東洋工業(現・マツダ)がNSU社とライセンス契約を交わし1961年から研究開発を始めたロータリーエンジン。1951年にフェリックス・ヴァンケル博士が発明したもので、「夢のエンジン」とまで言われたが、実際には未完成なものだった。当時の松田恒次社長に社運をかけたロータリーエンジンの開発を託されたのが、気鋭のエンジニア山本健一氏(タイトル画像)だった。この連載ではその開発過程から1991年のマツダ787Bによるル・マン24時間制覇までをマツダOBの小早川隆治さんの話に基づいて辿ってみる。
山本健一さんを中心とした勇姿たち
山本健一さん(以下、山本さん)についての話を主にうかがったのはマツダOBの小早川隆治さん(以下、小早川さん)だ。1963年に東洋工業 に入社し創設したてのRE研究部に配属され、初期のロータリーエンジン開発にも携わった人だ。
【くるま問答】トヨタ2000GTのサイドにある四角い部分には、いったい何が入っているのか?
「僕が大学でエンジンの燃焼の研究をやっていたとき、マツダがロータリーエンジンの研究を始めたというニュースが入ってきた。それを聞いて入社するのは東洋工業しかないと思い、幸いにも入社することができました」と小早川さんが語るように最初からロータリーエンジンへの強いパッションをもってのマツダへの入社だったわけだが、そこには気鋭のエンジニアである山本さんがいた。
「私が入社したときにはRE研究部長だった山本さんは、なんとしてもロータリーエンジンを成功させたいと一所懸命やっておられたが、入社したての自分たちのことも信頼して、非常に暖かく接してくださり、みんなが一所懸命やろうという気持にさせてくれる方だった」と振り返る。
そして、若者に刺激を与えるリーダーでもあったという。「山本さんは、いろいろなミーティングを良くやられていました。今でも覚えていますが、ある会議なんか全部英語でやりだすわけですよ。それでこれは英語をやらなければいけないと思った」というように当時からグローバルな人材を育てることも視野に入れていたのだろう。
マツダがロータリーエンジン開発に取り組むまでの背景をざっと解説していこう。1920年に創業したマツダは、戦前からオート三輪のメーカーとして成長、戦後も日本のモータリゼーションの発展を支えた企業だが1950年代の終わりに思いがけない逆風を受けることになる。
「通産省が日本の自動車メーカーは 3つくらいに統合しないと欧米と競合してやっていけないだろうと言い出しました。その頃の社長が松田恒次さんで、このままいったら東洋工業は他の自動車メーカーに吸収されてしまうという危機感もあり、独立メーカーとして生き残る方策が必要と思われたのでしょう」
マツダはそんな中にあって、1960年にR360クーペを、 1962年にキャロルを、63年にファミリアを発売するなど意欲的な乗用車を出していくが、逆風を乗り越えるような革新的な技術を求めていたのも事実だ。
「ちょうどその頃、西ドイツ(当時)でヴァンケルエンジン(=ロータリーエンジン)が誕生したというニュースが飛び込んできました。そこに松田社長は強いインスピレーションを受けたのでしょう。もしそういうインスピレーションがなければ、ロータリーエンジンの開発に着手することはなかったと思います」
松田社長は1960年自ら西ドイツに飛び、ヴァンケルエンジンのライセンサーであるNSU社と仮契約をする。そしてマツダのエンジニアとして小型3輪車K360の開発に携わるなど辣腕を振るっていた山本健一さんをロータリーエンジンの開発責任者に指名した。
小早川さん自身は1963年4月入社だが、研修期間を経てからRE研究部に配属されたので、立ち上げ時にはメンバーに加わっていないこともあり「僕は四十七士ではない」と言うが、気持ち的にはその中の一人であることは間違いないだろう。
「山本さんは、最初はロータリーエンジンにぞっこんというわけじゃなかったようですが、松田社長やマツダの置かれた状況を見ていると、これはやらなければいけないという思いになっていかれたのだと思います。1961年山本さんを中心に限られた人数で開発を始めましたが、1963年の5月にロータリーエンジン研究部が創設され、山本さんが社内の各部門から人材を集めてこられた。それが46人で、山本さんを入れて47人。赤穂浪士になぞらえて四十七士といわれる所以です。47人が当時の開発部門の中の何%にあたるかというのはわからないですけれど、立ち上げとしてはかなりの規模だったと思います」<続く>(取材・文/飯嶋洋治)
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みんなのコメント
商業的には鳴かず飛ばずの失敗作もあったが、皆の記憶にしっかり刻み込んだ名車も作ってきたからね。ロータリーエンジン車というのは、その典型でしょうね。