11月24日、スズキは10月2日に行われた一部改良でラインナップから外れていたワゴンRの5MT車を設定し、発売した。この一部改良ではMT車が設定されなかったことから「なんでMTをなくしちゃったの?」とSNSなどでは嘆く声も多く聞かれた。そこで、軽自動車のMT車にスポットをあて、軽自動車で走って楽しいおススメのMT車を紹介していこう。
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部、ホンダ、スズキ、ダイハツ
祝ワゴンRにMT復活! 軽自動車のMTってライトウエイトスポーツカー並みに楽しいゾ!
■ワゴンRのMT車がラインナップから外れるも約1カ月で復活
ワゴンRのMT車
10月2日、スズキはワゴンRシリーズのCVT車の一部改良が発表され、この際、法規対応に伴う一部仕様変更としてリアパーキングセンサーの作動表示灯をメーター内に追加した。と同時にラインナップからMT車がなくなっていた。
その後、11月13日、ワゴンRの5MT車が発表され、また仕様変更や原材料価格高騰などによって車両本体価格も7万7000円アップ。FX、2WDの5MT車が129万4700円、4WDの5MT車が141万7900円。
ハイトワゴンの代表、ワゴンRのMT車がまだ生き残っているのは褒めるべきだと思うし、昔からのマニュアル派の人にとっては嬉しいかぎり。
さて、今回は、走って楽しい軽のおススメMT車を紹介していこう
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■ホンダのこだわりが凝縮したN-ONE
N-ONE「RS」/クリスタルブラックパール
かつて軽自動車のMTスポーツといえば真っ先に挙がるのがアルトワークスだったが、残念ながら2021年11月にいったん生産終了してしまった。このアルトワークスのよきライバルだったのが、ホンダN-ONE RSである。
N-ONE RSの6MT車のシフトフィールがカチッとしていてダイレクト感があり、とにかく気持ちいい。もちろん、コンパクトカーに比べると660ccターボなので絶対的なトルク感が乏しいが、ヴォン、ヴォーという音を奏でながらめいっぱいエンジンを回し、矢継ぎ早にシフトチェンジするこの感覚はどこか懐かしい。
小排気量でパワーとトルクを出しきるため、ギアレシオをS660と同じくクロスレシオ化。ワインディングでは小気味よく軽快に、高速クルージングも快適に楽しめる。
N-ONE RSのコクピット。シフトノブはS2000ベースの専用デザインというこだわりはホンダならではのもの
少々マニアックになってしまうが、2速にダブルコーンシンクロ、3速にはカーボンシンクロを採用。1速から2速、2速から3速へのシフトアップ操作力を低減させ、ショートストローク化との両立に寄与している。操作のしやすさを追求したインパネシフトノブは、S2000ベースの専用デザインというホンダのこだわりもにくい。
N-ONE RSの6MT車の価格は206万2500円。新型N-ONEの月販目標台数はわずか2000台。N-BOXやN-WGNが1万台以上売れているのに対しては、相当に控えめな数字だが、ホンダ広報部によると、「新型N-ONEを求めていたお客様へきちんと届けることが目的」だという。
なおMT比率は当初、2割弱と想定していたとのことだが、実際には3割以上に達しているという。新車でMT車を購入する顧客が、まだこれほどいるというのは驚きだ。
このN-ONEに乗れば、50代いや60代以上のおじさんが若かった頃のホンダN360やNIIIを思い出すに違いない。若かった青春時代にもう一度戻りたいと思ったらぜひ!
■コペンセロ/コペンGR SPORT
写真右のコペンGR SPORTは専用フロントバンパー「Functional MATRIX」を装備している。写真左上はコペンセロ
2023年のジャパンモビリティショーで1.3Lのコペンが発表され、再注目されているダイハツコペン。現行の2代目は2014年6月にフルモデルチェンジしている。セロ、ローブ、GRスポーツ、エクスプレイ、この4つのグレードを揃えており、アクティブトップと呼ぶ電動格納式ハードトップを採用しているのが最大のポイント。
フロントに収まるパワートレーンは、660ccの3気筒ターボエンジン(64ps/9.4kgm)。吸気バルブの開閉タイミングを最適化する「DVVT」を採用しており、低回転から力強いトルクが得られ、街中から高速まで無駄なくパワーが引き出せるようにセッティングされている。トランスミッションは5速MTと7速スーパーアクティブシフト付きCVTの2種類。
車体剛性についてもコペン専用に新開発した骨格「D-Frame」は、骨格だけで強度を担保できる構造になっており、フロア下トンネル部やクロスメンバーなどにも補強を行ったことで、初代コペン比で、ボディ上下曲げ剛性3倍、ボディねじれ剛性も1.5倍(ともにダイハツ調べ)と、飛躍的に剛性がアップ。その結果はもちろん、操縦安定性と乗り心地の向上につながっている。
骨格で剛性を確保したので、内外装を着脱してカスタムする構造「DRESSFORMATION」も実現できた。外板の11部品の樹脂パーツを入れ替えることで、購入後でも個人の好みに合わせたデザイン、カラーの変更ができる。
交換可能な樹脂パーツは、フロントフード、ラゲージ、フロント/リアバンパー、フロント/リアフェンダー(左右2個)、ロッカー(左右2個)、フューエルリッドの11部品だ。
しかもシャシーパーツには、ウレタン製のバンプラバーまで採用し、早当て化によりストローク短縮と乗り心地の両立、車両姿勢の安定化を図った。もちろん、コペンの象徴である、約20秒でフルオープンとなる「電動開閉式ルーフ」は継承している。
2019年秋にはトヨタGAZOOレーシングとともに開発したGRスポーツも加わった。GRスポーツはボディにブレースを追加して剛性を高め、ダンパーもKYB製のスペシャル品とした。だからオープンにした時でもボディはしっかりしているし、サスの追従性もよくなっている。
コペンのMT車の価格は、ローブ、X-PLAYが188万8700円~、セロが194万3700円、GRスポーツが238万2200円。200万円前後でここまでスペシャルな軽が手に入るのは素晴らしい。
■車中泊もできる軽商用バン、N-VANは走っても楽しい
商用バンのMT車ではN-VANがおススメ
ここからは軽商用車のMTにも目を向けてみたい。商用車のMTだからといって馬鹿にしちゃいけない。特にN-VANのMTはカチッとした剛性感のあるフィーリングで、シフトレバーの位置も絶妙にいい。また、ペダルの配置も軽バンの割にはヒール&トゥがしやすいのだ。
とはいえ、軽自動車のNAであるためエンジンパワーとトルクが小さい。そのためパワーバンドとトルクバンドをキープする運転を強いられるのだが、その回転域に合わせて小気味よくシフトチェンジするのが楽しい。とにかくワインディングやサーキットなどで楽しむというよりは、低中速域でキビキビと走る醍醐味に溢れたクルマなのだ。
なお、軽バンとして大切な積載量も十分にある。助手席までフラットになるし、助手席のヘッドレストはキレイにドア内側に収納できるようになっているのもポイント。
大きい荷物を沢山載せたい人にとってもピッタリだし、これだけフラットならば自転車はもちろん、車種によってはバイクもスロープでそのまま載せることが可能だろう。また、車中泊にも適している。軽バンとしての高い実用性を持ちながら、安全な速度域での運転が楽しい。N-VANはそんな2つの欲望を叶えるモデルだ。
6MT車の価格はGガソリンが133万7600円、Lガソリン車は147万2900円、+STYLE FUNは170万7200円となっている。
■農道のポルシェ!? ハイゼットトラック
軽トラのMTって想像以上に楽しかった
最後はハイゼットトラック。最新モデルの軽トラって、こんなに楽しかったのかと感心したのがハイゼットトラック。スズキのキャリイ、スーパーキャリイ、ダイハツのハイゼットトラック、ハイゼットトラックジャンボがあるが、おススメしたいのはハイゼットトラック。
商用バンのアトレー、ハイゼットカーゴは2021年12月に約17年ぶりにフルモデルチェンジしたが、ハイゼットトラックはマイナーチェンジし、とても軽トラとは思えないまあまあ豪華なインテリアが気に入ったというところもある。
マイナーチェンジとはいえ、アトレー、ハイゼット同様、FR用のCVTやデフロック付きの電子制御式4WDやキーフリーシステムやプッシュエンジンスタート、電動格納式ミラーなど軽トラ初の装備やクラス初のスマートインナーミラー装着など、装備が豪華になったのが大きなポイント。
実際に走らせてみると痛快そのもの! NA3気筒の658ccエンジンはたった46ps/6.1kgmしかないが、アクセルを吹かして回転数を合わせながら、そこそこカチッとした5MTをせわしくシフトチェンジしてかっ飛ばすと、軽いボディだから故の楽しさが味わえるのだ。ライトウエイトスポーツといっても過言ではないほどだ。
個人的には室内に余裕のあるジャンボエクストラを買って農道をかっ飛ばしたい、そんな衝動に駆られる軽トラである。
価格はスタンダードの2WD、5MT=96万8000円から、スタンダード農道スペシャル(4WD、5MT、112万7500円)、ハイルーフ(2WD、5MT、998万4500円)、エクストラ(2WD、5MT、113万3000円)、ジャンボスタンダード(2WD、5MT、109万4500円)、ジャンボエクストラ(2WD、5MT、139万7000円)と豊富に揃っているのが凄い(4WDも各グレード用意)。
安くて走りがめちゃ楽しいMT車はないかと聞かれれば、100万円以下で買える軽トラでしょと即答するほどおススメだ。
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みんなのコメント
スズキの良心だと思う
軽トラマニュアルは積雪地では
駐車場でイニシャルDごっこができます