■予想の斜め上を行くホラー“コメディ”
片田舎の古びた遊園地って、なんとなく怖いですよね。チープでビビッドな色味の経年劣化した遊具や人形が呼び起こす、記憶にないはずのノスタルジー……。ニコラス・ケイジ(以下、ニコケイ)主演の『ウィリーズ・ワンダーランド』は、まさにそんな“忘れられた遊園地”を舞台に繰り広げられる、血の惨劇を描いたホラー“コメディ”映画です。
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ニコケイが演じるのは、パンクした車の修理費を稼ぐために、廃れた遊園地(テーマパーク)の清掃を引き受けた男。その園では、メインキャラであるイタチをはじめ、ワニやカメレオン、ゴリラ、ダチョウなど、動物マスコットのロボットが踊り歌い、来場者を楽しませていたようでした。そんな時代も今は昔、かつての輝きは失われ、中も外も落書きだらけの荒れ放題。しかも、このマスコットたちは夜な夜な動き回り、従業員を襲っていたのでした……。
あらすじから予想されるのは、ニコケイが殺人マスコットたちの魔の手から逃れるために奔走するホラーパニックでしょうか。ところが本作で血に染まるのは、性に奔放で軽率な若者たちの役目。ニコケイは唸り声のほかには一言も発しません(!)が、マスコットたちを殴り蹴り、突き刺しぶった斬り、そして激しく踊り狂います。ちなみに相手がロボということで、飛び散るのは鮮血ではなくどす黒い機械油なので、スプラッタ要素は少なめです。
ともあれ、このニコケイ演じる主人公、なぜか掃除は効率よく真面目にこなし、自分が負ったケガは全部ダクトテープで手当するなど、なかなかに奇妙なキャラクター。一見すると、ニコケイが閉じ込められて絶体絶命かと思いきや、閉じ込められていたのは殺人マスコットたちだったのでは? という、いわゆる「ナメてた◯◯が実は◯◯だった」の系譜でもあるのですから、かなり独特な作品と言えるでしょう。
ニコケイといえば、『ゴーストライダー』(2007年)を始め、多くの作品でバイクや車を乗り回してきた俳優。高級車コレクターとしても有名な彼ですが、『ゴーストライダー2』(2011年)で使用したヤマハVMAXも所有しているそうです。そんなニコケイの不思議な魅力が炸裂した『ウィリーズ・ワンダーランド』は、新宿シネマカリテで開催される「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2021」にて2021年7月10日(土)より公開。
■【動画】『ウィリーズ・ワンダーランド』予告編
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