バンドーン、雨のスパでアストンマーチンF1初走行「どのラップも楽しめたよ！」テストでは最速をマーク

　F1ベルギーGP終了後にスパ・フランコルシャンで行なわれたピレリのF1タイヤテストに、ストフェル・バンドーンはアストンマーチンから参加。初めてAMR23をサーキットで走らせた。

　今季からチームのリザーブドライバーを務めるバンドーン。F1マシンでの走行という点では、2021年末のアブダビテストでメルセデスのマシンを走らせて以来となった。

　2日間のタイヤテストにはアストンマーチンと並んでマクラーレンも参加。終始雨模様となったことで、使用されたのはウェットタイヤとインターミディエイトタイヤのみだった。

　ベルギーGPの前には、2024年からの導入が目指されていたタイヤウォーマーを必要としないスリックタイヤの導入見送りがF1委員会で決定された。本来、このテストはそのプロトタイプタイヤのためのモノだったが、来季は使用されない上、2025年以降の独占タイヤ供給契約にピレリがブリヂストンに敗れた場合は、日の目を見ない可能性もある。

　そのため、ピレリにとってはスパでのウェットコンディションは好都合だった。ポール・リカールやフィオラノのサーキットを人工的に濡らすよりも有益なデータを得られたはずだ。

　テスト1日目の火曜日には、ランス・ストロールがアストンマーチンAMR23を駆り、70周を走行。ベストタイムは1分57秒697だった。一方、マクラーレンはオスカー・ピアストリが走行を担当し、47周の中で2分00秒682のベストタイムを記録した。

　テスト2日目の水曜日には、前半に雨が強く降ったものの、この日も走行距離とタイムでアストンマーチンがマクラーレンを上回った。

　バンドーンは53周を走って1分57秒631、マクラーレンのランド・ノリスは40周を走って2分00秒628を記録した。

　バンドーンはドライでの走行機会を得られなかったものの、AMR23の感触を掴む貴重な機会となり、シミュレータとの関連性を確認し、代役参戦が必要となった時に役立つ経験を得られた。

「今回、AMR23をドライブしてF1マシンに戻ってこられたのは素晴らしいことだ」

　走行を終えてバンドーンはそう語った。

「久しぶりだったし、アストンマーチンのグリーンのマシンをドライブするのは初めてだった」

「ウェットコンディションだったけど、スパで走ることができたのは特別なことだ。午前中はウェットタイヤで走って、午後になってコンディションが良くなったからインターミディエイトタイヤで走行プログラムを行なった」

「ウェットコンディションでもマシンの感触は良かったし、どの周回でも楽しめたよ」

　ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは、ウェットでの走行が本来の目的ではなかったものの、ウェットでマイレージを稼げたことのは「非常に有益だった」と認めている。

「ベルギーGPの週末と同様に、2日間のスパのテスト中も雨が止むことはなかった」とイゾラは言う。

「その結果、路面の水量によって大きく変化するアスファルトの上では、インターミディエイトとエクストリームウェットタイヤの開発に専念せざるを得なかった」

「困難もあったが、アストンマーチンとマクラーレンとともに1,500km近くを走ることができた。先日行なわれたF1委員会での決定を受けて、テストプログラムの焦点は明らかに変わっている」

　次回のピレリタイヤテストは、9月のイタリアGP後にモンツァで行なわれる予定だ。