イタリア車だけのサーキット・イベント
text :Kazuhide Ueno(上野和秀)
【画像】2021フェスタ・イタリアーノ【現地レポート】 全26枚
photo:Club Motherhead(クラブマザーヘッド)
初開催となるイタリア車限定のサーキット・イベント、2021フェスタ・イタリアーノが6月6日に愛知県の幸田サーキットで行われた。TAA(トランスアクスル・アルファロメオ・アソシエーション)とクラブマザーヘッドの共同開催で「走って、交流して、楽しむ日」を目指し、万全のコロナ対策を施して開かれた。
展示型イベントとレースイベントの良いところを併せ持つイベントで、サーキット走行を楽しむための基本を学びつつ、愛車で全開走行を楽しもうというもの。今後どこかのサーキット走行会でも活かせるような、経験値をひとつ上げる機会を提供する場とされた。
フェスタ・イタリアーノは単に走りを楽しむだけではなく、イタリア車を愛するクルマ好き同士で1日交流が楽しめる場の提供を目指している。パドックにはケータリングも招き、のんびり1日クルマ趣味を楽しめる場とされた。
走行クラスはレベルに合わせて、初めてサーキット走行をするビギナーからベテランまでが楽しめるように、5つに分けられた。先導車付きで追い越し禁止のパレードラン、腕に合わせて20分の走行を3本走れるビギナークラスとミドルクラスのふたつの走行会。
頂点に位置するレース形式走行会はスポーツライセンス無しで手軽に参加でき、排気量1100cc以下によるピッコロクラスと、1100cc以上のマキシクラスを設定。このクラスのみ20分の練習走行、20分の予選を行い、グリッドスタートの10周で決勝レースが行われた。
また走行会参加車両にも計測器を装着するサービスもあり、走行した全てのラップタイムを出力してプレゼントされた。自分の走りを数値化したラップタイムは、普段見られないだけに好評だったという。
しかし、ゆるいのはスタンスだけ。参加者はサーキット保険に加入し、ドライバーズミーティングではポストのフラッグ表示などサーキットのルールの説明を始めとする走行注意点が徹底的に解説された。
初回ながら53台が参加
初開催のイベントにもかかわらず53台が集まり大いににぎわった。午前中は雨に降られたが、次第に天候が回復し絶好のサーキット走行日和となった。
パレードランには女性オーナーが運転する1968年フィアット500から最新のアバルト124スパイダー、フェラーリ348tbまでの18台が参加。その中には貴重な1961年アルファ・ロメオ・ジュリエッタSZも姿を見せ注目を集めていた。
走行会はビギナー、ミドルと自己申告により分けられ、それぞれのペースでサーキット走行を満喫していた。3回目の走行時には最初のタイムから15秒以上も詰めた参加者もあり、タイムアップに喜ぶ姿もこの会の趣旨にピッタリといえる。
ピッコロクラスは10台が参加
1100cc以下のイタリア車によるレース形式走行会がピッコロクラス。参加した10台中6台が同じエンジンを積む空冷2気筒のフィアット500系だった。このほかフィアット126とフィアット600D、アウトビアンキA112が挑んだ。
イタリアのローカルレースを彷彿とさせる雰囲気で、予選でトップから5位までが2秒差という接戦だけに、毎周バトルが繰り広げられた。愛らしいイタリアの小さなマシンがレースをするだけにギャラリーも盛り上がっていた。
ピッコロクラスを制したのは903ccのアウトビアンキA112を駆る浅井選手で、2位はジャンニーニ590GTコルサの丹羽選手、3位にフィアットdap650の高橋選手が続いた。
マキシクラスは8台がバトル
排気量無制限のマキシクラスだが、タイトな幸田サーキットだけにタイムはドライバーの腕とマシンのバランスに左右される。予選、決勝と圧倒的な速さを見せたフィアット・リトモ・アバルト130TCを駆る前田選手が完勝を遂げた。
2位にアルファ・ロメオ2000GTVを駆る佐々木選手、3位はアルファ・ロメオ145の永野選手、4位にはアルファ・ロメオ・アルフェッタGTの金田選手が入った。スタートから2位を懸けた3台のバトルがギャラリーを沸かしてくれ、レース終了後の表彰台で入賞を称えたのち、炭酸水ファイトで互いの走りを称え合った。
サーキット・イベントだけに走って終わりかというと、この会はそうではない。イタリア車オーナー同士のコミュニケーションも濃厚で、終始和気藹々とした交流が続いた。
「イタリア車でキャンプ」
こうした和み感は、前夜に行われた「イタリア車でキャンプ」の恩恵が大きい。幸田サーキットが今回試験的に行ったもので、コース内にテントを張りキャンプを楽しんでもらおうという企画である。
その雰囲気はヨーロッパの耐久レースを楽しむ観客の1シーンを思わせるものだった。シャワー室が2つだけという課題もあったが、参加者の一体感を増してくれた。今後全国で同じようにサーキット・キャンプが増えるのではないか? と思わせる良い企画だった。
初めて開かれた「フェスタ・イタリアーノ」は、それぞれのレベルでイタリア車を存分に走らせて楽しむという主旨をクリアし、参加者も走りと歓談を存分に楽しんでいたのが印象的だった。イタリア車オーナーの定番イベントとして発展することを期待したい。
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