美しいデザインと349kmの航続距離
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
【画像】航続距離349kmの純EV プジョーe208 ガソリン版と並列 全77枚
プジョーe208は、純EVへ一歩を踏み出す気軽な選択肢として、高く評価されるべき内容を持つ。運転の楽しさやデザインの美しさという点でも、208はコンパクトカー市場のトップレベルにある。
ほかの自動車メーカーが、高価格帯の純EVを大きいボディで投入したり、短い航続距離をシティカーという理由で正当化しようとする中で、プジョーは全長4mのe208を発表した。
ガソリンエンジンを積むクルマと違わないパッケージを備え、航続距離は349kmと充分。同等の内容を持つルノー・ゾエも発売されているが、動的性能やデザインの美しさでは、プジョーe208の方がずっと良い。もっとも、発売時期には7年もの差があるが。
e208はリアトレッドがガソリンエンジン版の208より広く、オーバーフェンダーも付き、見た目はさらに良い。インテリアもプレミアムな雰囲気がある。革新的なi-コクピットも、改善されている。
高い位置のメーターパネルと、低い位置のステアリングホイールは、機能的。小径のステアリングホイールは、低速域での機敏な走りにも好都合だ。ドライバーは低く座れ、視界も良好。
90km/h以下での走りは活発。110km/hでの高速巡航も、見事な静けさを保ってこなせる。ロードノイズや風切り音も小さい。ただし、高速なほど航続距離は短くなるけれど。
バッテリーが空になっても、プジョーe208は100kWまでの急速充電器に標準で対応する。最短30分で、80%の容量まで電気を蓄えられる。
安価な価格と、好印象なオンロードマナー
オンロードマナーも、e208の美点。驚くほどしなやかなサスペンションは、プレミアムと呼びたくなるほどの洗練度。高速域でも変わらない。比較的速度域が低いであろう純EVの場合、多くのドライバーが快適なまま過ごせるはず。
ヴォグゾール(オペル)・コルサ-eも、プラットフォームやパワートレインを共有する。しかし、素晴らしいプジョーe208とは、異なるの乗り心地に仕上がっている。
ガソリンエンジン版の208より300kgも重く、e208のハンドリングはアンダーステア傾向。それでも、引き締まった身のこなしで扱いやすく、安定性は高い。
プジョーe208は比較的手頃な価格も魅力。安価なエネルギーコストや税制的なメリットが、強く後押ししてくれる。
現実的な利用条件でも、プジョーe208なら今までのクルマと同様に乗れ、電気モーターの走りを体験できる。新世代として、期待通りの内容だといえる。
審査員コメント
Matt Prior(マット・プライヤー)
種類が増えつつある純EVの中で、最も優れたモデルとしてプジョーe208が選ばれる理由。それは、ガソリンエンジン版のプジョー208が、そもそも好ましいモデルだというところにある。
デザインは美しく、質感も高く、運転が楽しい。コンパクトカーとして、2020年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれるほど。
それをベースとするe208は、ガソリンエンジン版と同等の長所を、違和感のない純EVとして享受できている。しかも、手頃な価格で。
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