2月9日、スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションは、2024年から公式予選の方式変更を変更するとしたプレスリリースを発行した。2024年からタイヤセット本数が300kmレースの場合4セットとなり、予選Q1、Q2でのタイヤ1セット制限、さらにタイム合算方式が採用された。
スーパーGTでは、2012年までは予選上位のドライバーが1周ずつのアタックを行うスーパーラップ形式やノックアウト形式が混在していたが、2013年からは予選Q1、Q2のノックアウト形式として行われてきた。
【坂東正明GTA代表インタビュー】戦い方が変わる2024年スーパーGT。予選Q1/Q2~決勝スタートでタイヤは1セットへ
そんななか、2024年に向けて1月16日、オートスポーツweb上に掲載したGTアソシエイション坂東正明代表へのインタビューのなかでは、2024年のレースウイークの流れや環境への取り組みなどに関する内容が触れられていたが、そのなかで大きな話題となっていたのが予選形式。Q1、Q2という2回の予選が行われるスタイルは変わらないものの、Q1とQ2で1セットのタイヤを使い、そのタイヤで決勝をスタートする方針が語られていた。
この予選方式については、最終的にブルテン等で決定するが、それに先立ち2月9日、GTアソシエイションは『2024年SUPER GTシリーズ 予選方式の変更について』と題するプレスリリースを発行した。
プレスリリースでは、まずは2022年11月に発表された環境対応ロードマップ『SUPER GT Green Project 2030』で掲げられた2030年までにシリーズ全体のCO2排出量半減に向け、2024年は、GT500クラスに続きGT300クラスでも50%のカーボンニュートラルフューエルを混合した燃料を使用すること、さらに持ち込みタイヤ数を1セット削減することを発表した。300kmレースの場合、ドライタイヤは4セットとなる。
このタイヤセット本数削減にともない、GTアソシエイションでは「このタイヤ数の削減に関しまして、2023年シーズンまでの大会中の走行フォーマットを維持したままでは、タイヤを温存するため公式練習やサーキットサファリの走行機会が減るのでは」との懸念があり、「スーパーGTファンの皆さまの満足度を低下させる恐れがある」として、その対策として予選をタイヤ1セットで行う方法を検討。新たな予選方式の採用を決定したという。
この新予選方式については、後日詳細な規則はブルテンで公示されるが、下記のものの採用が決定した。
(1)GT500クラス、GT300クラスともにQ1、Q2の『タイム合算方式』とする
(2)Q1、Q2を通じて使用できるタイヤセット数を1セットに制限する
※決勝スタートタイヤは予選で使用したタイヤとする
さらにこれにともない、下記の新ルールが設定された。
・予選上位に付与するポイントを3位まで拡大(1位 3ポイント、2位 2ポイント、3位 1ポイント)
※予選上位ポイント、ポールポジション獲得回数はドライバー2名ともに付与
・予選不出走車両は決勝レースをピットスタート
・Q2基準タイムを採用(タイム未達チームのピットスタートなどを検討)
タイム合算方式はスーパー耐久シリーズでも採用されているもの。ただタイヤコンペティションがあるスーパーGTの場合、予選を走らずタイヤを温存し、決勝で後方から追い上げるプランも考えられたが、上記の新ルールの結果として、予選を走らないことでのロスの方が大きくなりそうだ。
GTアソシエイションは、この新予選方式の狙いについて、下記のように記した。
(1)ドライバー2人が1台のマシンを駆り勝利を目指すスーパーGT最大の魅力をさらに特徴づける
(2)Q1敗退車両をなくすことで全車のタイヤ使用条件を均等化し、加えて全車、全ドライバーの走行、露出機会を増やす
(3)GT300クラスにて、特定の条件下で予選順位を入れ替える特別ルールを設定し、新たなエンターテイメント性を創出する
なお、スーパー耐久でもしばしばあることだが、タイム合算方式では予選ふたりのアタックが終わった時点でどのチームがポールポジションなのか分かりづらいという状況がある。スーパーGTでは、この状況への対応として、Q2走行中にタイム合算の総合順位」をリアルタイムで伝える新たな表示の準備を進めているという。
今回の新たな予選方式は慣れるまではしばらく時間がかかるかもしれないが、スーパーGTが未来に向けて“音の出るレース”を続けるために、環境への対応は取り組むべき最重要事項となる。GTアソシエイションは“モータースポーツにおける環境への配慮”と“スーパーGTらしさ”を両立させる方策だとしているが、実際にどんなかたちになるのか、まずは開幕戦を待つしかないだろう。
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