4戦目を迎えたMotoGPで、ホンダは苦しんだ。スペインGPではスプリントレース、決勝レースともに、ホンダ勢として最上位のライダーがトップ5に入ることができず、転倒も多かった。転倒したうちのふたり、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)とアレックス・リンス(LCRホンダ・カストロール)は、転倒の原因に首をひねる。
第4戦のホンダは苦戦していた。いや、2023年シーズンも引き続き、苦戦し続けている、と言ったほうが正しいかもしれない。開幕戦ではマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)がスプリントレースで3位を獲得し、第3戦アメリカズGPでアレックス・リンス(LCRホンダ・カストロール)がスプリントレースで2位、決勝レースで優勝したのは確かだ。ただ、全体として見れば平均的に好調というわけではない。
クアルタラロ、ペナルティに疑問。1周目2コーナーの「避けようがなかった」アクシデント/第4戦スペインGP
スペインGPでのレギュラーライダーの結果は、スプリントレースではリンスの13位がホンダ勢としての最上位。ジョアン・ミル(レプソル・ホンダ・チーム)と中上は転倒リタイアだった。決勝レースでは中上の9位が最上位で、ミル、リンスは転倒リタイアに終わっている。
土曜日のスプリントレース後、4周目に転倒した中上は、原因について「かなり不可解な転倒でした」と説明していた。
「いいフィーリングで走れていたので、あの転倒は予想外でしたね。転倒を見たけど、変なところもなかった。いいライディングをしていたんです。路面温度が暑かったのでフロントタイヤはオーバーヒート気味ではありましたけど、変な転び方でした。集団で数周走っていたのに加え、路面温度の高さでタイヤの温度が上がってしまって、コンディションの変化によりフロントタイヤの限界を超えてしまったような転倒でした」
日曜日の決勝レースで転倒したリンスも、このときの中上に近いコメントをしている。リンスは赤旗中断から再開されたレースの1周目で転倒した。
「(クラッシュについて)説明が難しい。たくさんのラップデータを見たけど、違いが見当たらなかった。正直言って、驚いているよ。突然フロントを失ったんだ。何が起こったのかわからない」
12周(赤旗中断後、11周で行われた)のスプリントレースと25周の決勝レース(こちらも赤旗中断後、24周で行われた)では、選択するタイヤも異なれば、レースペースも違う。さらに、路面温度も土曜日が50度、日曜日が33度だった。状況が異なるために安易に一概にすべきではないが、それでもふたりのコメントに共通するものは、今のホンダが抱えている問題なのではないか、と思われる。
中上は日曜日のレース後、こう説明していた。
「今のバイクは限界値が低い。そして、2022年にバイクが大きく変更されて、バイクがすごく熱を持ってしまうんです。気温が低いときはある程度動きがいいんですが、気温が高くなるとまったく同じセッティングでも、まったく違うバイクになるんです。バイクがすごく熱くなってよりねじれてしまうのか、リヤのグリップが極端に落ちてしまいます。リヤのグリップがないということはつまり、曲がらない。フロントもすごく繊細になって、一気に切れ込む。そして転倒につながってしまう、という傾向は、去年から強いです」
中上は金曜日午前中に3番手タイムを記録しているが、このときの路面温度は22度と低めだった。バイクが十分にパフォーマンスを発揮できる許容範囲が広くはない、ということだろう。アメリカズGPで優勝したリンスが、スペインGPで同じように好調をキープできなかった理由もそこにありそうだ。
リンスはアメリカズGPでの優勝のあとのスペインGPの週末について、理解しがたいか? と問われ「そうは思わない」と答えていた。
「(ヘレスと)オースティンとは、まったく違うサーキットであることはわかっていた。コーナーもタイプも違う。だから、ゼロからスタートしたようなものだ。ただ、コーナーでもう少しうまく旋回できるように、進入から同じスピードを乗せてコーナリングができるようにセッティングを改善する方法を見つけられなかったことが、とても驚きだった。がっかりだったよ。改善ができなかったんだ」
スペインGP後、月曜に行われたテストでは、ホンダはカレックス製のシャシーや新しい形状の空力デバイスなどをテストしていた。ホンダの苦戦の終わりは見えるだろうか。
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みんなのコメント
ツキもない。
HONDAは勝っちゃったし、優遇措置はないからこのままか。それにしてもヘレスでKTMとドカが速いって何年か前には考えられなかった。
エースライダーのマルケスを尊重しながら、ミルやリンスらの意見を取り入れることはできないのだろうか。
あと、他メーカーと比較しても明らかに劣るテストライダーのブラドルを開発能力のあるライダーに交代すれば改善していく気がする。