この記事をまとめると
■かつてスバルは「トラヴィック」というミニバンを発売していた
名前を聞けば「そういえばあった気も……」レベル! ハッキリ言って不人気だけど「中身は一級品」の日陰のクルマ4台
■トラヴィックはオペル・ザフィーラのOEM車
■オペル・ザフィーラよりも50万~100万円ほど安い199万~234万円の価格
ブランド初の3列シートはエクシーガではない
スバルといえば水平対向エンジンやシンメトリカルAWDをアイデンティティとし、多くの固定ファンを抱えるメーカーであることはご存じのとおり。その車両ラインアップも、「選択と集中」をキーワードに、ミニバンや大型セダンなどを持たず、得意とする車種に集中したものとなっている。
そんなスバルも、過去にはドミンゴやエクシーガなどの3列シート車をリリースしていたことは知られているが、2000年代前半には、海外ブランドのミニバンをOEM販売していたこともあった。それが2001年8月から販売を開始したトラヴィックである。
このトラヴィックは、当時資本提携していたゼネラルモーターズ(GM)傘下のオペルが開発した7人乗りのミニバンであり、オペルブランドからはザフィーラの名前で販売されていたもの。
当時、日本国内にもオペルブランドからザフィーラとして輸入販売されていたが、そちらは欧州で生産されたモデルであったのに対し、スバルで販売されたトラヴィックはタイの工場で作られたものという大きな違いがあった。
また、エクステリアのデザインはほとんど差がなかったが、搭載エンジンはザフィーラが1.8リッターだったのに対し、トラヴィックは2.2リッターのものが搭載され(2003年7月からはトラヴィックにも1.8リッターモデルを追加)、ダンパーのセッティングもスバル独自のものとなるなど、メカニズム面では大きな差異が生じていたのだ。
日本向けはモノグレード展開だったザフィーラに対し、トラヴィックはスバル独自のエアロパーツやスポーツサスペンション、16インチアルミホイールなどを備えた「Sパッケージ」というグレードも存在し、独自色を強く打ち出していたことも特筆すべき点と言えるだろう。
そして一番大きな違いとなっていたのがその価格。ザフィーラは289万円というプライスタグを付けられていたのだが、トラヴィックはエントリーグレードで199万円、最上級グレードの「Lパッケージ」でも234万円と、50万~100万円も安い金額となっていたのだ。
トラヴィックはコストの安いタイの工場で作られたモデルであるため低価格が実現できたとも言われているが、その辺りの違いを鑑みても価格差の影響は大きく、ザフィーラは2001年末を持って日本導入を中止している。一方のトラヴィックは2004年末まで生産が続けられ、本国でザフィーラが2代目へフルモデルチェンジを果たすタイミングで終売となった。
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