もくじ
どんなクルマ?
ー 大きな変更なし
どんな感じ?
ー もっと軽量なら
ー V6モデルならではの魅力
「買い」か?
ー おすすめだが、MC前でも満足できる
スペック
ー ジャガーFタイプ V6 P380 Rダイナミックのスペック
どんなクルマ?
大きな変更なし
2019年モデルになっても、ジャガーFタイプは相変わらず悪魔じみたスタイリッシュさだ。だが、魅力的(で3500ポンドと非常に高額)なマダガスカル・オレンジの新色以外は、外観上は旧モデルとほとんど変わらない。
今回の改良は他のところに重点が置かれている。スタイリングは登場当時から素晴らしく、手を入れるべき部分はもっと他のところなのだろう。
2019年モデルではインフォテインメントシステムが、最新の10インチ「インコントロール・タッチプロ」に刷新された。新しいボディカラーやホイールデザインが追加されたほか、トルクベクタリングが標準装備となった。
加えて、命名規則も変更されている。2.0ℓ4気筒モデルはP300となり、エントリーグレードのV6はP340に、従来のV6 SはP380と呼ばれるようになった。つまり、今回の試乗するP380のRデザイン仕様はハイパワーなV6モデルという位置付け。しかし、同じモデルでもクーペとコンバーチブル、マニュアルとオートマ、後輪駆動と四輪駆動の2択からそれぞれ選ぶことができるため、自由度は高い。
どんな感じ?
もっと軽量なら
細かな改良しか加えられていないため、以前Fタイプに乗ったときの総じて好ましい印象はそのままだ。新しいモデルとは言い難く、2013年の登場からそれほど改良されていないばかりか、ノイズ対策の部分では明らかな問題点が残ったままだ。
中でも気になるのがFタイプの取り回しの悪さだ。視界は完璧とは程遠く、道路で運転しにくいクルマになっている。しかも、ボディ寸法は大きいがキャビンの広さはそれほどでもない。
また、正確で素晴らしい出来のステアリングやなかなかのボディコントロールを見せるが、絶対的な車重の重さは気になる。鼻先の軽い4気筒バージョンに乗ってすら、もう少し軽ければもっと魅力的なのにと思わずにはいられない。
同クラスのアルピーヌA110やポルシェ718ケイマンの方が明らかに軽く、われわれはこれらを非常に気に入っているのも偶然の一致とは言えない。
V6モデルならではの魅力
それでも、Fタイプは総じて楽しく、正統派のスポーツカーだ。「カリスマ」や「魅力的」といった言葉は欠点がありつつもエキサイティングなクルマによく用いられる表現だが、Fタイプもこれらの単語が当てはまる存在だろう。秋晴れの中、ヒーターをつけてエグゾーストを轟かせる。これ以上に素晴らしいスポーツカーの楽しみ方があるだろうか。
正確だが生真面目ではなく、痛快だが愚かしいほどではなく、快活だが危険すぎはしない。Fタイプは常にドライバーを楽しませようとする、好感度の高いクルマだ。
確かに、4気筒エンジンがベストな選択だという声もある。身のこなしは上で、十分すぎるパフォーマンスも持ち合わせているという。加えて、購入者の42%がこの2ℓバージョンを選んでいるのも事実だ。
だが、スーパーチャージャーで過給されたV6には確かな「魅力」がある。しかも、P380以上ならロッキングディファレンシャルによる優れたトラクション性能を持ち(これよりも下のモデルではオープンデフ)、ZF製ATもさらにシャープな味付けだ。これなら、価格差以上の価値がある。
FRのスポーツカーは流行に乗っているとは言えないが、しっかり作り込めば痛快な存在になると、Fタイプは証明してみせた。
「買い」か?
おすすめだが、MC前でも満足できる
正直に言おう。今回加えられた変更に対して値上がりの幅が大きすぎる。もちろん、追加された派手なボディカラーや最新のインフォテインメントシステムが欲しいなら2019モデル一択だ。
また、最高のシャープさや究極のスポーツカー体験までは求めていない人にとっては、Fタイプは非常に好ましい一台だ。ただし、マイナーチェンジ前のモデルでも、同じように満足できるだろう。
問題は、Fタイプよりも優れたモデルも存在していることだ。クーペなら、より小さく俊敏なアルピーヌA110が登場したばかりで、FタイプのV6モデルを考える向きはBMW M2コンペティションやポルシェ718ボクスター/ケイマン(の特にGTSモデル)も検討する必要があるだろう。
しかし今のところ、V6のパワーと人目をひくルックス、優れた身のこなしのすべてを持ち合わせた存在はFタイプだけだ。これがわかっていれば、たとえ高くとも、アップデートされたFタイプは魅力的な選択肢になるはずだ。
ジャガーFタイプ V6 P380 Rダイナミックのスペック
■価格 7万1725ポンド(1059万円)
■全長×全幅×全高 ー
■最高速度 275km/h
■0-100km/h加速 7.9秒
■燃費 10.2km/ℓ
■CO2排出量 223g/km
■乾燥重量 1614kg
■パワートレイン V型6気筒2995ccスーパーチャージド
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 380ps/6500rpm
■最大トルク 46.9kg-m/3500rpm
■ギアボックス 8速オートマティック
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