現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > フェラーリ・プロサングエ登場 フェラーリ初4ドア パワートレインやスペック GTC4ルッソとの違いを解説

ここから本文です

フェラーリ・プロサングエ登場 フェラーリ初4ドア パワートレインやスペック GTC4ルッソとの違いを解説

掲載 9
フェラーリ・プロサングエ登場 フェラーリ初4ドア パワートレインやスペック GTC4ルッソとの違いを解説

フェラーリ初の4ドア4シーター登場

フェラーリ初の4ドア4シーター・モデルとして誕生したプロサングエ。

【画像】フェラーリから4ドア・4座モデル「プロサングエ」登場【ランボルギーニ・ウルスと比較】 全151枚

当然のことながら、ボディ構造を始めとするほとんどすべてを、このモデルのためにゼロから開発することになったという。

ボディ構造の基本はアルミスペースフレームで、ここにアルミ、高張力鋼板、カーボンコンポジットなどを組み合わせた「マルチマテリアル方式」が採用された。

たとえば、ボディパネルの多くはシート状のアルミで、Bピラーなど衝突時の衝撃を受け止める部材には高張力鋼板を多用。

ルーフはカーボンコンポジット製とすることで軽量化と低重心化を実現したといった具合だ。

なお、ルーフはカーボンコンポジット製が標準で、グラスルーフがオプションで設定されている。

プロサングエのボディでもう1つ特徴的なのは、エンジンやギアボックスなどの重量物をすべてホイールベース内にレイアウトした点にある。

全長4973mmに対してホイールベースが3018mmと長いのは、この運動性能優先のレイアウトを実現するためだった。

なお、プロサングエはフロント・エンジンでギアボックスを後車軸上に搭載したトランスアクスル方式を採用。

そのうえで駆動方式は4WDとされている。

そのメカニズムは、後述するとおりGTC4ルッソの4WDシステムの発展版というべきものである。

GTC4ルッソとプロサングエの最大の違い

一般的にいって、トランスアクスル方式と4WDを両立するのは困難だ。

というのも、エンジンパワーを四輪に配分するには、まずギアボックスで変速する必要があるが、トランスアクスル方式の場合、エンジンパワーをプロペラシャフトでギアボックスに伝えたあと、その駆動力の一部をあらためてフロントに戻さなければならず、エンジンパワーをフロント→リア→フロントと一往復させる必要が出てくる。

これが機械損失的にも重量的にも大きなロスとなることはいうまでもない。

そこでフェラーリは、エンジンの直後にPTU(パワー・トランスファー・ユニット)を搭載。

ここで駆動力を前後の車軸に向けて分割し、その一部はプロペラシャフトを介してギアボックスへと伝えられて後輪を駆動する。

いっぽう、PTU内部には、2段の変速機構と左右の前輪に駆動力を分配するメカニズムが組み込まれている。

しかも、左右輪への駆動力分配は、電子制御式ディファレンシャル機構と似たメカニズムによりその比率を電子制御できるという。

ここに、GTC4ルッソとプロサングエの最大の違いがある。

左右輪の駆動力を個別に調整できるということは、ヨーモーメントを電子制御できるのと同義。

つまり、駆動力を用いたトルクベクタリングを実現できることになる。

なお、SF90ストラダーレも同様に前輪の駆動力制御によるトルクベクタリング機能を搭載しているが、こちらは左右の前輪をモーターで個別に駆動する方式。

ただし、SF90の開発で得たノウハウをプロサングエにも活用したとフェラーリは説明している。

V12エンジンはプロサングエ仕立てに

ギアボックスは、やはりSF90ストラダーレでデビューした8段DCTがベース。

その特徴は、2つのクラッチを並列にレイアウトすることで全高を抑え、エンジンの搭載位置を下げることに役立てている点にある。

なお、プロサングエへの採用に際しては、1~7速をクロスレシオとしてスポーツ性を高めるいっぽう、8速をクルージング向けのレシオとして高速燃費を改善したという。

駆動系にもさまざまな特徴があるプロサングエだが、その最大の見どころがV12エンジンにあることは間違いない。

一部にはハイブリッドになるともうわさされたプロサングエのパワープラントには、最終的に排気量6.5Lの自然吸気式V12エンジンが採用された。

しかも、812スーパーファストなどに搭載されたのと基本的に同じF140系である。

ただし、プロサングエ用はシリンダーヘッド、カムシャフト、クランクシャフト、ピストン、コンロッド、ウォーターポンプ、オイルポンプなどを新設計。

プロサングエのキャクターにあわせて、低回転域から潤沢なトルクと生み出す特性に仕立て直したという。

ちなみに、F140IAと呼ばれる新エンジンの最高出力は722ps、最大トルクは73.0kg-mだが、2100rpm以上の回転域では最大トルクの80%以上を発生する模様。

しかも最高回転数は8250rpmで、高回転域では胸のすくようなフェラーリ・ミュージックを奏でるという。

フェラーリ初のアクティブサスペンション

まさにプロサングエの心臓部と呼ぶに相応しいV12エンジンに比べれば地味な存在かもしれないが、ビークルダイナミクスの面ではフェラーリ初のアクティブサスペンションの果たす役割も見逃すことができない。

いや、チーフ・マーケティング&コマーシャル・オフィサーのエンリコ・ガリレラは、「アクティブサスペンションがなければプロサングエは発売できなかっただろう」と言明するほど、重要な意味を持っているようだ。

その原理は、モーターとギアを使ってリサーキュレーティングボールスクリュー(ボルトとナットを用いて回転運動を直線運動に変換する機構)を駆動し、サスペンションを伸縮させる機構を四輪に搭載。

さらに、加速度計や位置検出用のポテンショメーターも取り付けて四輪の位置と動きを正確に検出するいっぽう、ボディには3つの加速度計を取り付けて挙動の把握に用いている。

また、モーター駆動には48V系システムを使い、高速で強力な車輪位置の制御を実現しているという。

同様のシステムは他ブランドにもあるが、フェラーリはドライバーに自然なフィーリングを与えたり、タイヤの接地性を最大限引き出すことに主眼を置いているという。

他ブランドのなかには、ボディを必要以上にフラットに保ったり、ロールを完全にキャンセルといった一種のギミックに役立てているケースもあるので、メカニズム的には似ていてもその思想やコンセプトはまったくの別物といえる。

さらに4WS、SSC8.0、4RM-S evo、F1-Tracといった電子制御システムをフルに活用することで、全高1.6m弱、車重が2t以上もある4ドア・モデルとは思えない機敏なビークルダイナミクスを実現したとフェラーリは主張している。

フェラーリ・プロサングエのスペック

全長:4973mm
全幅:2028mm
全高:1589mm
ホイールベース:3018mm
車両重量:2033kg
パワートレイン:V型12気筒6496cc
最高出力:722ps/7750rpm
最大トルク:73.0kg-m/6250rpm
ギアボックス:8速F1 DCT

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
ベストカーWeb
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
Auto Messe Web
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
AUTOSPORT web
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
AUTOSPORT web
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
AUTOCAR JAPAN
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
乗りものニュース
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
motorsport.com 日本版
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
AUTOSPORT web
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
AUTOSPORT web
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
AUTOSPORT web
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
くるまのニュース
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
AUTOSPORT web
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
AUTOCAR JAPAN
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
Auto Messe Web
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
AUTOSPORT web
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
AUTOSPORT web
約10年ぶりに“メイド・イン・イングランド”に!? 新型「ミニ・コンバーチブル」が“ミニの聖地”で生産開始
約10年ぶりに“メイド・イン・イングランド”に!? 新型「ミニ・コンバーチブル」が“ミニの聖地”で生産開始
VAGUE

みんなのコメント

9件
  • 利用規約およびコミュニティーサービスに関する規則(ガイドライン)を順守し、日本語に責任をもってご投稿ください。
  • 担当さんからフェラーリにアポ はあ?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2970.03470.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2280.03790.0万円

中古車を検索
GTC4ルッソの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2970.03470.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2280.03790.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村