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総出力1012PSの次世代V8エンジンを搭載!F1の技術が余すことなく注ぎ込まれたアストンマーティンのスーパーカー「Valhalla」

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総出力1012PSの次世代V8エンジンを搭載!F1の技術が余すことなく注ぎ込まれたアストンマーティンのスーパーカー「Valhalla」

アストンマーティン初の次世代ミッドエンジン・スーパーカーであるValhallaは、いわば“世界最速を追い求める実験室”であるフォーミュラ1での成果を享受する。スピード、信頼性、性能へのニーズを受け、F1の技術的進歩は日々加速している。

そのアストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ1チーム(AMF1)がレースで使用した、実証済みの手法、経験、技術が、未来のモデルを強化するため、アストンマーティンに採用される。

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アストンマーティンのグローバルチーフブランド兼コマーシャルオフィサーのマルコ・マティアッチ氏は、次のように述べている。

「アストンマーティンのビジョンは、当社の中核製品ラインナップを拡張する上で極めて重要な、ドライバーにフォーカスしたクラス最高の自動車を作ることです。そのため、当社初の次世代ミッドエンジン・スーパーカーは、当ブランドにとっても、またミッドエンジンセグメントにとっても、変革をもたらす存在となります。

Valhallaは、アストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズ社(AMPT)を通じて、ロードカーのエンジニアとアストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ1チームのF1エンジニアリング技術を統合したアストンマーティン初の共同開発であり、F1の技術サポートと専門知識を活用したアストンマーティンの幅広い実力を象徴するものです」

アストンマーティンの最高経営責任者であるアメデオ・フェリーサ氏は、次のように述べている。

「多くの顧客にとって、オープントップドライビングは、至極の楽しみとなっています。アストンマーティンのVolanteは、こうした喜びを生み出すため、60年以上にわたり独自のスタイルで表現し続けてきました。新しいDB12 Volanteでは、やや発想を変え、DB12 Coupeの純粋さと傑出したスポーティさをそのまま活かすことで、このような喜びを強調する車を生み出しました。あらゆる点で本物かつ希少なスポーティング・コンバーチブルであるDB12 Volanteは、先入観を覆し、新世代の顧客層にアプローチします」

アストンマーティンと、FIAフォーミュラ1・ワールド・コンストラクターズ・チャンピオンシップTMで4位につけているAMF1との技術的クロスオーバーは、チームのコンサルティング部門であるAMPT社によって促進されている。AMPT社は、ダイナミクス、エアロダイナミクス、およびマテリアルの3つの主要開発分野において、アストンマーティンのパフォーマンスエンジニアリングチームを直接支援している。



AMPT社のエンジニアリングディレクターを務めるクラウディオ・サントーニ氏は、以下のように語っている。

「自動車メーカーにとって、F1チームならではのスキルや知識を取り入れることができるのは、大きな利点です。F1エンジニアは、常に性能を追求して限界を押し広げ、迅速な問題解決のために様々なツールを開発してきました。この知識を活かして、F1の専門知識をロードカーの開発にシームレスに取り入れることができるのです」

ドライビング・ダイナミクス

Valhallaは、真にドライバーにフォーカスしたミッドエンジン・スーパーカーであり、車両ダイナミクスグループはAMPT社と緊密に連携し、これまでにないドライバーと車との一体感をもたらすダイナミクスを実現するべく、全力で取り組んでいる。

F1デザインは、シミュレーションツールを大いに活用しており、シミュレーターで費やす全ての瞬間が進歩につながるような手法をValhallaに導入している。実際、ダイナミックな特徴と車両セットアップの90%はシミュレーターで完成しており、実際の道路やトラックでは最終的な開発が仕上げられている。

AMF1ドライバーからの貴重なインプットがValhallaのキャリブレーションに新たな熱量をもたらす。ランス・ストロール選手やフェルナンド・アロンソ選手のようなエリートレベルのドライバーのスキルと知識によって、自動車の性能を極限にまで高められ、車両のダイナミクスを次のレベルに引き上げることができる。

Valhallaのコックピットエルゴノミクスは、F1から直接ヒントを得ており、ドライビングポジションは、AMPT社のサポートにより最適化され、レーシングカーレベルのコントロール性を実現し、ドライビングの楽しさを最大限に引き出している。

電子モジュールを収納している二重フロアによってドライバーのかかとの位置が高くなっており、また独自のカーボンファイバーバケットシートは、ロードカーの快適さを保ちつつも、AMR23レーシングカーに近いシートポジションを実現するため、大きくリクライニングすることができる。これによってルーフラインを低く保ち、ドライバーと車の真の一体感が生まれる。

エアロダイナミクス

AMPT社とアストンマーティンのエアロダイナミクスの専門家がロードカーとF1において各々培ってきた専門知識を結集することによって、ラグジュアリーと性能を完璧に融合した、非常に魅力的なロードカーを作り出す機会がブランドにもたらされた。ダウンフォースの大部分が生み出されるAMR23のアンダーボディとValhallaのアンダーボディは、いかに多くのF1技術がこの新しいスーパーカーに投入されているかが分かる。

Valhallaでのエアロダイナミクスアプローチは、F1と同じ方法、すなわちボディ形状のあらゆる要素を用いてダウンフォースを生み出し、空気抵抗を最小化することから始まる。しかし、Valhallaは、F1の規則に縛られてはいないため、自動車のフロントとリアにアクティブエアロダイナミックシステムを搭載することができる。

これにより、時速240kmで600kg以上のダウンフォースが生まれる。このおかげで、Valhallaは常にフロントとリアのダウンフォースを調整し、グリップ、バランス、整合性を最大化したり、路面状況や選択したドライビングモードに応じて空気抵抗を最小化することができる。それゆえドライバーは、シャシーからタイヤに至るまで、Valhallaのパフォーマンスを最大限に引き出すことができるのである。

AMR23レーシングカーと同様に、Valhallaは、フロントおよびリアにマルチエレメントウイングを採用しているが、フロントウイングは大部分が見えないようになっている。

このフロントウイングは、空気抵抗を減らすため、フラットにDRSポジションとすることも可能であると同時に、角度をつけてフロントタイヤのすぐ前で大きなダウンフォースを発生させることもできる。フロントスプリッターの後ろの底面にはくぼみがあり、これがダウンフォースを生み出す低圧帯となる。この機能も、完全な車両アクティブコントロールアルゴリズムの一部としてコントロール可能となっている。

一方マルチエレメントリアウイングは、フラットに配置され、車の美しいラインを描くとともに、最小限の空気抵抗で基本的なレベルのダウンフォースを実現。しかし、トラックモードでは、ウイングがエアフローに高く上がり、最大限に効果を発揮する。そして、車がウイングの角度をアクティブに制御し、最大限のダウンフォースとDRSの間で常にバランスを取って、パフォーマンスを最大化する。

さらにF1のボルテックスジェネレーターとエアロ機能から着想を得て、ミニディフューザーとして機能する小型溝付ルーバーをリアタイヤの前方に配置したことで、空気流を自動車の下から上方へ排出し、ダウンフォースを高めることが可能になった。ルーフに搭載されたシュノーケルは、F1と同様にエンジンインテイクに空気を送り込むだけでなく、ターボインタークーラーの冷却ダクトにも給気し、エンジンのホットVターボ構造を冷却する。

AMPT社と共同のF1における数値流体力学(CFD)と風洞試験の膨大な知識は、ロードカーのエンジニアに大きな恩恵をもたらした。AMR23レーシングカーの開発に使用されたものと同じエアロダイナミックツーリング技術が、Valhallaのエアロダイナミクスの開発にも使用されている。

Valhallaのエンジニアリングチームは、AMPT社と直接協力し、モデルセットアップに関する学習を含め、AMF1チームと同じCFDソフトウェアを活用した。F1の場合と同様に、Valhallaは、最低地上高感度、ロール・ピッチ・ヨーの影響、ステアリングなど、同じプロセスを研究し、スケールモデルとムービングベルト風洞を使用して車両を開発した。

マテリアル

AMPT社とAMF1チームは、長年にわたりカーボンファイバーで車を製造してきたため、マテリアルについて知り尽くしている。ただし、999台のカーボンファイバーモノコックを製造するというアイデアは、これまで1シーズンあたり数点しか開発してこなかったチームにとって新しい挑戦となる。

AMPT社のカーボン技術チームは、F1で進化したアイデアを発展させ、同じアプローチをValhallaに応用すべく取り組んでいる。衝突試験のような破壊的プロセスを開始する前に脆弱点を特定することが大きなメリットとなる剛性・耐衝撃性試験のシミュレーションなどの分野では、これが非常に有効となる。

そしてValhallaの心臓部の構造は、最も軽量でありながら最大限の剛性を実現するように作られており、ミリ単位の精度で最大限の制御を保証する。AMPT社が設計・開発し、モータースポーツの最高峰であるF1の知識や技術力を応用したValhallaは、最先端の複合技術から生まれた。

カーボンファイバー素材を複雑かつ絶妙に組み合わせたValhallaのカーボン構造は、アストンマーティンの開発した独自の新技術を用いて生み出された。構造の上部・下部は、樹脂トランスファー成形(RTM)プロセスとF1由来のオートクレーブ技術を組み合わせ、カーボンファイバーから成形されている。

その結果、ドライバーとパッセンジャーのエルゴノミクスを損なうことなく、クラス最高水準のダイナミック構造特性を備え、卓越した安全性を実現する、極めて高い剛性と強度を備えた、軽量な単一のパッセンジャーセルが誕生した。

アストンマーティンが内燃機関からハイブリッド、そして完全な電化へ移行するにあたり、Valhallaはその最前線に位置している。エンジン管理グループでは、ValhallaのビスポークのツインターボフラットプレーンV8エンジンについて、性能の最適化や効率の最大化など多くのことが研究された。

このエンジンはアストンマーティンにこれまで搭載された中でも、最も先進的で反応性が高い高性能のV8エンジンであり、3基の電気モーターを組み込んで、トータルの出力1,012PSを全輪駆動ハイブリッドパワートレインで作り出すことができる。

Valhallaは、フロントアクスルに搭載した2基の電気モーターにより、四輪駆動が可能であるだけでなく、エンジニアがそれぞれのフロントタイヤに適用するトルクを完全に独立制御することができる。これはトルクベクタリングと呼ばれる技術。これにより、旋回時のステアリングレスポンスや、コーナーでのグリップ、コーナーを抜ける際のトラクションが向上する。

さらにコーナーのあらゆる局面で、ドライビングエクスペリエンスとパフォーマンスが向上する。また、フロントの電気モーターは、逆の機能を持っており、リアトランスミッションの軽量化を実現している。3つ目の電気モーターは、トランスミッションに組み込まれており、ICEエンジンのスターター/ジェネレーターとして機能するのに加え、リアタイヤに追加的なパワーを供給する。

アストンマーティン製品開発担当ディレクターのカルロ・デラ・カーサ氏は、次のように話している。

「AMPT社のAMF1チームスタッフの知識と経験を当社のロードカー開発チームのスキルやノウハウと組み合わせることにより、F1から直接学んだ技術をスポーツカー開発に活かすことができました。Valhallaの目標は、パフォーマンス、ダイナミクス、ドライビングの楽しさについてクラス最高水準を打ち立てるスーパーカーを生み出すことです。Valhallaでは、“ジェントルマン・ドライバー”とレースサーキットのプロフェッショナルドライバー間のギャップを埋めるためにアクティブテクノロジーを用います。この驚異的な車を開発する上で、AMF1チームの知識にアクセスできたことは、私たちにとって大きな強みとなりました」

Valhallaは、年内に初のプロトタイプが路上での走行を開始し、2024年には生産開始を予定している。

関連情報:https://www.astonmartin.com/ja/models/valhalla

構成/土屋嘉久

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    初のミッドエンジン?ヴァルキリーが初じゃねえの??
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