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絶妙の公道セッティング BMWアルピナB4 グランクーペへ試乗 495psの直6 後編

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絶妙の公道セッティング BMWアルピナB4 グランクーペへ試乗 495psの直6 後編

M4より滑らかな6気筒サウンド

BMWアルピナのラインナップへ加わった、B4 グランクーペ。通常の4シリーズ・グランクーペと同じく、サスペンションやステアリング、エンジンの設定を変更できるドライブモードが搭載されている。

【画像】BMWアルピナ グランクーペのB4とB8 競合のスポーツサルーンと写真で比較 全111枚

今回はサーキットだから、シャシーもエンジンも、最も引き締まったものを選ぶことにした。コンフォート・モードを選んでも、この場所では乗り心地を判断しにくい。

大きなグランクーペで、鋭い加速や減速、旋回といった能力を確かめるのにも適している。気温が高いから、クルマにとっては酷ではあるけれど。

コースインすると、鋭いダッシュ力に感心する。B4 グランクーペは、0-100km/h加速を3.7秒でこなすという。シフトチェンジはスムーズでクイック。エンジンは勢いよく吹け上がる。

このモードでは、アクセルペダルを一気に放すと、アフターファイヤーの破裂音がエグゾーストノートに混ざる。M3やM4で記憶しているものより、エンジンサウンドにはザラつきが少ない。直列6気筒らしい音だが、より滑らかに聞こえる。

試乗の合間に、サーキットを周回するBMWアルピナを眺めていたが、ガソリンターボのB4でもディーゼルターボのD4でも、排気音のボリュームは抑えられている。放たれるサウンドに包まれるのは、クルマが目前を通り過ぎる時くらいだった。

素晴らしいシャシーバランスに感動

ステアリングホイールには、丁度いい重みづけが与えられ、レシオも速すぎず遅すぎず。精度が高く、とても操舵しやすい。ボディの動きは機敏でありながら、しっかり抑制されている。

ブレーキング時は穏やかにフロントノーズが沈み込み、フロントタイヤの設置性を高められる。そこからコーナーへ切り込んでいくと、素晴らしいシャシーバランスに感動する。

アルピナの技術者へ、コーナーへの侵入速度について話を伺う。過度に高いスピードを保とうとすると、穏やかなアンダーステアに落ち着くという。特に、長く続くような高速コーナーでは。

フロントエンジン・リアドライブで、全長が4.8m、車重が1965kgあるサルーンとして、自然な挙動といえる。ドライバーとしても、大きな不安は抱かないだろう。

一方で侵入速度を若干抑えることで、フロントノーズはコーナーの頂点を目指すようになる。その間、横方向のグリップ力は絶妙に維持される。そして、アクセルペダルの操作でライン調整できつつ、脱出加速へと繋げていける。

引き締まったドライブモード時は、アクセルオフでエンジンの回転数が鋭く下がる。右足の力加減で、シャシーバランスを活かし、コーナリング時のスタンスを自在に調整することもできる。Mモデルのようにドリフト・モードは備わらないが。

しっかり衝撃を吸収する足まわり

サーキットでの試乗の限りでは、3シリーズ・サルーンをベースとしたB3より、敏捷性は穏やかに感じられた。しかし、午前中に別のジャーナリストが走り込んだタイヤを履いていたことが、理由だった可能性はある。

そんなお疲れ気味のタイヤでも操舵感は繊細で、タイトコーナーからの急加速でリアがふらつくようなことはなかった。一般道では、見事にニュートラルなバランスを披露してくれるのではないだろうか。

タイヤサイズは、フロントが255/35 ZR20で、リアが285/30 ZR20。銘柄はピレリPゼロで、専用開発であることを示すAPLのイニシャルが刻まれている。積極的に縁石へ乗り上げ、その追従性や落ち着きを確かめてみる。

一般道での振る舞いを再現することは難しいものの、しっかり衝撃を吸収し、流暢さが保たれているようだった。これまでのアルピナ通りといえる。

舗装の傷んだ英国より、滑らかなドイツの路面の方が、快適なことは間違いない。だが伝統に則っているなら、本気のMモデルより乗り心地は優れているはず。

BMWアルピナは、ランフラットタイヤは採用していない。サスペンションのチューニングも独自のものだし、アダプティブダンパーやタイヤのキャンバー角なども、通常の4シリーズ・グランクーペとは異なっている。

アンチロールバーや、フロントストラットとシャシー間のねじり剛性を高めるブレースも、BMWアルピナのオリジナル。乗り心地や操縦性に与える違いは多い。

アルピナへ惹かれたのなら、買うべきは今

このB4 グランクーペは、アルピナの独自性が保たれた環境下で開発された、最後のモデルの1つになる可能性はある。2025年に現在の協力関係が終わり、完全なBMW傘下へ納まって以降に手掛けるモデルを、指し示すものではないだろう。

筆者は、新しいBMWアルピナB4 グランクーペをとても気に入った。もし読者が現在のBMWアルピナに惹かれ、充分な予算があるのなら、自分の気持へ正直に動いて良いと思う。アルピナを買うべきは今でしょう、ということだ。

BMWアルピナB4 グランクーペ(欧州仕様)のスペック

英国価格:8万663ポンド(約1347万円)
全長:4792mm
全幅:1850mm
全高:1440mm
最高速度:300km/h
0-100km/h加速:3.7秒
燃費:9.9km/L
CO2排出量:223g/km
車両重量:1965kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:495ps/5000-7000rpm
最大トルク:74.2kg-m/2500-4000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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みんなのコメント

3件
  • 今後Mとアルピナの立ち位置は、どのように棲み分けられるのだろう?
  • > 今後Mとアルピナの立ち位置は、どのように棲み分けられるのだろう?

    現在BMWとALPINAは別会社。BMWがALPINAを傘下にすれば「棲み分け」とも言えるが、基本的に2025年末までは別会社だ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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