現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 何に使うんだカニ歩き…EVで復活したハマーに試乗! 車重4トン、バッテリーだけで1トン。最高出力1000馬力!【GMC ハマーEV】

ここから本文です

何に使うんだカニ歩き…EVで復活したハマーに試乗! 車重4トン、バッテリーだけで1トン。最高出力1000馬力!【GMC ハマーEV】

掲載 8
何に使うんだカニ歩き…EVで復活したハマーに試乗! 車重4トン、バッテリーだけで1トン。最高出力1000馬力!【GMC ハマーEV】

■あのハマーが超ド級のバッテリーEVとして復活

元々は軍用車ハンヴィーの民生版として登場したハマーH1に始まり、そのリアルなヘヴィデューティさで一世を風靡したハマー。AMゼネラル社からGMに販売権が移り、その後H2、H3とラインナップを拡大するも、環境性能の低さなどもあって次第に人気が下がっていき、ついにブランドの幕を下ろすことになる。

秋の交通安全運動がスタート! 昨今、重点的に取り締まりを行う違反とは

そんなハマーがまさかの復活。しかも超ド級バッテリーEVとして甦った。その名もGMC ハマーEV。昨年発表されるや瞬く間にソールドアウトとなった、そのファーストエディションに、アメリカのGMテストコースで試乗することができた。驚き、そして思わず笑顔になってしまった、その模様をお伝えする。

それにしても迫力満点。凄まじい存在感である。従来のハマーH1、H2のイメージをうまく採り入れたデザインは完成度が高いが、理由はそれだけじゃない。サイズがとんでもなく大きいのだ。何しろこのピックアップは全長5507mm×全幅2202mm×全高2009mmもある。アメリカの、しかも広大なテストコースの中でならいいが、日本の街中で渡されたらちょっと動かすだけで冷や汗モノに違いない。

BEVということもあり、車体はすべてゼロから生み出された。広く言えば、これもGMのアルティウムプラットフォームだということだが、下回りを見ると骨格はいかにも強靭だし、サスペンションアームやハブなどもいかにもゴツい、まさにミルスペックばりのヘヴィデューティ仕様となっている。

それは悪路走破性のためでもあるし、凄まじいパワーとトルクを確実にトラクションに置き換えるためでもあるはずだ。ハマーEVに搭載された電気モーターは合計3基。前輪に1基、そして左右後輪にそれぞれ1基ずつが積まれている。ファーストエディションでは、その合計出力1000PS! とんでもないスペックが与えられているのである。

左右独立のリヤモーターはトルクベクタリングを可能にする。しかもハマーEVには10°という大きな操舵角を持つ後輪操舵機構も搭載されている。

何しろ、このゴツい車体である。車両重量は何と4トンにも達する。ラミネート型バッテリーを積層するタイプのリチウムイオンバッテリーであるGMのアルティウムバッテリーを、このハマーEVは何と200kWh、重さにして約1トン分も搭載しているのだが、そんなわけで航続距離は約530kmに留まる。まあ、このクルマに乗ろうというユーザーにとって、それが問題になることはないだろう。

■巨大なのにコーナリングが軽快!?

ともあれドライブしてみよう。よじ登るようにして室内に乗り込むと、さすがに横幅は十分。デジタルパネルとされたメーター類、大画面タッチスクリーンを使ったインフォテインメントシステムなど、ワイルドなイメージからは意外にも先進的な雰囲気だ。装備も最先端のものが用意されており、ハンズオフ機能付きの先進運転支援装備であるGM自慢のスーパークルーズも備わる。

Dレンジ入れて発進させると、この巨体が重さを感じさせることなくスーッと、しかも静かに動き出して、まさにBEVだと実感させる。加速も軽快で、普段使いの場面ではアクセルペダルを深く踏み込む必要はない。

驚いたのはコーナリングすらも軽快と感じられることだ。絶対的な車重はあってもフロントに巨大なエンジンが載っているわけではなく、前後バランスはおそらく悪くないこと、そして後輪操舵の効果だろう。舵を入れた方向にクルマがグイグイと、しかも自分を中心とした感覚で曲がっていく。

エンジン音の代わりに加速時には室内に電子音が響くが、そのボリュームは適度であり、また音質もやたらデジタルっぽいものではなく、耳馴染みがいい。クルマとの対話に役立ち、快適なドライブの邪魔をしない、絶妙な設定である。

OFF-ROADモードで走行したモーグル路面でも、アクセルコントロールがしやすいので姿勢の制御がしやすく、とても走らせやすかった。

■カニ歩き…で縦列駐車がしやすくなる?

そしてまたまた驚かされたのが「Crab Walk」体験である。コレはつまり「カニ歩き」。何をするのかと言えば、操舵角の大きい後輪を前輪と同位相に切ることで、車体の向きはそのままにクルマだけ右へ左へと横方向、厳密には斜め方向に移動させることができるのだ。

広くフラットな道の前で車両を一旦停止させて、Crab Walkモードに。ゆっくり発進して左にステアリングを切り込むと…確かにクルマの向きは変わらないのに、クルマが左に進んでいく! 右に転舵すると、また同じように右に。この感覚を一体どう表現したらいいのか……。カニ歩きというより、スピードスケートで前進していく感じが近いようにも感じられた。おそらく日常的に役立つ場面はそうは無いだろうが、縦列駐車はしやすいかも。極限のオフロードでは有用な場面もあるのだろう。

続いては「TERRAIN」モードを試す。このモードではアクセルの反応が穏やかになり、また完全なワンペダルドライビングが可能。減速力は2段階に設定できる。一番役に立つのは岩場を乗り越えるような場面だ。アクセルとブレーキを頻繁に踏み換える必要がなく、たとえば岩場の頂上でクルマを一瞬停止させたいという時も、穏やかに確実に停めることができる。BEVとオフローダーのマッチングがここまで良いとは想像しなかった。

険しいオフロードを抜けたあとには、フラットダートへ。ここで促されて、OFF-ROADモードに戻して完全停止からのフル加速を試みた。アクセルを床まで踏み切ると、身体が一気にシートバックへ! 加速は予想通り凄まじく、テールを左右に振りながらも無理やりクルマを前に進めていく。これはもう笑うしかない、という感じ。何しろ0-60mph(約96km/h)は、約3.0秒という、この巨体が突進していく様は、狂気すら感じさせるものだ。

■残念ながら?日本導入は計画なし

GMはなぜ今この時代にハマーEVを登場させたのか。BEVは環境負荷低減のためだという文脈からは理解不能かもしれないが、おそらく2035年までに販売車両をすべてBEV、そしてFCV(燃料電池自動車)に置き換えようとしているGMとしては、BEVならばこんなことができる、こんな楽しさを提供できるということを、すべてが振り切ったような超ド級のBEVで表現し、アピールしたかったに違いない。

さらに言えば、技術陣はBEVの開発に何が必要かといったことも、このクルマから大いに学んだはずだ。ハマーEVの下回りもゴツかったが、同じ日に試乗したキャデラック初のBEV、リリックもハブはなんと6穴という仕様だった。間違いなく、ここで培われた活かされている。

アメリカでは続いてSUV仕様も登場しているハマーEV。これを読んで興味をもたれた方も居るかもしれないが、残念ながらこのクルマには日本導入の計画はないという。サイズも走りも考え方も、すべてがまさにアメリカンスケールのクルマだけに、日本は狹すぎると言われたら、確かに返す言葉は見つけられそうにないのだけれど…。

〈文=島下泰久〉

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

約150万円から! トヨタ新型「プロボックス」が凄い! “商用バンの皇帝”が「22年目の進化」どんなモデルに? 遊び用の「カスタムベース」にも最適な姿とは!
約150万円から! トヨタ新型「プロボックス」が凄い! “商用バンの皇帝”が「22年目の進化」どんなモデルに? 遊び用の「カスタムベース」にも最適な姿とは!
くるまのニュース
一体いつまで供給してくれる? バイクに長く乗るには必要不可欠な純正部品
一体いつまで供給してくれる? バイクに長く乗るには必要不可欠な純正部品
バイクのニュース
山本舞香さん、ABEMAサポーター就任でWRCの魅力を体感。「ラリーって映画みたい!」推しマシンも発見?
山本舞香さん、ABEMAサポーター就任でWRCの魅力を体感。「ラリーって映画みたい!」推しマシンも発見?
AUTOSPORT web
三菱『アウトランダー』のマルチメディアに高評価、小型/コンパクトセグメントで初の1位…J.D.パワー米調査
三菱『アウトランダー』のマルチメディアに高評価、小型/コンパクトセグメントで初の1位…J.D.パワー米調査
レスポンス
「ハコスカ」を手放したタイミングでトヨタ「コロナマークII」に出会う! 自分でレストア…いまでは通勤用としても活躍中の旧車とは
「ハコスカ」を手放したタイミングでトヨタ「コロナマークII」に出会う! 自分でレストア…いまでは通勤用としても活躍中の旧車とは
Auto Messe Web
【リコール】ホンダ ゴールドウイング、ほか2車種 計2,041台
【リコール】ホンダ ゴールドウイング、ほか2車種 計2,041台
バイクブロス
乗用車大手8社の世界生産4年ぶり減少、トヨタの認証不正、中国苦戦響く[新聞ウォッチ]
乗用車大手8社の世界生産4年ぶり減少、トヨタの認証不正、中国苦戦響く[新聞ウォッチ]
レスポンス
レクサスの小型SUV『UX300h』、2つの個性が際立つ特別仕様車登場…511万円から
レクサスの小型SUV『UX300h』、2つの個性が際立つ特別仕様車登場…511万円から
レスポンス
1戦だけで計20秒ペナルティ、それでもフェルスタッペンは止まらない。ジョニー・ハーバード「彼はそんなことする必要ないのに」
1戦だけで計20秒ペナルティ、それでもフェルスタッペンは止まらない。ジョニー・ハーバード「彼はそんなことする必要ないのに」
motorsport.com 日本版
人気すぎて受注再開の目処立たず!? トヨタ「ランドクルーザー」“使いきれない性能”が逆にイイ! 一体何が魅力なのか?
人気すぎて受注再開の目処立たず!? トヨタ「ランドクルーザー」“使いきれない性能”が逆にイイ! 一体何が魅力なのか?
くるまのニュース
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「車載アプリが創る2030年の移動文化~先例づくりを進めるスタートアップの事例とともに~」
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「車載アプリが創る2030年の移動文化~先例づくりを進めるスタートアップの事例とともに~」
レスポンス
自転車の「ながらスマホ」で罰金10万円に! 11月から罰則制定で何が変わる? 「自転車だから大丈夫」では無くなる法改正とは
自転車の「ながらスマホ」で罰金10万円に! 11月から罰則制定で何が変わる? 「自転車だから大丈夫」では無くなる法改正とは
くるまのニュース
最近見かけるモペットは、どういうバイク!? 交通ルールとは
最近見かけるモペットは、どういうバイク!? 交通ルールとは
バイクのニュース
F1ドライバーのレースの仕方が変わる? メルセデス代表「フェルスタッペンのペナルティがきっかけになる」
F1ドライバーのレースの仕方が変わる? メルセデス代表「フェルスタッペンのペナルティがきっかけになる」
motorsport.com 日本版
「世界で最も優れたデザインの車」がEVで進化! レンジローバー『ヴェラール』後継の最終デザインは
「世界で最も優れたデザインの車」がEVで進化! レンジローバー『ヴェラール』後継の最終デザインは
レスポンス
99万円で「4人」乗り! ダイハツの“新”「最安セダン」に反響多数! 「安い!」「イイクルマ」 ダントツ安い「ベーシックモデル」装備向上! お手頃な「新ミライース」発売
99万円で「4人」乗り! ダイハツの“新”「最安セダン」に反響多数! 「安い!」「イイクルマ」 ダントツ安い「ベーシックモデル」装備向上! お手頃な「新ミライース」発売
くるまのニュース
デニムに包まれたヤマハ「XSR125」!? デニムブランド「TOM WORKS」とヤマハがコラボを実施
デニムに包まれたヤマハ「XSR125」!? デニムブランド「TOM WORKS」とヤマハがコラボを実施
バイクのニュース
【試乗】最注目の新型オールシーズンは雪上性能がバッチリ! 雪上でピレリのウインタータイヤ4本を乗りつくした
【試乗】最注目の新型オールシーズンは雪上性能がバッチリ! 雪上でピレリのウインタータイヤ4本を乗りつくした
WEB CARTOP

みんなのコメント

8件
  • なんと言っても私はH1が大好き
  • 何に使うんだカニ歩き

    トゥーフェイスにロケットランチャー撃たれたとき避けるために要るんだよ☆
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村