現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > クルマではよく聞く「タイミングベルト交換」バイクではしなくてもいい!?

ここから本文です

クルマではよく聞く「タイミングベルト交換」バイクではしなくてもいい!?

掲載 76
クルマではよく聞く「タイミングベルト交換」バイクではしなくてもいい!?

クランクシャフトとカムシャフトをつなぐのがタイミングベルト

中古車のクルマを探していると、備考欄などに「タイミングベルト交換済み」という文言を見かけることがある。交換という言葉とセットになっているということは、定期的に交換が必要な部品であろうことは想像つくだろう。一方、二輪ではあまり馴染みのない「タイミングベルト」。どこについていて、どんな役割を果たしている部品なのだろうか。

【画像8点】「ベルト」「チェーン」「ギヤ」いろんな形があるバルブの動かし方

その役割をひと言でいえば「バルブを動かす」ためと表現できる。当然だが、吸排気バルブがあるということは2サイクルエンジンではない。4サイクルエンジンに必要な部品だ。具体的にレイアウトでいえば、クランクシャフトとカムシャフトをつないでいるのがタイミングベルトである。

あらためて確認すると、レース用を除く通常の量産エンジンでは、クランクシャフトの回転によってカムシャフトを動かすというのは当たり前の設計だ。そして多くのエンジンではクランクシャフトはオイルパンの近く、カムシャフトはヘッドの最上部にある。その間をつなぐには何らかの長いものが必要なのは容易に想像できるだろう。

同じ役割のパーツに「タイミングチェーン」「カムギアトレーン」など

クランクシャフトとカムシャフトをつなぐのに使われるのは大きく3つのメカニズムがある。クランクシャフトとカムシャフトそれぞれに歯車的なパーツをつけ、ベルトもしくはチェーンでつないでクランクシャフトとカムシャフトを連動させて動かそうというのが一般的で、繋ぐ方法によってそれぞれ「タイミングベルト」「タイミングチェーン」と呼ばれる。ちなみに「タイミングチェーン」は「カムチェーン」と同義。二輪ユーザーにとってはこちらの呼び名の方が親近感があるかもしれない。

3つ目には、歯車だけでクランクシャフトとカムシャフトをつなぐ「カムギアトレーン」と呼ばれるメカニズムが採用されていることもあるが、ごくごく一部の特殊なエンジンに限られたメカニズムだ。

広く使われるものとして「タイミングベルト」と「タイミングチェーン」という2つのメカニズムは共存しているのはなぜなのだろうか。それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらを優先するかによってベルトにするか、チェーンにするかが決まってくる。

シンプルにいえば、タイミングベルトのメリットは静粛性に優れていることで、デメリットは耐久性に難があること。タイミングチェーンのメリット・デメリットはその逆といえる。

耐久性に難ありということは、タイミングベルトは定期的な交換が必要ということだ。冒頭で記したように中古車で「タイミングベルト交換済み」というのをアピールしているのは、大掛かりなメンテナンスは済ませていますよということを想起させるのも狙いだ。

タイミングベルト交換周期を逃すとオーバーホール級の修理が不可欠に

では、タイミングベルトの交換サイクルはどれくらいなのか。耐久性には定評があり、二輪ユーザーにもよく知られているトヨタ ハイエースの場合でも、その交換サイクルは10万kmとなっている。10万kmを超えた瞬間に切れてしまうということではないが、いつ切れてもおかしくないと判断すべき目安が走行10万kmということだ。

なお、タイミングベルトが切れてしまうとバルブとピストンが当たってしまうというトラブルが起きうる。そうなるとピストン、バルブともに交換が必要になる。すなわちエンジンオーバーホール級の修理が不可欠になるのだ。逆に、タイミングベルトだけの交換であればエンジンを降ろさなくてもカバーを外してできるように設計されている。安心のためにはタイミングベルトの交換時期は無闇に伸ばさないほうがいい。

タイミングベルトは、長く使っていると切れてしまうことのある部品と聞くと、ハイパワーエンジンには向かないと思ってしまうかもしれないが、そんなことはない。国産車でいえばハイパワーなターボエンジンで知られる三菱自動車のランサーエボリューション・シリーズが長年にわたって搭載してきた「4G63」型エンジンはタイミングベルトを使っていた。同じく、世界ラリー選手権で活躍したイタリアのランチア・デルタインテグラーレのターボエンジンもタイミングベルト仕様だった。

ちなみに、ランサーエボリューションについては国産らしく10万kmが交換の目安とされているが、ランチア・インテグラーレについては2万kmもしくは4年ごとの交換が望ましいというのが、イタリア車を扱いなれているショップの見解といえる。そして、この交換サイクルはイタリアのバイクについても同様だったりする。

少数だがバイクにもタイミングベルト採用車がある

そう、二輪でもタイミングベルトを採用しているメーカーはある。その代表格がドゥカティだ。ドゥカティの代名詞ともいえるL型エンジンには、まさにL字のカバーがついているが、それこそがタイミングベルト・カバーだ。カバーを開けると、クランクシャフトからそれぞれのシリンダーに向かってタイミングベルトがつながっている様子が確認できるはずだ。

L型エンジンのタイミングベルトについては交換サイクルが、2~3万kmもしくは5年ごとという風になっている(車種によって異なる)。タイミングベルトを採用しているバイクは少数派なため、様々なバイクに乗っているライダーだと、ついつい交換パーツであることを忘れてしまうかもしれないが、ドゥカティに乗っているのであれば車検ごとにタイミングベルトを交換するような心持ちでいれば、安心して乗り続けることができるだろう。

レポート●山本晋也 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実 写真●ホンダ/カワサキ/ドゥカティ/八重洲出版

こんな記事も読まれています

ラリージャパン2024の来場者数が発表。4日間合計54万3800人で前年を上回る
ラリージャパン2024の来場者数が発表。4日間合計54万3800人で前年を上回る
AUTOSPORT web
おじさん気軽に投票!! 今年の10台からどれを選ぶ!?  [クルマ総選挙 新車編]最終選考開始
おじさん気軽に投票!! 今年の10台からどれを選ぶ!? [クルマ総選挙 新車編]最終選考開始
ベストカーWeb
燃費はプリウス超え???? [次期型カローラ]は内燃機関の未来を背負って2026年に登場か!!!!
燃費はプリウス超え???? [次期型カローラ]は内燃機関の未来を背負って2026年に登場か!!!!
ベストカーWeb
2025年MotoGP暫定エントリーリストが発表。ヤマハは3年ぶりの4台体制、國井がMoto2へ参戦
2025年MotoGP暫定エントリーリストが発表。ヤマハは3年ぶりの4台体制、國井がMoto2へ参戦
AUTOSPORT web
新型[NSX]は1000馬力オーバーか!? ホンダが全固体電池搭載のハイパーBEVを投入する可能性大 
新型[NSX]は1000馬力オーバーか!? ホンダが全固体電池搭載のハイパーBEVを投入する可能性大 
ベストカーWeb
大ヒット予想!! マツダ[新型CX-5]が超絶進化! ハイブリッドモデル登場でしかも安いなら期待大!!
大ヒット予想!! マツダ[新型CX-5]が超絶進化! ハイブリッドモデル登場でしかも安いなら期待大!!
ベストカーWeb
3万7000台も売れたロールス・ロイス! 10年の予定が30年以上も貢献した「シルバーシャドウ」とは一体どんなクルマだった?
3万7000台も売れたロールス・ロイス! 10年の予定が30年以上も貢献した「シルバーシャドウ」とは一体どんなクルマだった?
Auto Messe Web
トヨタのラリー育成は4名全員がプログラム継続。3期生の松下、後藤はラリー3にステップアップ
トヨタのラリー育成は4名全員がプログラム継続。3期生の松下、後藤はラリー3にステップアップ
AUTOSPORT web
新生EVツーリングカーの2年目に向け、2025年STCCカレンダー発表。ヨーテボリ市街地を含む全5戦に
新生EVツーリングカーの2年目に向け、2025年STCCカレンダー発表。ヨーテボリ市街地を含む全5戦に
AUTOSPORT web
なぜ「モータースポーツ新会社」設立? GRとは違う「TGR-D」誕生!? トヨタ会長が語る会社分割の狙いとは
なぜ「モータースポーツ新会社」設立? GRとは違う「TGR-D」誕生!? トヨタ会長が語る会社分割の狙いとは
くるまのニュース
エリーゼを「徹底」レストモッド! アナログ・オートモーティブ・スーパースポーツへ試乗 ローバーKは維持
エリーゼを「徹底」レストモッド! アナログ・オートモーティブ・スーパースポーツへ試乗 ローバーKは維持
AUTOCAR JAPAN
ベントレーがストリート感漂う「PICANTE」とコラボしカプセルコレクションを発売! テーマは「旅」…懐メロも入ったプレイリストも公開中
ベントレーがストリート感漂う「PICANTE」とコラボしカプセルコレクションを発売! テーマは「旅」…懐メロも入ったプレイリストも公開中
Auto Messe Web
2025年のMotoE暫定カレンダーが発表。ハンガリー大会が新たに追加も年間7大会14レースに減少
2025年のMotoE暫定カレンダーが発表。ハンガリー大会が新たに追加も年間7大会14レースに減少
AUTOSPORT web
「早く月曜日になってくれ」勝田貴元が明かすシート喪失の重圧と、来季決定の瞬間/ラリージャパン
「早く月曜日になってくれ」勝田貴元が明かすシート喪失の重圧と、来季決定の瞬間/ラリージャパン
AUTOSPORT web
2025年ジャパンカップのエントリー受付がスタート。3月にはプレシーズンテストも開催へ
2025年ジャパンカップのエントリー受付がスタート。3月にはプレシーズンテストも開催へ
AUTOSPORT web
“エンジンルーム”に「謎のスピーカー」搭載!? なんのため? 新型「Gクラス」に備わるユニークな機能とは
“エンジンルーム”に「謎のスピーカー」搭載!? なんのため? 新型「Gクラス」に備わるユニークな機能とは
くるまのニュース
“オーバーフェンダー”が高性能車の証! メルセデスAMGのド迫力クーペ「CLE53」はサーキットも視野に入れた「生まれながらの武闘派」
“オーバーフェンダー”が高性能車の証! メルセデスAMGのド迫力クーペ「CLE53」はサーキットも視野に入れた「生まれながらの武闘派」
VAGUE
次期型BMW iX3 「ノイエ・クラッセ」初のモデル、試験生産開始 2025年投入
次期型BMW iX3 「ノイエ・クラッセ」初のモデル、試験生産開始 2025年投入
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

76件
  • NC30VFRに乗ってますが、カムギア特有の音が心地良いです。
    あまり採用されてないのが悲しいです。
  • >バイクではしなくてもいい?

    タイトルに対する明確な答えが記事内にないのはカービューだからか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村