一部改良を受けたアルファロメオの高性能セダン「ジュリア クアドリフォリオ」に小川フミオが乗った!
衝撃的な操縦性
スポーティなセダンとして、これはホンモノだ! と、太鼓判を押したいのが、アルファロメオの4ドアセダンであるジュリアだ。ラインナップの頂点にあるクアドリフォリオがさらにスポーティになって、2023年11月から日本でも発売されている。
スタイリングはオーソドクスなプロポーションで、いってみれば端正。アルファロメオ伝統の盾型のグリルをそなえたスタイリングが美しい。くわえて375kW(510ps)のハイパワーと(おまけに)高価格。戦前のアルファロメオって、そんな限られたひとのためのクルマだったのを彷彿とさせる。
ジュリアという名前は、1962年に最初の箱型セダンに採用され、そのあとスパイダーやクーペが登場し、世界的な人気を集めた。アルファロメオにとって、戦後のもうひとつの黄金期を連想させる。
実際、最新のジュリアセダンは、たんにレトロスペクティブでロマンチックなクルマにとどまっていない。2015年に懐かしの車名で復活したとき、なんて素晴らしい操縦性をそなえたクルマなんだろう! と、私はいたく感心した。
このとき、アルファロメオがラインナップの頂点に設定したのが、パワフルなクアドリフォリオ。2891ccのV型6気筒ガソリンターボエンジンは、フェラーリが開発に携わったとされた。すごいのはエンジンだけでなく、シャシーもだ。腕におぼえがないとスピンしそうなダイレクト感満載の操縦性は衝撃的だった。
2023年のマイナーチェンジで、アルファロメオはスポーティネスをさらに高めるとして、後輪の差動装置にメカニカルLSD(リミテッドスリップディファレンシャル)を採用。従来のトルクベクタリングよりダイレクト感があって、信頼性が高く、サーキット走行におけるステアリング特性が好ましいとされる。
あいにく、今回の市街地での試乗では、そこまでの性能を体験するチャンスに恵まれなかった。でも、加減速や操舵におけるクイックさは堪能できた。パワフルなだけでなくよくまわるエンジンと、鋭いハンドリング性能はなによりの魅力で、かつて“BMWが作るべきはこんなクルマ”と、言った仕事仲間の言葉を思い出したほど。
LSDが入っても、駐車場など狭いところでの切り返し時に、“ガッガッガッ”なんてギクシャクした動きもない。取りまわしが影響を受けることもなく、日常的な使い勝手もよい。
4ドアのスポーツカー「D.N.A.」と名付けられたドライブモードセレクターで「D(ダイナミック)」を選ぶと、“4ドアのスポーツカー”と呼びたくなる、このクルマのもっともおいしいところが味わえる。「N(ナチュラル)」も悪くないけれど、路面に張り付くような走行感覚こそ、ジュリアの最大の魅力だとよくわかるはず。
今回のマイナーチェンジではくわえて、12.3インチの「デジタルメータークラスター」が採用された。表示レイアウトが変えられ、エンジン回転計がはっきり見えるモードも選択可能。このクルマを買うひとには嬉しいかもしれない。
さらに、内装ではカーボンファイバーのパネルが新しくなった。“3D仕上げ”といい、従来と較べ炭素繊維の織り目が立体的に表現されたのが特徴だそう。こういう“小わざ”もアルファロメオ好きにとってはけっこう嬉しいはずだ。
ジュリア クアドリフォリオの特徴は、素のよさだろう。ドイツの競合がデジタル化を推進して、ドライブモードに合わせて車内の音や照明での演出を図るなど、ある種のエンターテインメント化が進んでいるのに対して、ジュリアは操縦性というクルマの基本を守って、ほかは必要最低限。
乗ると「それでいいんだ」と、説得力を感じる。そこが大きな特徴だ。価格は1357万円と、冒頭で触れたとおり、かつてアルファロメオはレース好きの富裕層のためのクルマづくりをするメーカーだったことを思い出させるもの。
あとは、ブランドが、宣伝などを通してこのクルマの価値を一般に周知させるべきだろう。「あ、知ってる。すごいクルマに乗っているね!」と、周囲から言われてこそ、ユーザーのプライドはくすぐられるものだから。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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