アゼルバイジャンGPの予選Q2でメルセデスのルイス・ハミルトンは、不必要に遅いペースで周回したとして審議対象となり、レーススチュワードから呼び出しを受けた。しかし、彼は問題は無かったと反論した。
審議対象の根拠となるのは、F1の国際競技規則の第33条4項。条文は以下の通りだ。
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「いかなる場合においても、不必要に遅く、不規則に、あるいは他のドライバーに危険を及ぼす可能性のある方法でマシンを走らせてはいけない」
またアゼルバイジャンGPに向けて、レースディレクターのニールス・ウィティヒはイベントノートに、予選でドライバーに求められる正しい行動として次のように記している。
「予選の全周、または決勝レースに向けてピット出口がオープンとなったレコノサンスラップにおいて、マシンが不必要に遅くならないよう、ドライバーはピットレーンマップに示されたセーフティカーライン間の最大タイムより下に留める必要がある」
その最大タイムは、フリー走行2回目終了後に2分09秒0と定められた。
ハミルトンはスロー走行を行ない、その直後を走っていたランド・ノリス(マクラーレン)を先行させ、次のアタックラップでトウ(スリップストリーム)を得ようと考えていた。
しかしそのノリスもハミルトンのトウを狙っており、同じくスローで走行。ハミルトン同様に違反の疑いがあるとしてスチュワードの呼び出しを受けた。
今シーズンはスペインGPの予選でも、18人のドライバーが同様の違反を55回行なったとスチュワードは指摘。深刻な違反としてケビン・マグヌッセンとミック・シューマッハーのハースのふたりが警告を受けていた。
スチュワードとの面談を前に、ハミルトンは最大タイムを下回っていた上、レーシングラインから外れた位置を走っていたと自身の潔白を主張した。
予選での出来事についてmotorsport.comから質問を受けたハミルトンは次のように答えた。
「僕らはストレートで最も遅い部類なんだ」とハミルトンは言う。
「だから僕はトウが必要だったんだ。ルールでは、セーフティカーラインの1本目から2本目までの最大タイム以内に収める必要がある」
「僕の最大タイムとの差は問題なかった。僕はスピードを落として完全にレコードラインから外れた。でも(後続の)彼らは抜こうとしなかった」
「スペインでは最大タイムを完全に無視して、とんでもなく遅いスピードで走るマシンがいた。そのうちの1台か2台は、叱責程度のペナルティを受けたと思う」
「でもあれだけ遅くても、もっともっと遅くしたかったはず。タイヤの温度は少なくとも5度は低くなっていたはずだ」
「だからあんなに速かったんだ。彼らが速度を落としていった時に僕は彼らのあたりを通過したけど、何の問題もなかったと記憶しているよ」
「でもとにかく、今回僕は最大タイム内で走っていたし、ラインを外していた。危険な状態では無かったんだ」
ペナルティは避けられるかと尋ねられたハミルトンはこう続けた。
「間違ったことはしていないと思う。(後続の)彼らは抜く選択肢があったのに、そうしなかった。僕は最大タイム内だった。僕が最大タイムを越えていたら(ペナルティも)理解できるけど、僕はそうじゃない」
スチュワードはハミルトンとノリス、チーム代表から聞き取りを行ない、映像や無線、GPSを確認した結果、問題は無かったとして「これ以上の処置はなし」という裁定を下している。
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