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フェラーリ・プロサングエ登場 フェラーリ初4ドア パワートレインやスペック GTC4ルッソとの違いを解説

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フェラーリ・プロサングエ登場 フェラーリ初4ドア パワートレインやスペック GTC4ルッソとの違いを解説

フェラーリ初の4ドア4シーター登場

フェラーリ初の4ドア4シーター・モデルとして誕生したプロサングエ。

【画像】フェラーリから4ドア・4座モデル「プロサングエ」登場【ランボルギーニ・ウルスと比較】 全151枚

当然のことながら、ボディ構造を始めとするほとんどすべてを、このモデルのためにゼロから開発することになったという。

ボディ構造の基本はアルミスペースフレームで、ここにアルミ、高張力鋼板、カーボンコンポジットなどを組み合わせた「マルチマテリアル方式」が採用された。

たとえば、ボディパネルの多くはシート状のアルミで、Bピラーなど衝突時の衝撃を受け止める部材には高張力鋼板を多用。

ルーフはカーボンコンポジット製とすることで軽量化と低重心化を実現したといった具合だ。

なお、ルーフはカーボンコンポジット製が標準で、グラスルーフがオプションで設定されている。

プロサングエのボディでもう1つ特徴的なのは、エンジンやギアボックスなどの重量物をすべてホイールベース内にレイアウトした点にある。

全長4973mmに対してホイールベースが3018mmと長いのは、この運動性能優先のレイアウトを実現するためだった。

なお、プロサングエはフロント・エンジンでギアボックスを後車軸上に搭載したトランスアクスル方式を採用。

そのうえで駆動方式は4WDとされている。

そのメカニズムは、後述するとおりGTC4ルッソの4WDシステムの発展版というべきものである。

GTC4ルッソとプロサングエの最大の違い

一般的にいって、トランスアクスル方式と4WDを両立するのは困難だ。

というのも、エンジンパワーを四輪に配分するには、まずギアボックスで変速する必要があるが、トランスアクスル方式の場合、エンジンパワーをプロペラシャフトでギアボックスに伝えたあと、その駆動力の一部をあらためてフロントに戻さなければならず、エンジンパワーをフロント→リア→フロントと一往復させる必要が出てくる。

これが機械損失的にも重量的にも大きなロスとなることはいうまでもない。

そこでフェラーリは、エンジンの直後にPTU(パワー・トランスファー・ユニット)を搭載。

ここで駆動力を前後の車軸に向けて分割し、その一部はプロペラシャフトを介してギアボックスへと伝えられて後輪を駆動する。

いっぽう、PTU内部には、2段の変速機構と左右の前輪に駆動力を分配するメカニズムが組み込まれている。

しかも、左右輪への駆動力分配は、電子制御式ディファレンシャル機構と似たメカニズムによりその比率を電子制御できるという。

ここに、GTC4ルッソとプロサングエの最大の違いがある。

左右輪の駆動力を個別に調整できるということは、ヨーモーメントを電子制御できるのと同義。

つまり、駆動力を用いたトルクベクタリングを実現できることになる。

なお、SF90ストラダーレも同様に前輪の駆動力制御によるトルクベクタリング機能を搭載しているが、こちらは左右の前輪をモーターで個別に駆動する方式。

ただし、SF90の開発で得たノウハウをプロサングエにも活用したとフェラーリは説明している。

V12エンジンはプロサングエ仕立てに

ギアボックスは、やはりSF90ストラダーレでデビューした8段DCTがベース。

その特徴は、2つのクラッチを並列にレイアウトすることで全高を抑え、エンジンの搭載位置を下げることに役立てている点にある。

なお、プロサングエへの採用に際しては、1~7速をクロスレシオとしてスポーツ性を高めるいっぽう、8速をクルージング向けのレシオとして高速燃費を改善したという。

駆動系にもさまざまな特徴があるプロサングエだが、その最大の見どころがV12エンジンにあることは間違いない。

一部にはハイブリッドになるともうわさされたプロサングエのパワープラントには、最終的に排気量6.5Lの自然吸気式V12エンジンが採用された。

しかも、812スーパーファストなどに搭載されたのと基本的に同じF140系である。

ただし、プロサングエ用はシリンダーヘッド、カムシャフト、クランクシャフト、ピストン、コンロッド、ウォーターポンプ、オイルポンプなどを新設計。

プロサングエのキャクターにあわせて、低回転域から潤沢なトルクと生み出す特性に仕立て直したという。

ちなみに、F140IAと呼ばれる新エンジンの最高出力は722ps、最大トルクは73.0kg-mだが、2100rpm以上の回転域では最大トルクの80%以上を発生する模様。

しかも最高回転数は8250rpmで、高回転域では胸のすくようなフェラーリ・ミュージックを奏でるという。

フェラーリ初のアクティブサスペンション

まさにプロサングエの心臓部と呼ぶに相応しいV12エンジンに比べれば地味な存在かもしれないが、ビークルダイナミクスの面ではフェラーリ初のアクティブサスペンションの果たす役割も見逃すことができない。

いや、チーフ・マーケティング&コマーシャル・オフィサーのエンリコ・ガリレラは、「アクティブサスペンションがなければプロサングエは発売できなかっただろう」と言明するほど、重要な意味を持っているようだ。

その原理は、モーターとギアを使ってリサーキュレーティングボールスクリュー(ボルトとナットを用いて回転運動を直線運動に変換する機構)を駆動し、サスペンションを伸縮させる機構を四輪に搭載。

さらに、加速度計や位置検出用のポテンショメーターも取り付けて四輪の位置と動きを正確に検出するいっぽう、ボディには3つの加速度計を取り付けて挙動の把握に用いている。

また、モーター駆動には48V系システムを使い、高速で強力な車輪位置の制御を実現しているという。

同様のシステムは他ブランドにもあるが、フェラーリはドライバーに自然なフィーリングを与えたり、タイヤの接地性を最大限引き出すことに主眼を置いているという。

他ブランドのなかには、ボディを必要以上にフラットに保ったり、ロールを完全にキャンセルといった一種のギミックに役立てているケースもあるので、メカニズム的には似ていてもその思想やコンセプトはまったくの別物といえる。

さらに4WS、SSC8.0、4RM-S evo、F1-Tracといった電子制御システムをフルに活用することで、全高1.6m弱、車重が2t以上もある4ドア・モデルとは思えない機敏なビークルダイナミクスを実現したとフェラーリは主張している。

フェラーリ・プロサングエのスペック

全長:4973mm
全幅:2028mm
全高:1589mm
ホイールベース:3018mm
車両重量:2033kg
パワートレイン:V型12気筒6496cc
最高出力:722ps/7750rpm
最大トルク:73.0kg-m/6250rpm
ギアボックス:8速F1 DCT

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