この記事をまとめると
■BYDは日本市場向け小型電気バス“J6”と、大型電気バス“K8”の新型車両を開発
バスマニアの特等席「オタシート」がロックダウン! 新型コロナ蔓延によるバス業界の悲鳴
■2022年5月10日より予約受付を開始、2023年末に納車を開始する計画を発表した
■それぞれの車両の詳細について解説する
2023年末に納車を開始
BYD(比亜迪)の日本法人ビーワイディージャパン株式会社は、日本市場向け小型電気バス“J6”と、大型電気バス(10.5メートル)“K8”の新型車両を開発し、2022年5月10日より予約受付を開始し、2023年末に納車を開始する計画を発表した。
そもそも、J6は2019年、K8は2020年に日本国内での販売を開始しているのだが、今回この2台にBYDの新型バッテリーとなる“ブレードバッテリー”を新たに搭載することとなった。ブレードバッテリーはBYDが2021年に発表した最新型のリン酸鉄リチウムイオン電池となる。“刀(ブレード)”のような細長く平たい形状をしたバッテリーセルそのものを、ひとつの構造部品としている。そのため、従来の車載用バッテリーに比べてモジュールがなくなり、薄型形状のバッテリーセルをより多くバッテリーパックに収めることが可能となった。このブレードバッテリーを搭載することで、J6は約220km(従来比約1割アップ)、K8は約270km(従来比約1割アップ)まで航続距離を伸ばすことが可能となった。また、空間利用率の50%向上と、優れた放熱性によってエネルギー密度と安全性の両立も実現している。
さらに、薄いブレードバッテリーの採用により、車内のフルフラット化も実現(K8)。J6では、従来車では最後部席背面にバッテリーを搭載していたのだが、ブレードバッテリーの採用により床下に収納され、背面にガラスを装着し景色が見られるようになっている。またJ6では最大乗車定員が従来比5人アップし最大36人となっている。
BYDブランドはご存じのひともいるだろうが、自動車だけでなく二次電池製造としても有名な中国系メーカーである。そのため、車両だけでなく、電池に至るまで一元的に保証対応などができるのもメリットとなっている。
日本仕様には日本製部品を積極的に採用
今回のJ6、K8は単に搭載電池の種類を変えただけでなく、構造もほぼ一新されているのだが(その意味ではフルモデルチェンジといえる)、単に中国仕様(左ハンドル)を右ハンドルにしたわけでもない。とくにJ6は中国ではK6となり、そもそも車名が異なっている。それではなぜ日本国内ではJ6と名乗っているかといえば、Jは“JAPAN”を意味しているとのこと。エクステリアデザインなどについても日本人が手掛けており、日本仕様のJ6は日本専用設計といってもいいぐらいに仕上がっているのである。K8はデザインなどについては中国で手掛けているのだが、やはり日本サイドの声が随所に反映されている。
さらにJ6、K8に共通しているのが日本仕様には日本製部品を積極的に採用していること。つまり、同じJ6やK8であっても、日本で走っている車両と中国などで走っている車両は異なる部分が大きく、より日本市場に合わせるためにビーワイディージャパンが日本仕様車両については積極的にかかわっているのである。日本製部品を多用する背景には、昨今では新型コロナウイルス感染拡大などにより、海外との物流に支障が出たりしたので、部品供給で可能な限り滞りが出ないよう配慮しているとのことであった。
日本国内におけるBYD製電気バスのシェアは約7割、2030年までに日本国内において小型・中型・大型問わず累計4000台の電気バスを販売することを目標にしているとのことであった。現状では路線バスタイプの車両となっているが、観光バスタイプの電気バスの国内導入も視野に入っているとのことであった。ただし、電気タクシーに関しては積極展開する予定はいまのところないとのこと。
とにかく、バスメーカーだけでなく、乗用車メーカーにしても日系ブランドはとくにバッテリー電気自動車のラインアップでは世界的に見ても出遅れイメージが目立ってきている。そのなかで、さまざまなところから電気で動く車両に関しての問い合わせが殺到しており、優先順位をつけて対応しているとのこと(すでに今回発表した新型電気バスも受注が入っているとのことであり、問い合わせも多数寄せられているとのこと)。今後は日本において「電気自動車ならBYDに聞け」というぐらい国内でのリーディングカンパニーにもなるのではないかと思うぐらい“勢い”を感じる記者会見であった。
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