’75年、自動二輪免許は小/中/大の3区分となった。大型免許が教習所で取得できない当時は、多くのライダーはいわゆる中免。彼らにとって最上位クラスにあたる「400」は性能も装備も向上を続けていく。本記事はスズキのヨンヒャク、GSX400FSインパルスを紹介。ヨシムラとの共同開発による4in1集合管マフラーを搭載し、大きく話題を呼んだ。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
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●文:ヤングマシン編集部
メーカー手ずからのチューニング仕様車【スズキ GSX400FSインパルス】
Z400FX、XJ400に続き、400cc4気筒ウォーズに3番目に名乗りを上げたのはスズキだった。
’81年4月に発売されたGSX400Fのスタイルは、前年のケルンショーで発表されていたGS650Gに通じるイメージでまとめられていた。一方、心臓部は2気筒のGSX400Eと同じ4バルブ方式で、理想的な燃焼を実現するTSCCも採用して、最高出力はXJと並ぶ45psを発揮。トリプルディスクブレーキにアンチノーズダイブ機構も備え、堂々たるデビューを飾ったのだ。
しかし、3番手ともなると先発のライバルのようなインパクトをアピールすることは難しかった。さらに、登場後1年を待たずしてホンダから強敵CBXが発売されたため、スズキはさらなる強化策を打ち出す。翌’82年型はツートンカラーや新型リヤショックを採用したII型へシフト。さらにこれをベースにした上級モデルも設定された。これがインパルスである。
目玉は、何と言ってもヨシムラと共同で開発された4in1集合マフラー。当時、集合管を標準装備したモデルはまだ少なく、これにより最高出力も48psへアップした。オイルクーラーやシングル風シート、セパレート式ハンドルが与えられ、スイングアームもアルミ製が奢られるなど、走りに振ったアイテムが多数り込まれたのである。
豪華絢爛路線ではなく、メーカー自らが施したストイックなチューニング仕様車。これは大きな魅力だった。
―― 【’82 SUZUKI GSX400FS Impuls】■空冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 399cc 48ps/10500rpm 3.5kg-m/8500rpm ■171kg ■タイヤサイズF=3.25-19 R=3.75-18 ●価格:49万3000円
―― 【TSCC+ヨシムラサイクロン】独自のTSCC(ツインスワールコンビューションチャンバー=2渦流燃焼室)、爆発順序ごとにエキゾーストパイプを導くサイクロン4in1マフラー、空冷式オイルクーラーが高性能を約束。それでいて60km/h定地燃費で40km/Lを誇った。 [写真タップで拡大]
―― スズキが世界で初めて実現したANDF(アンチノーズダイブ機構)を左右にダブル装着。星型キャストホイールは19インチ。 [写真タップで拡大]
―― ヘッドライトはφ150mmケースに60/55Wハロゲン。燃料タンク下のダイヤルで減衰力を調整できるリヤサスも便利だった。 [写真タップで拡大]
―― 走行中の視認性を優先してメーターの角度やデザインを決定。ギヤインジケーターと燃料計も装備していた。 [写真タップで拡大]
―― ’82年GSX400FSのキーワードは、ザ レーサースピリット マシン。カタログにはワークスライダー 水谷勝選手のサインも入っていた。
スズキ GSX400FSインパルスの系譜
◆’81 スズキ GSX400F
―― 【’81 SUZUKI GSX400F】400ccクラス初のDOHC4バルブを実現。スタイルはカタナのノンカウル版。ANDFや前後ディスクも装備していた。45ps。 [写真タップで拡大]
◆’82 スズキ GSX400F II
―― 【’82 SUZUKI GSX400F II】ツートンの車体色とダブルホーンを採用。荷重に応じて減衰力が変わるADDFリヤサスとダブルANDFも装備した。 [写真タップで拡大]
◆’82 スズキ GSX400FS
―― 【’82 SUZUKI GSX400FS】GSX400Fの上位バージョン。ヨシムラと共同開発した4in1エキゾースト、シングル風のシートがアピールポイント。48ps。 [写真タップで拡大]
◆’83 スズキ GSX400FW
―― 【’83 SUZUKI GSX400FW】スズキ初の水冷4気筒、L-BOXフレーム、フルフローターサス、前輪16インチで大幅進化。ビキニカウルも選べた。50ps。 [写真タップで拡大]
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