乗用車用フォーシーズンタイヤ展示中
text&photo:Hidenori Takakuwa (高桑秀典)
今回の東京モーターショーにおける横浜ゴムのブースでは、「OPEN FUTURE」をコンセプトとして、現在から未来に向けて新しいモビリティ形成をサポートするさまざまな技術がプレゼンテーションされた。
それと同時にグローバル・フラッグシップ商品の「ADVAN Sport V105(アドバン・スポーツ・ブイ・イチマルゴ)」や、2020年1月9日からの本格販売が予定されている乗用車用オールシーズンタイヤ「BluEarth-4S AW21(ブルーアース・フォーエス・エーダブリュー・ニーイチ)」といった最新タイヤも数多く展示している。
降雪地にはアイスガード
プレス・カンファレンスに登壇した横浜ゴム株式会社 取締役常務執行役員 技術統括兼研究先行開発本部長の野呂政樹氏によると、「クルマが所有するものからシェアするものに変わりつつあるが、カーライフが楽しいものであると、もう一度捉えていただけるように日々タイヤ造りを進めている」とのこと。
エコタイヤ「DNAシリーズ」やスタッドレスタイヤ「アイスガード」をラインナップする一方で、ホビータイヤ戦略としてヒストリックカー用タイヤなども販売。これからも商品ラインナップの拡充を図ることでユーザーの多様なカーライフをサポートしていきたい、と挨拶した。
横浜ゴムといえば、80年代から低燃費性能とウェット性能の両立に欠かせないシリカの研究をスタートさせ、1998年にエコタイヤのDNAシリーズを発売したことで知られているが、野呂氏によると「発売当時はエコ性能でタイヤが売れるとは誰も思っていなかった」そうだ。しかし、省資源が求められる時代になったことから、今回は横浜ゴムのブースにて、地球環境に配慮したサステナビリティをテーマとした技術がこれまで以上に紹介された。
取り付けできる吸音材
技術名、研究名を列記すると、超軽量タイヤ&タイヤのエアロダイナミクス技術、バイオマス(天然資源)から合成ゴムを生成する技術(バイオ技術によってイソプレンの生成に成功し、計算科学=AIによってブタジエン生成触媒システムの開発に成功)、タイヤとして使用後もリサイクル可能な熱可塑性の架橋ゴムであるTHCラバーの研究といったことだ。
また、不特定多数のドライバーが運転することになるカーシェアリングや自動(無人)運転のクルマにおいてはタイヤのパンクが大きな問題になるため、セルフシールコンセプトタイヤの開発や、無音に近い電気自動車ではタイヤのノイズが課題となるため、サイレントタイヤ(着脱式の面ファスナーによる吸音技術)の開発も進めていることが野呂氏からアナウンスされた。
さらに横浜ゴムは、タイヤもCASE(Connected/コネクテッド、Autonomous/自動運転、Shared & Services/カーシェアリング、Electric/電気自動車の頭文字をつなげた造語)対応およびIoT化が必須であると考えており、今回の東京モーターショーではコネクテッド分野において、従来のタイヤ空気圧検知に加え、摩耗検知、路面検知、それらのデータをデジタルツールで処理・管理していくソリューションビジネスの展開を視野に入れ研究開発を行っていることを発表。
今後はタイヤから得られたデータをいかにユーザー等にフィードバックしていくかというシステムやアプリケーションの開発も重要であると考え、それらが新たなタイヤビジネスの付加価値になっていくと予想されるため、タイヤセンサー開発の加速化が急務と判断して、アルプスアルパインと共同開発を進めていることがプレス・カンファレンスにて公表された。
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