを装備すると約815万円。「E 300アバンギャルド・スポーツ」は871万円。
と並べれば、「E 350 deアバンギャルド・スポーツ」は1000万円近くでもおかしくないが、875万円である。
「ベンツ車に掘り出し物なし」とよく言うものの今回の「E 350 de」は例外かもしれない。パワートレインのスペック基準で定まった「350」には相応の価格設定だが、PHV分の上乗せ分がない。かなり戦略的な値付け、つまり買い得感が高いのだ。
一般的にハイブリッド車と標準エンジン車の価格差を燃費で埋めることは、余程のヘビーユーザーでないと難しい。PHVとなれば尚更である。
ところが「E 350 de」は標準エンジン車とさほど変わらない価格設定である。
23万円安、E 350 eの存在
燃費でどれほどの優位性があるかは現時点では不明だが、アドバンテージの大小の問題でしかなく、燃費がいい分はそのまま経済的なメリット。しかも運転感覚や快適性の質感も高まっている。
コスパも考えながらEクラスで何を選ぶべきか問われたなら、迷わずPHVと答える。問題は、それがディーゼルか、ガソリンか。
ガソリンPHVの「E 350 eアバンギャルド・スポーツ」は852万円。価格差は23万円である。
「E 350 e」が未試乗のため、総合的な性能を比較することはできないが、燃料代を考慮するなら一般的なユーザーでも価格差は十分に回収可能。たぶん、どちらを選ぶかは内燃機タイプの好き嫌いが決め手になるのだろう。
E 350 deアバンギャルド・スポーツ スペック(欧州仕様値)
価格:875万円
全長:4923mm
全幅:1852mm
全高:1475mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:-
CO2排出量:-
車両重量:-
ドライブトレイン:1950cc直4ディーゼルターボ+モーター
使用燃料:軽油
最高出力(エンジン):194ps/3800rpm
最大トルク(エンジン):40.8kg-m/1600-2800rpm
最高出力(モーター):122ps
最大トルク(モーター):44.9kg-m
ギアボックス:9速オートマティック
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