まさに圧巻のパフォーマンスだった。スーパーGT開幕戦岡山を制してGT300クラスでランキングトップにつける2号車muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)は、第3戦鈴鹿では50kgを超えるサクセスウエイトを積みながらも、予選3番手から2位でフィニッシュ。2回のピットストップのうち1回をタイヤ無交換で送り出すお家芸とも言える戦略も決まったとはいえ、チームの想定をも超える好結果となった。
これで2号車はランキングトップの座を守ったのはもちろんのこと、第3戦を終えた段階でランキング2番手以下に17点もの大差をつけた。次戦の第4戦富士からはサクセスウエイトの上限値が50kgになるが、ランキング上位の車両は既に軒並み50kg近くのウエイト量になっているため、ライバルは軽さを武器に追い上げるということもできない。こういった状況も、2号車にとって追い風になっていると言える。
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そんな2号車のパフォーマンスには、ライバルから驚きの声があがっている。そして中には、不満を訴える声も聞こえてきている。
鈴鹿戦で3位に入り、今季初表彰台を獲得した6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIのロベルト・メリは、性能調整(BoP)が機能していないのではないかと憤慨しているひとり。X(旧Twitter)でも2号車のBoPに「ジョークだ」と私見を述べていたが、表彰式後に改めてその見解を尋ねると、熱のこもった口調でこう語った。
「50kgくらいのウエイトを積んだ2号車が表彰台に立っているのを見ると、フェアだとは思えない。だって(搭載ウエイトが0に近い)僕らよりも速いんだ。ウエイトを下ろせば、僕らよりも1秒速く走ることだって簡単にできてしまうかもしれない」
「僕らはかなり頑張っているからこそ、こういう難しい状況になっていることにすごく怒っているんだ。僕はスペインからこっちに来ているし、ヨシ(チームメイトの片山義章)だって自分のドライビングを改善するよう努力していて、今回はそれら全てを完璧にやり遂げることができたと言える。でも50kgくらいのウエイトを積んだ2号車が、僕らの前でフィニッシュしたんだ」
「BoPはパフォーマンスを均等化して、バトルをフェアにするために作られているはずだ。日本でそれ(BoPを適用するレース)があることはとても良いことだと思うけど、あれだけ速いマシンがいるとなると、上手くいっていないということだろう」
このように、チームの頑張りが報われていないことへのもどかしさを語ったメリ。それだけではなく、メリは元F1ドライバーであり、F2、F3などのヨーロッパのシングルシーターでも数多くの実績を残してきた存在。そういったプライドもあるからこそ、2号車のドライバーたちに対して実力で劣っているはずがないという思いが、BoPに対する不公平感を助長しているようだった。
「あそこのドライバーたちが飛び抜けてすごいからというわけではないだろう。僕だって元F1ドライバーでF3も勝っている。才能あるドライバーがたくさんいる中で、ポイントを獲得するのにも苦労している人たちがいるんだ。いつも彼ら(2号車)が前にいるのはあり得ないと思う。努力が報われないという点でも、僕やチームにとってフェアとは感じない」
■ライバルの声を、muta Racing INGINGとしてはどのように感じているのだろうか?
ではこういったライバルの声を、muta Racing INGINGとしてはどのように感じているのだろうか? 2号車のチーフエンジニアである渡邊信太郎エンジニアにこの件を尋ねると「僕も逆の立場なら同じことを言うと思います」と笑い、理解を示した。しかしその一方で、彼らとしても自分たちがBoPが緩いおかげで速いのだとは決して思っていない。
渡邊エンジニアが特に力を入れていると語るのは、「どれだけ細かいところまで管理してクルマを組み上げているか」という点。INGINGがメンテナンスを手がける同チームは、エンジニアリングサポートを受けているムーンクラフトの風洞を活用して空力開発をしていることでも知られている。各パーツを作り直し、洗練させることで高精度のセットアップの下地を作り、そしてオフシーズンには風洞実験データとテストでの実走行データの相関関係チェックを徹底することで、セットアップを“外す”ことが少なく、軌道修正も容易な環境としているのだ。
また2号車の立場としても、不満に思う部分はあるという。前述の通り、第4戦富士に向けてはGT300クラス車両の重量過多への対策として、獲得ポイントに応じて課されるサクセスウエイト重量の上限を80kgから50kgに引き下げる措置が取られたが、渡邊エンジニアは「本来は“サクセス”(成功)に対するウエイトが一種の性能調整になっているという認識ですが、それよりも車両ごとのBoP重量が大きい(GR86は60kg)というのは辻褄が合わないと思っています」と述べた。また、そこに速度抑制策の追加重量なども相まって想定を超えた車重になっていることで、テストで「ゾッとするようなもの」が壊れ、対応に追われたという。
車種もタイヤメーカーも多種多様なGT300においては、多かれ少なかれBoPに関する不平不満が止むことはないが、いずれにしても2号車mutaの驚異的な速さは今後もライバルにとっての頭痛の種になっていくだろう。
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