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「ディーノ 206 GT / 246 GT」子息の名を冠したピッコロ・フェラーリ【名作スーパーカー型録】

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「ディーノ 206 GT / 246 GT」子息の名を冠したピッコロ・フェラーリ【名作スーパーカー型録】

Dino 206 GT / 246GT

ディーノ 206 GT / 246GT

「ディーノ 206 GT / 246 GT」子息の名を冠したピッコロ・フェラーリ【名作スーパーカー型録】

現在まで続くフェラーリV8シリーズの原点

V型12気筒エンジンがフェラーリの象徴であった時代に、コンパクトなV型6気筒エンジンをミッドシップして誕生したモデルが「ディーノ」だ。そのアイデアを当時フェラーリの社長であったエンツォに提案したのは、彼の子息であるアルフレード・フェラーリ。ここで使われたブランド名のディーノとは、アルフレードの愛称であり、実際にディーノの手によるエンジンは、F1やF2のマシンに搭載され勝利を重ねたほか、後にランチア・ストラトスにも移植されて、こちらはWRC=世界ラリー選手権を3年連続で制覇するなど、高性能ぶりと耐久性の高さをアピールする。

我々が一般的にディーノというブランドの名前からイメージするのは、ファーストモデルである206GTのマイナーチェンジ版ともいえる、246GT/GTSだろう。

Dino 206 GT

ファーストモデルとなった206GTには、185psの最高出力を発揮する、2リッターV型6気筒エンジンが搭載され、1965年のパリ・サロンで初公開されたプロトタイプでは縦置きミッドシップされていた。だが、後に1967年のトリノ・ショーで披露されたプロトタイプ以降は、エンジンの搭載方法は横置きミッドシップへと変更している。実際の生産は翌1968年から始まるが、1969年早々に206GTの生産は終了。ボディをアルミニウム製としたことなど、206GTは想像以上に高コストなモデルだったのだ。

Dino 246 GT

フィオラバンティによる美しきデザイン

そのマイナーチェンジ版として登場した246GT/GTSは、206GTと比較すると、そのボディはかなり洗練されたように感じられる。ボディデザインを担当したのは、レオナルド・フィオラバンティをチーフ・スタイリストとしていた時代のピニンファリーナ。ボディの素材は、生産性を考慮して206GTのアルミニウムからスチールへと変更され、2.4リッターV型6気筒エンジンを搭載し、最高出力を195psにまで高めた。その背景のひとつには、ボディのスチール化によるハンデを解消するという目的もあったと思われる。

ディーノ246GTシリーズには3タイプ存在する

ディーノ246GT/GTSは、最終的に1974年まで生産されることになるが、その中にはティーポL、ティーポM、ティーポEという3タイプの仕様が存在する。前身の206GTとの共通点が最も多く残っているのはもちろんティーポLで、センタースピンナーを持つセンターロック式ホイールやフロントバンパーのデザイン、ワイパーの形状などがティーポLを見分けるポイントとなっている。ボディは基本的にはスチール製となるはずだが、一部のモデルでは206GTのアルミニウム製パネルをそのまま流用したものもあるという。

続くティーポMはホイールが5ナット式に代わり、リアのトレッドも30mm拡大された。246GTでは、ホイールベースも206GTから60mm延長されているから、コーナリング時の動きは、かなり滑らかなものになったことが想像できる。ちなみにこのティーポMの生産期間は短く、1971年の初頭のみにわずかな数が出荷されたにすぎない。

4000台以上のセールスを記録

そしてこのティーポMの市場を受け継いだティーポEではシリーズ途中で、フェラーリにとっては最大の輸出市場ともいえたアメリカで、高い人気を誇るオープンモデルのGTSが追加設定されることになった。ディーノ・シリーズの生産台数にはもちろん諸説があるが、206GTが約150台。246GTは2487台、そして246GTSは1274台という数字が最も一般的なもののようだ。トータルで4000台以上のセールスを達成し、その中で1000台以上がタルガトップを備えることでオープン走行を可能とした246GTSだったのだから、その人気は高かったと結論づけても間違いではないだろう。

そしてディーノ206GT、246GT/GTSによって築かれた、コンパクト2シーターミッドシップの市場は、1975年に今度はフェラーリ・ブランドから308GTBとして復活を遂げる。ただし、搭載エンジンはもはやディーノのV型6気筒ではなく、新時代の到来を予感させるV型8気筒となる。

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

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