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伊藤かずえさんの「シーマ」再生が決定! バブルを象徴する初代シーマはどんな車?

掲載 更新 23
伊藤かずえさんの「シーマ」再生が決定! バブルを象徴する初代シーマはどんな車?

■伊藤かずえさんの「シーマ」がSNSをきっかけに注目

 日産は2021年3月17日に、異例のリリースを発表しました。内容は女優の伊藤かずえさんの愛車である初代「シーマ」を2021年4月からレストア(再生)するというものです。

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 事の発端となったのは伊藤さんが2020年10月に自身のSNSで、愛車のシーマを日産ディーラーに点検に出した際に、新車から乗って30年目ということで花をもらったと投稿。

 それまでも伊藤さんのシーマ愛は有名でしたが、免許を取得したばかりの娘さんにもシーマを運転させていることなども報告すると、投稿を見た人々から「すごい!」と絶賛されました。

 この伊藤さんのツイートやブログに、日産へ「レストアして」というコメントが多数寄せられたことを受け、日産社内でも何かできないのかとの声も上がり、有志によるチームが立ち上がり、伊藤さんへの「日産からの感謝の想い」をレストアという形で取り組むことになりました。

 伊藤さんは「この度、このようなお話をいただき感謝しています。父と塗りなおした塗装やへたってしまったシートなど思い出が詰まっているけれども、きれいにしたい部分がどうなるのか楽しみです。

 レストア中も見学できるという事なので、毎日のように作業の様子を見に行ってしまうかもしれません。

 30年乗り続けたシーマとお別れするのはすごく寂しいですが、戻ってくるのを楽しみにしています」とコメント。

 さらに、このプロジェクトのチームリーダーである、日産自動車 日本事業広報渉外部部長の遠藤和志さんも「伊藤さんが30年以上に亘り、シーマを大切に乗り続けていただいていることに感謝するとともに、大変嬉しく思います。

 シーマは日本における自動車の歴史において 一石を投じたクルマのひとつであると自負しております。

 30年以上お乗りいただいた車両を、伊藤さんが期待する『新車時と同じ状態』に戻すレストアは非常に難しい作業となりますが、『技術の日産』に恥じぬよう、総力をあげて伊藤さんにご満足いただける仕上がりにしたいと思います。是非、皆さまもご期待下さい」と、語っています。

 レストアは2021年4月から開始される予定で、日産の公式ツイッターでもレストアの進捗が発信されるとのことです。

※ ※ ※

 伊藤さんのシーマは2020年時点で走行距離が26万km以上に達していることが判明していますが、写真を見るからにはかなり状態は良さそうに見えます。

 また、伊藤さんのコメントにある「父と塗りなおした塗装」というのも、フロントバンパーのモール類に見られ、決して仕上がりは完璧ではないにしても、伊藤さんのシーマに対する愛が強く感じられるエピソードではないでしょうか。

 そこで、1988年に誕生した初代シーマとはどんなクルマだったのか、紹介します。

■日本人の中流意識の高まりを見事にキャッチアップした「シーマ」

 日産はかつて数多くのセダンをラインナップしていましたが、その頂点に君臨したのがショーファードリブンカーの「プレジデント」で、その次にアッパーミドルクラスセダンの「セドリック/グロリア」が存在。
 
 そんななか、1986年頃から日本は好景気が始まり、中流意識が高まっていたことから高級なものが求められており、ちょうど時代にマッチしたクルマとして1988年にシーマが誕生しました。

 初代シーマは1987年の第27回東京モーターショーにコンセプトカーとして出品され、翌1988年1月に発売されました。販売チャネルの違いによって「セドリックシーマ」と「グロリアシーマ」が正式な車名です。

 外観はセドリック/グロリアと一線を画した3ナンバー専用の4ドアピラーレスハードトップのボディで、全長4890mm×全幅1770mm×全高1380mm(タイプIIリミテッド)と、のびのびとしたボディサイズによって欧州車を思わせる流麗な外観デザインとなっていました。

 グレード構成は後述のエンジンの違いによって大きくふたつに分けられ、さらに装備によって「タイプI」「タイプII」「タイプII-S」「タイプIIリミテッド」の4タイプを展開。

 タイプII-S/タイプIIリミテッドに搭載されたエンジンは255馬力を誇る3リッターV型6気筒DOHCターボの「VG30DET型」で、V型6気筒DOHCターボエンジンはシーマが日本初です。

 タイプI/タイプIIには200馬力を発揮する3リッターV型6気筒DOHCエンジン「VG30DE型」が搭載され、トランスミッションは全グレードとも4速ATで、駆動方式はFRの2WDのみ。

 なかでもターボエンジン搭載車は車重1640kg(タイプIIリミテッド)のボディをものともしない驚異的な加速力を発揮。アクセルを大きく踏み込んだゼロ発進では柔らかめのサスペンションによってテールをグッと沈ませた姿勢となり、そのままの姿勢で加速する姿はシーマならではの光景でした。

 内装は過度の加飾を廃した比較的シンプルな印象で、直線基調のインパネまわりと緩やかにカーブしたメーターバイザーの対比が斬新です。

 パワーシートやオートエアコン、オーディオなど高級車では一般的なものは標準装備され、本革シートやシートヒーターなどはグレード別のオプションで設定。

 また、当時普及が始まったばかりの高額な自動車電話もオプション設定され、ハンズフリーで会話できるように専用のハンドルには操作ボタンが設置されました。

 サスペンションはフロントにストラット、リアにセミトレーリングアームと、セドリック/グロリアからのキャリーオーバーですが、上位グレードには電子制御エアサスペンションが装備。

 このエアサスペンションは走行モードの切り替えでバネレートと減衰力の設定が変更され、コンフォートな乗り心地やスポーティな走りにも対応し、さらに乗員の人数が変わっても車高を一定に保つなど、走行安定性が高められました。

 初代シーマの発売当初の価格は500万円前後とかなり高額で、デビュー当初はまだヒットには至りませんでしたが、1989年に物品税が廃止されたことや自動車税の低減が図られたことを受け、一気に大ヒットを記録。

 シーマのヒットに端を発してトヨタ初代「セルシオ」、8代目「クラウン」、ホンダ「レジェンド」などの高級車が次々とヒットし、こうした現象を経済紙は「シーマ現象」と報道したほどです。

 その後、初代シーマは1989年にマイナーチェンジして1990年には装備を簡素化した「タイプLセレクション」の追加をおこない、1991年8月に2代目へバトンタッチしました。

※ ※ ※

 今回、伊藤さんのシーマを日産がレストアするわけですが、こうした取り組みは非常に珍しいことです。

 ホンダとマツダは初代「NSX」、初代「ロードスター」のレストアサービスをおこなっていますが、あくまでも車種を限定した事業の一貫としておこなわれており、日産の「R32型スカイラインGT-R」のレストア事業も同様です。

 一方、そうした事業とは別に、日産はこれまで毎年1台のペースで日産と関連会社の有志の手で、歴史的なクルマやレーシングカーのレストアをおこなっており、さまざまな車種に対応できるノウハウの蓄積もあります。

 このシーマ・レストアプロジェクトはどのくらいの期間がかかるかは不明ですが、きっと新車同様の姿を見せてくれるでしょう。

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みんなのコメント

23件
  • 日本のお国の頭連中に古い車の減税を考えてくれ凸( ̄▽ ̄)凸
  • 誰かどこから見ても3ナンバーの高級車シーマにしか見えず、分かりやすい憧れのクルマだった。
    3ナンバー専用ボディのインパクトは絶大で、バンパーを大きくして3ナンバー化した他車とは一線を画していた。
    まさにバブルを象徴する名車だと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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