より身近な場所でもレースを
2021年より新たに始まったエクストリームE選手権は、イタリア・サルデーニャ島や英国ドーセット州での成功を受けて、将来的には欧州をはじめとする人口の多い地域でのイベント追加を検討している。
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エクストリームEは電動車両によるオフロードレースで、もともとサウジアラビア、セネガル、グリーンランドなど、気候変動の影響を受けている世界中の孤立した場所で行われるものだった。しかし、新型コロナウィルスの流行により、ネパール、ブラジル、アルゼンチンでの開催が中止となってしまった。
その代わりとして、サルデーニャ島のアイランドX-Prixと英ボビントン陸軍訓練場でのジュラシックX-Prixを開催し、イベントを通じて気候変動が先進国に与える影響を発信した。レースでは気候変動への影響を最小限に抑えるため、観客は入場できないが、プロモーションイベントをより多く開催することも容易になった。
エクストリームEの主催者たちはすでに2022年シーズンのカレンダー案を発表し、世界の遠隔地で5つのレースが行われることになっているが、チーフ・マーケティング・オフィサーのアリ・ラッセルは、将来的に欧州でもレースが復活する可能性があると語っている。
「世界的な新型コロナウィルスの状況を考慮し、2つのレースを欧州で開催しましたが、こうしたイベントはやはり(主要人口地域の)近くで行いたいという強い欲求があります。今後は、ヒマラヤ、グリーンランド、アマゾンのような極地と、人々の家に近い場所とが混在することになると思います」
「『地球の肺』やアマゾンの保護など、環境に対する課題についてよく話してきました。しかし、わたし達の身近なところにも課題はあります。たとえば、今年の地中海の山火事問題は、かつてないほど深刻でした。なぜ、そんなことが起こっているのでしょうか」
「人々の関心を必要とする遠く離れた物語と、身近な物語を伝える機会があるのです。今後は、遠くて壮大な場所と、少し身近な場所とのハイブリッドなレースが見られるようになるでしょう」
自動車メーカーの存在感
ラッセルは、自動車メーカーがエクストリームEに興味を示していることも心強いと語った。このレースシリーズではスペックバギーが使用されるが、マーケティング目的で各社が独自の車体を装着することができる。今年はクプラとハマーがチームを支援し、クプラは2023年の復帰を約束している。マクラーレンも来年から参戦する予定だ。
他のメーカーからの関心について尋ねると、ラッセルは、「さまざまな議論が続いている」と答えた。
「1年目はメーカーに期待していませんでしたが、このコンセプトは多くの想像力をかきたてるものでした。OEMは、選手権の構築と発展、そして市販車に搭載可能な未来のテクノロジーの開発にとって、とても重要な存在です」
「変化とインパクトのある選手権になるということです。メーカーは特に大きなインパクトを与えることができるでしょう。EVの性能を向上させることは、より良い解決策につながります。一般の人々がEVに移行するという点では、その障壁は猛烈なスピードで取り除かれてきており、レースもそれに貢献しています」
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