■「ホンダでも存在感のあるブランドを作りたいと思った」
2024年9月24日~9月30日の7日間、ホンダウエルカムプラザ青山(東京都港区)にて、Modulo(モデューロ)ブランドの30周年を記念した「Modulo 30th Anniversary 特別展示」が実施されました。期間中に行われた、Modulo開発アドバイザーの土屋圭市氏らによるトークショーの様子も交えて紹介します。
【画像】Modulo 30th Anniversary 特別展示/トークショーの様子をもっと見る(23枚)
ModuloはHonda車専用の純正アクセサリーの開発を行うホンダアクセスが手掛けるHonda純正のカスタマイズブランドで、1994年にアルミホイールブランドとして誕生。1999年からはエアロパーツの展開を始めました。誕生以来30年にわたって、ホンダアクセスの技術革新をけん引してきたブランドです。最新のHonda純正アクセサリーにもModuloの技術がフィードバックされ、Honda車の魅力をさらに引き立てています。
特別展示の会場では、初代NSX誕生から20周年を記念して2011年に開発されたトランクスポイラーとスポーツサスペンションを装備したNSX Modulo仕様(1999年モデル)や、より快適な走行性能を目指してModuloエアロパーツを装着したS2000、さらにModuloブランドの始まりとなったアルミホイール「Modulo ツーピース5本スポーク(1994年)」など、さまざまな展示が行われていました。
特に印象的だったのは、Moduloの誕生から30年という節目にあたり、これまでの技術の軌跡を振り返る展示内容です。来場者は、過去のHonda車に込められたエンジニアの情熱やその進化の過程に触れ、日本国内だけでなく、海外からのファンも足を止め写真を撮る姿が見られました。
9月29日には、レーシングドライバーでありModulo開発アドバイザーの土屋圭市氏、モータースポーツアナウンサーのピエール北川氏、カーライフジャーナリストのまるも亜希子氏、ホンダアクセス元Modulo開発統括の福田正剛氏、そしてシビック用テールゲートスポイラー開発者の山崎純平氏が登壇し、トークショーが行われました。
“ドリキン”という愛称で親しまれている土屋氏は2008年にModulo開発アドバイザーに就任し、シビックタイプR(FD2)から開発に携わった当時のエピソードを披露。「トヨタのTRDや日産のNISMOのように、ホンダでも存在感のあるブランドをつくりたいと思った」と語り、開発時の印象的な出来事として「ホンダアクセスの開発陣は数字に頼らず、しつこいくらいに走り込みをしていた」「一度のテストでダンパーが5種類も出てくる。クルマは計算上の数字が良くても、実際に走らないと良しあしがわからない。走り込むことは重要」と、その徹底したこだわりぶりを明かしました。
元Modulo開発統括の福田氏は「Moduloのパーツは、つけていない時とつけた時で普通の人も違いがわかるように造ります。10人中5人しか違いがわからないようなパーツは世に出さない。Honda車の質感と乗り心地をさらに高めることが、Moduloの役割です」と語りました。
■タイプR超え!? シビック用「テールゲートスポイラー(ウイングタイプ)」
トークショーのクライマックスは、シビック用純正アクセサリー「テールゲートスポイラー(ウイングタイプ)」の開発秘話の披露です。開発を手がけた山崎氏は、18歳で埼玉県ふじみ野市にあるホンダの自動車大学校「ホンダテクニカルカレッジ関東」に入学し、卒業後はそのままホンダアクセスに入社。以来、さまざまな開発に携わってきたとのことで、山崎氏は「シビックタイプRを超えるウイングを造ることを心に決めており、街中でタイプRと並んだときに負けないものを造り上げる使命感がありました」と、その開発への熱意を語りました。
このシビック用純正アクセサリー「テールゲートスポイラー(ウイングタイプ)」は、航空機のジェットエンジンカバーに見られるギザギザ状の「鋸刃(シェブロン)形状」を取り入れたもので、これにより日常の速度域でも体感できる空力効果である“実効空力”を実現。装着すると走行音が驚くほど静かになり、コーナリング時の操縦性も向上し、車両の安定性がさらに強化されると言います。
開発現場の映像が会場で流されると、土屋氏が雨の中でドリフト走行を披露したシーンや、激しい凹凸のある道を時速160kmで駆け抜けるテスト走行の映像に、観客から「こんな走りができるのか!」といった驚きの声が上がりました。
このシビック用「テールゲートスポイラー(ウイングタイプ)」は、2024年11月中旬に正式発表が予定されています。
最後に土屋氏は「ホンダアクセスはまさに職人集団ですね。テスト走行にはモデラーやデザイナー、役員まで乗りに来るというから驚きです」と感慨深く語りました。
また、今後の展望について問われると「質感や乗り心地をさらに高められるよう、アドバイザーとして全力でサポートしていきます」と意気込みを見せていました。
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