イタリアのミラノで開催されたEICMA2018(ミラノショー)で世界初公開されたホンダCB650R。3月15日に国内発売される同車は、前モデルであるCBR650Fから、一体どう進化したのか? 詳しくチェックしてみよう。REPORT●北秀昭(KITA Hideaki)
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2014年にネイキッドモデル「CB650F」とともに発売されたホンダのミドルスポーツ「CBR650F」。その進化版として新登場するのが「CBR650R」だ。
新しいCBR650Rは、ホンダの最高峰スーパースポーツモデル「CBR1000RR Fireblade」をイメージしたスタイリングが特徴。
CBR650Rのスタイリングの狙いは、「コンパクト&アグレッシブ」。ストリート色の濃いネイキッドモデルのCB650Rに比べ、より性能向上を前面に押し出した、さらに走りに特化したスタイリングやポジションが大きなポイントだ。
CBR650Rのスタイリングの特徴
CBR1000RR Fireblade同様、高速走行時のライダーの居住性、またワインディングなどで繰り返される車体切り返し時の軽快感を両立させた、軽量コンパクトなデザインを採用。
軽量化を推進するために最小化されたカウルは、ミドルカウル上部からサイレンサーへと抜けるアウトラインを形づくり、前傾ライディングポジションとマシンのマッチング性を外観からも高めているのが特徴だ。
また、テンションを感じさせるサーフェスの表情と、直4ならではの特徴あるエキゾーストパイプを覗かせたアンダーカウルのエアアウトレットにより、走りのイメージを強調。
さらにミドルカウルは、ブラック仕上げの“レイヤー”部との組み合わせにより、走行時のラジエーター排風を効果的に乗車空間の外側に流すことでライダーへの影響を軽減し、よりライディングへの集中できるように設計されている。
フロントマスクはLEDデュアルヘッドライトの採用により、CBRシリーズ
の血統をより一層感じさせる顔つきとしながら、機能性の追求によりCBR650R独自のデザインを実現。
ヘッドライト下両側には、CBR650R専用ツインラムエアダクトへ効果的にフレッシュエアを取り入れるインテークを配置。
また、ヘッドライト左右にミドルカウル上部とアッパーカウルから構成された開口部を設けることで、前面投影面積を最小化し、空気抵抗低減と軽快なハンドリングを確保している。
レーシーなフロントマスクに注目
コンパクトかつ充分な光量を持つLEDデュアルヘッドライトを採用。ロービーム時にも左右両側が点灯することにより、CBRシリーズとして一層の存在感を誇示している。
LEDデュアルヘッドライト採用に伴い、トータルで良好な空力特性を作り込み、CBR650Rの運動性能の向上を獲得。
新設計のテールランプ
新設計のLEDテールランプを採用。レンズには、縦方向に発光面積を増幅させるフルート(溝)カットと下側を取り巻くようにシボ加工を施し、コンパクトながら豊かな光りの表情を実現。
また、制動時には内蔵されたストップランプが点灯。メリハリのある視認性を確保しているのがポイントだ。
新しくなったウインカー&ライセンスランプ
ウインカー、ライセンスランプは、共にLED化を図り、ウインカー合計で従来比252g軽量化。また、ライセンスランプは、従来比41g軽量化を実現。CB650R同様、CBR650Rも全灯火器をLED化されている。
ギアポジション等を備えた多機能メーター
メーターは、軽量コンパクト化を図りながら、より豊富な情報をライダーに提供する多機能型を採用。メーター表示面を縁まで透明アクリルで覆い、液晶サイズを最大化したフルフラットデザインとしている。
スピードメーターやタコメーターなどの基本装備に加え、ギアポジションインジケーター、水温計、エンジン回転数のピークホールド表示、エンジン回転とリンクして変速タイミングを知らせるシフトアップインジケーターなどを追加しているのが特徴だ。
これらを盛り込みながら、従来比約21mmの薄型化と93gの軽量化を実現し、マス集中化に寄与している点も見逃せないところ。
CBR650Rのライディングポジションは?
ネイキッドモデルのCB650Rと同じステップ位置に加え、セパレートハンドルをトップブリッジ下側に設定。従来よりもさらにハンドル位置を下げているのがポイントだ。
ワインディングなどでの頻繁な加減速やコーナリングなどをより楽しめるライディングポジションとすることで、ライダーと車体との一体感を大幅に高めている。
さらに進化したフレーム
フレームや足周りは、3月15日に同時発売されるCB650Rと基本的に共通。フレームはスチールの持つしなやかな特性を活かすとともに、高い効率を誇るダウンドラフト式吸気レイアウトを可能とするツインスパー形状を従来モデルから継承。
剛性バランスを見直すとともに、フレーム構成部品の見直しを図ることで、さらに運動性能を向上させている。
剛性に優れたピボット周り
ピボットプレートは、従来の鍛造プレートからプレス成型品を組み合わせたボックス構造に変更。より薄いスチールプレートを用いながら、閉断面(モナカのように閉じた形状)とすることで、軽量化と高剛性化を高次元で両立させている。
振動を軽減するエンジンハンガー
エンジン後方上側に位置するエンジンハンガーをクロスパイプに一体化。従来の別体締め付け構造に対し、軽量化を図りながら、CAE解析を活用したシミュレーションとテスト走行によるライディングフィールの作り込みを実践。不快なエンジンの振動低減を実現している。
“マスの集中化”に寄与したシートレール
高い運動性能を実感できるよう、ライダースペースをタイトに設定。同時にシートレールのアンダーパイプがピボットプレートに接合される位置をより上方に移動させることで、シルエットに一層の軽快感を与えるとともに、シート後端を従来よりも約60mm短縮させてマス集中化に大きく寄与している。
また、部品配置を変更することでステーの廃止やコード類の短縮、新規デザインのステップ採用などによる軽量化も含め、従来比6kgの完成車重量低減を実現。
これらにより出力向上と併せてパワーウエイトレシオを改善し、市街地からワインディングまでより快活にライディングを楽しめるモデルへと進化を遂げている。
軽量化されたアルミホイール
従来の6本Y字型スポークから、5本Y字型スポークの新デザインを採用。剛性の最適化を行いながら各部を薄肉化し、前440g・後530g軽量化を図り、旋回時の慣性モーメント低減による軽快なハンドリングを実現。
強靭なブレーキシステム
フロントには新設計のφ310mm・10ピンフローティングディスク、ラジアルマウントキャリパー、倒立型フロントフォークを採用。
また、ブレーキパッドの材料も変更。リニアな減速フィールと十分な制動力を確保し、幅広いシチュエーションで安定感のあるブレーキコントロール性を獲得している。
リヤにはφ240mmシングルディスクと1ポットキャリパーを装備。また、ABSを標準装備することで、ブレーキング時の安心感を高めている。
ピロボール新採用のスイングアーム
フロントフォークを倒立式としてバネ下重量を低減。さらに新開発のクッションオイルにより、フリクションを低減し、軽快なハンドリングを実現。
リヤにはスイングアームとの締結部にピロボールを新採用し、クッション作動性を向上。これにより、路面に対する車体追従性を大幅に向上させているのもポイントだ。
エンジンの特徴は?
CBR650Rに搭載の水冷4ストロークDOHC直列4気筒648ccエンジンは、3月15日に同時発売されるCB650Rと基本的に共通。ただしCBR650Rとは、「エアダクト」の構造が異なるのがポイントだ。
エンジンは「レスポンスと吹け上がりを向上させた官能的な直4フィール」を目指し、『動弁系諸元の変更』『ピストン形状の変更』『吸排気系の変更』を実施。中回転域から高回転域の出力特性を改善・向上させている。
CBR650Rの出力特性
ピーク回転にかけて、谷のない上昇フィーリングを提供する出力特性に変更。扱いやすさを高めるとともに、従来に対して高回転域の出力を向上させている。
スロットル全閉から中開度域の3000~8000rpm付近のスロットルレスポンスを高めたことにより、ワインディングなどでのキビキビした走りを実現。特に7000rpm付近からのひときわ刺激的な吹け上がり感は、直4ユニットならではの大きな魅力の一つとなっている。
動弁系諸元の変更点
従来よりも高回転型の特性とするためにカムプロファイルを見直し、バルブタイミングを最適化。
また、この高回転化に伴う荷重変化に対応したバルブスプリング諸元の最適化、幅を増やし強度を上げたカムチェーンの採用、バルブシートの材質変更により耐久性を向上。これらの変更により、出力向上とスムーズなトルク特性に大きく寄与している。
ピストン形状の変更点
ピストン頭部の形状変更に加え、燃焼室形状を最適化。併せて着火性能の高いイリジウムプラグを採用することで、混合気をより効率よく燃焼。吹け上がり感とスロットルレスポンスの向上を実現している。
吸気系の変更点
吸気ダクトのツイン化とエアクリーナー内部構造の見直しにより、従来に対して主にエンジン高回転域における吸気効率を向上。「直4の魅力最大化」を図っている。
また、ツイン化した吸気ダクトを専用仕様とし、CBR650Rの走りのキャラ
クターをより明確なものとしている。
エアクリーナーの内部構造を変更
従来モデルから継承した、高回転型エンジンに適したダウンドラフト式吸気レイアウトをベースに新設計。エアクリーナーエレメントを従来よりも20°立てた配置とすることで、吸気がよりスムーズにファンネル側に流れる構造としている。
併せてエアクリーナー形状の適正化に加え、エレメントガードのパンチング
メタルを廃止することで、エアクリーナーエレメントの開口面積を約1.7倍に拡大。
これらにより、吸気ダクトからファンネルに至るまでの吸気抵抗を低減させ、高回転域までストレスなく一気に吹け上がる、直4ならではのパワーフィールを獲得。
この新設計のエアクリーナーは、性能向上に大きく寄与しながら、肉厚変更や内部構造の見直し、前述のエレメントガード廃止などにより、従来に対して約200gの軽量化を実現している。
CBR650Rならではの「ツインラムエアダクト」
従来のシングル吸気ダクトから、より効率的にフレッシュエアを取り入れられるツイン吸気ダクトを新採用。また、専用のラムエアダクトを採用することで、走行時の風圧(ラム圧)による高速域でのエアクリーナーボックス内の気圧を高め、燃焼室への吸気充填効率を向上。その成果として、高速域でのより鋭いエンジン回転上昇フィーリングを実現している。
排気系の変更点
マフラーは、マス集中化を図った従来からの形式を引き継ぎつつ、テールパイプ径を従来のφ35mmからφ38mmに拡大。より排気の「抜け」をよくすることで、最高出力向上と胸のすくような吹け上がり感を実現している。
また、テールパイプ後端角度を従来からさらに35.4°上向きに変更することでライダーが排気音をより楽しめる構造に設計。
これを含めたパワーユニットトータルの変更により、消音性能を維持しながら200~800Hz(低~中音域)帯の音圧を上昇させ、直4ならではのエキサイティングなサウンドを獲得している。
アシストスリッパークラッチを装備
ライダーの疲労軽減と安心感向上を目的に、アシストスリッパークラッチを採用。アシスト機構により、クラッチレバー操作荷重を従来比約12%軽減。また、シフトダウンに伴う急激なエンジンブレーキによる後輪ホッピングを軽減するスリッパー機構を備えることで、扱いやすさを向上させ、より快適でスムーズな乗り味を可能にしている
Honda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)を装備
リヤタイヤの駆動力を制御し、安心感のある走りを提供するHonda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)を採用。
この機構は、前後の車輪速度差から算出された値に基づき、燃料噴射量調整によるエンジントルクの最適化でリヤタイヤの駆動力を制御し、後輪スリップを緩和するシステム。ライダーは走行状況に応じて、左ハンドルのTCスイッチによりHSTCをOFFにすることも可能だ。
エマージェンシーストップシグナルを装備
急ブレーキをいち早く伝える機能であるエマージェンシーストップシグナルの採用により、安心感と安全性をアップ。
56km/h以上で走行している時の急ブレーキをABSモジュレーターが判定し、その情報を受け取ったウインカーリレーがハザードランプを高速点滅することで、後続車などに注意を促してくれる。
CBR650Rの純正アクセサリー
CBR650Rのスポーツ性をより強調するアクセサリーを設定。写真はアクセサリー装着車。
≪主な純正アクセサリー≫
・ハイウインドスクリーン(クリアとスモークの2種類あり)
・タンクパッド
・アルミサイドカバー
・アルミフロントフェンダーパネル
・スポーツグリップヒーター
・クイックシフター(シフトアップのみ)
・リアシートバッグ
・アクセサリーソケット
・Honda二輪ETC2.0車載器キット(アンテナ別体タイプ)
■主要諸元
全長×全幅×全高 (mm)2,130×750×1,150
軸距 (mm)1,450
最低地上高 (mm)★130
シート高 (mm)★810
車両重量 (kg)207
乗車定員 (人)2
燃料消費率※3(km/L)国土交通省届出値
定地燃費値※4(km/h)31.5(60km/h定地走行テスト値)<2名乗車時>
WMTCモード値★(クラス)※521.3(クラス3-2)<1名乗車時>
最小回転半径 (m)3.0
エンジン型式・種類RH03E・水冷 4ストローク DOHC 4バルブ 直列4気筒
総排気量 (cm3)648
内径×行程 (mm)67.0×46.0
圧縮比 ★11.6
最高出力 (kW[PS]/rpm)70 [95]/12,000
最大トルク (N・m[kgf・m]/rpm)64[6.5]/8,500
燃料供給装置形式電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)>
始動方式 ★セルフ式
点火装置形式 ★フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式 ★圧送飛沫併用式
燃料タンク容量 (L)15
クラッチ形式 ★湿式多板コイルスプリング式
変速機形式常時噛合式6段リターン
変速比
1 速3.071
2 速2.352
3 速1.888
4 速1.560
5 速1.370
6 速1.214
減速比(1次★/2次)1.690/2.800
キャスター角(度)★/トレール量(mm)★25°30´/101
タイヤ
前120/70ZR17M/C(58W)
後180/55ZR17M/C(73W)
ブレーキ形式
前油圧式ダブルディスク
後油圧式ディスク
懸架方式
前テレスコピック式
後スイングアーム式
フレーム形式ダイヤモンド
■道路運送車両法による型式指定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
■製造事業者/本田技研工業株式会社
※3燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※4定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※5WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます
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