2013年に登場し、すでに9年が経過したロングセラーモデルとなった現行型レクサスIS。2016年、2020年と2度のマイナーチェンジを経て、現在のラインアップとなっています。2Lターボ、3.5LV6、5LV8に加えて2.5Lエンジンのハイブリッドシステムを搭載しており、レクサスブランドの中も充実したパワートレインとなっています。ここでは、レクサスISに搭載されているエンジンやトランスミッションといったパワートレイン、そして安全装備を紹介します。
レクサス ISのエンジンのスペックを紹介
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レクサスISに搭載されているエンジン(ハイブリッドはパワートレイン)は、4種類あります。IS300は2L直列4気筒ターボエンジン。IS300hは2.5L直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッドシステム。IS350には3.5L V型6気筒エンジン。そしてIS500には5LV型8気筒エンジンが搭載されています。ここでは、各エンジンの特徴を紹介しましょう。
IS300に搭載されている8AR-FTS型2L直列4気筒ターボエンジンは最高出力245ps、最大トルク350Nmを発生します。また燃費性能はWLTCモードで12.2km/Lを実現しています。
この2Lターボエンジンは、ツインスクロールターボチャージャーとDual VVT-i(吸気側VVT-iW)を組み合わせ、最適な燃焼効率を実現するD-4STを採用することにより、1,650~4,400回転という幅広い回転域で350N・mの最大トルクを発生します。また、最高出力が発生する回転数領域の広さによって、パワフルなフィーリングを実現しているのが特徴です。
IS300hに搭載されている2AR-FSE型2.5L直列4気筒エンジンと1KM型モーターを組み合わせたハイブリッドシステムはシステム合計の最高出力は220ps、WLTCモードは2WD車で18.0km/L、AWD車は16.2km/Lと高出力と低燃費を両立しているのが特徴です。
2.5L直4ガソリンエンジンは、Dual VVT-iやD-4Sを採用しエンジンの最高出力は178ps、最大トルクは221Nmを発生。またモーターの最高出力は143ps、最大トルクは300Nmを発生します。このハイブリッドシステムは、エンジンを高トルクモーターと融合させることで豊かなトルクを引き出し、力強く胸のすくドライビングフィールを提供します。
さらに、アクセル操作に対する駆動力の出力制御を変更することによりレスポンスが良く、加速の伸びが気持ちの良いスポーティな走りを実現します。
IS350に搭載にされている2GR-FKS型3.5L V型6気筒エンジンは、自然吸気エンジンらしいパワーフィールが特徴です。最高出力318ps、最大トルク380Nmを発生する一方で、WLTCモードは10.7km/Lという燃費性能を発揮します。
アトキンソンサイクルの実現に加えて、吸排気タイミングを最適化するDual VVT-i (吸気側VVT-iW)や高熱圧での筒内直線噴射を実現し、吸気ポート噴射との使い分けを最適制御するD-4Sなどにより、パワーと環境性能で同排気量クラストップレベルを追求。
リヤエンジンマウントのたわみ特性を最適し、交差点での右左折や高速道路でのレーンチェンジなど幅広いシーンで、すぐれた操縦応答性を確保しています。
そしてIS500には最高出力481ps、最大トルク535Nmを発生する2UR-GSE型5L V型8気筒エンジンを搭載しています。このエンジンはどこまでも加速していくような気持ちの良い伸び感や自然吸気ならではのレスポンスが特徴です。
搭載されているエンジンにはチタン製吸排気バルブや鍛造クランクシャフトなどの軽量化によりトップエンドまで気持ち良く伸び続けるトルク感とレスポンスを際立たせています。また、吸気系のデュアルインテーク化による吸気圧損の低減と吸排気切り替えバルブによる背圧の低減によって優れたエンジン性能を実現しています。
レクサス ISのトランスミッションを紹介
レクサスISに採用されているトランスミッションはハイブリッド車のIS300hはCVT。その他のガソリンエンジン搭載車には8-Speed SPDSと呼ばれる電子制御8速ATが組み合わされています。
このトランスミッションは、ノーマルモードでは多段ATらしい滑らかな変速で快適な乗り心地を提供する一方で、「SPORTモード」ではG AI-SHIFT制御により、レスポンスのよい加速を発揮します。さらに、手動変速が可能な「Mモード」では、0.2秒という驚異的な変速スピードで、よりアグレッシブかつスポーティなドライビングを愉しむことができます。
レクサス ISのシステムについて紹介
レクサスISは後輪駆動の2WD車を中心に、ハイブリッド車のIS300hにAWD車が用意されています。搭載されているAWDシステムは高い走破性と静粛性を両立しているのが特徴です。前後輪に豊かな動力を配分するトランスファーに、引き続きトルセンLSD(センターディファレンシャルギヤ)を採用。
前後輪の車輪速度に速度差が生じると作動し、トランスミッションからの駆動トルクを適切に配分します。通常は前後輪のトルクを40:60で配分し、高い走破性を実現。さらに、走行条件に応じて前後輪に50:50から30:70の間で瞬時にトルク配分し、すぐれた操縦安定性をもたらします。
レクサス ISの安全装備を一覧で紹介
プリクラッシュセーフティ(歩行者[昼夜]・自転車運転者[昼]検知機能付衝突回避支援タイプ/ミリ波レーダー+単眼がメラ方式)
プリクラッシュセーフティは衝突の危険があるときに、システムがブレーキを操作し被害を軽減させる機能です。レクサスISではミリ波レーダーの検知範囲を広角化、カメラの性能を向上させたことで、夜間の歩行者と自転車運転者の検知を可能となりました。
衝突の可能性が高いとシステムが判断した場合、ブザーとディスプレイで危険をお知らせ。ブレーキを踏めた場合はブレーキ踏力をアシスト、踏めなかった場合は自動的にブレーキを作動させることで、衝突回避を支援、あるいは衝突被害の軽減に寄与します。なお、対向車に対しては減速して衝突時の速度低減をサポートしてくれます。
レクサスISのプリクラッシュセーフティの機能には交差点右左折支援があります。この機能は交差点右折時に直進してくる対向車および右左折時に対向方向から横断してくる歩行者をミリ波レーダーと単眼カメラで検出。ブザーと表示で衝突の可能性を知らせ、その後プリクラッシュブレーキを作動。衝突回避または被害軽減をサポートするというものです。
また、緊急時操舵支援機能は、歩行者、自転車運転者、車両と衝突する可能性が高く、自車線内に回避するための十分なスペースがあるとシステムが判断した場合、ドライバーの回避操舵があったとき、操舵支援を行い、車両安定性確保と車線逸脱抑制に寄与するというものです。そして低速時加速抑制機能は、自車の直前にいる歩行者、自転車運転者、車両をミリ波レーダーと単眼カメラで認識。
前方に対象物がある状態で、停車または徐行状態からアクセルペダルが必要以上に強く踏み込まれた場合には、エンジン出力を抑制または弱いブレーキをかけることで加速を抑制し、衝突回避または被害軽減をサポートする機能です。
レーントレーシングアシスト(LTA)
高速道路や自動車専用道路を走行中、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)の作動時に、車線維持に必要なステアリング操作支援を行うことでドライバーの運転負荷を軽減する機能がレーントレーシングアシスト(LTA)です。また、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)を使用していない場合でも、車線逸脱警報機能、車線逸脱抑制機能は作動可能となっています。
車線支持機能というのは、緩やかなカーブでの支援に加え、滑らかにふらつき少なくレーン中央をキープして走行できる機能のこと。カメラ認識技術の向上により、レーントレース性能が大幅に向上しました。
白(黄)線が検出困難な場合でも先行車に追従する支援を行います。また、曲がりきれず車線を逸脱する可能性がある場合には、表示による注意喚起を行い、ドライバーのステアリング操作を促す機能です。
一方、車線逸脱警報機能 / 車線逸脱抑制機能は車線から逸脱するおそれがある場合にマルチインフォメーションディスプレイへの表示、およびステアリングの振動または警報ブザーにより警告するとともに、車線からの逸脱を避けるためのステアリング操作を支援するというものです。さらに、車線の判断については、白線だけでなくアスファルトと草・土・縁石などの境界から逸脱すると判定した場合も支援してくれます。
オートマチックハイビーム(AHB)
オートマチックハイビーム(AHB)は夜間走行時に、周囲の明かりの状況によりハイビームで走行可能と判断した場合、ロービームをハイビームに自動的に切り替え、前方視界確保をアシストする機能です。
先行車や対向車などを検出するとハイビームからロービームへ切り替え、ドライバーの切り替え忘れを防ぐとともに手動操作の煩わしさを軽減。スイッチ操作でオフにすることもできます。
レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)
ミリ波レーダーと単眼カメラを使って先行車を認識し、車速に応じた車間距離を保つことで追従走行を支援するのがレーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)です。
先行車が停止したときは、自車も停止して停止状態を保持。先行車が発進したときは、ドライバーの操作によって発進し、追従走行を再開します。高速道路の渋滞走行時など停止発進を繰り返すシーンで、ドライバーの運転負荷を大幅に軽減します。
ミリ波レーダーの検知角度広角化と、単眼カメラによる広い前方認識範囲により、特に前方車両に対する割り込み検知にすぐれた認識性能を確保しました。また、約80km/h以上で、ウインカー操作をした際は、遅い先行車がいても、追い越しに向け徐々に加速を開始し、スムーズな走行が行えるようにしています。
さらに、レーダークルーズコントロールで走行中、システムが必要と判断した場合、ステアリングの切り始めで速度抑制を開始するカーブ速度抑制機能を装備しています。
ロードサインアシスト(RSA)
単眼カメラで認識した「最高速度」「はみ出し通行禁止」「車両進入禁止」「一時停止」の道路標識を、マルチインフォメーションディスプレイに表示する機能が、ロードサインアシスト(RSA)です。
道路標識の見落としを減らし、安全運転を促します。また、単眼カメラによって認識された「最高速度」「はみ出し通行禁止」「車両進入禁止」の道路標識に対し、違反動作を行っているとシステムが判断した場合、表示の反転や点滅でドライバーに告知します。
先行車発進告知機能(TMN)付帯機能
先行車発進告知機能(TMN)は先行車の動きをミリ波レーダーと単眼カメラで検出し、自車が先行車に続いて停止後、先行車が発進し一定距離を走行してもなお自車が停止し続けている場合に、マルチインフォメーションディスプレイ表示、およびブザーで先行車の発進をドライバーに知らせる機能です。
パーキングサポートブレーキ(静止物)(PKSB)
パーキングサポートブレーキ(静止物)は、低速走行時に壁などの静止物までの距離と危険度を、マルチインフォメーションディスプレイおよびフロント・リアブザーなどで知らせる機能です。低速走行時に壁などの静止物と衝突する可能性が高いと判断した場合、自動(被害軽減)ブレーキをかけます。
パーキングサポートブレーキ (後方接近車両)[PKSB]
後退して出庫する際、自車後側方から接近する車両の存在を、ドアミラー、10.3インチタッチワイドディスプレイ、およびリアブザーで知らせる機能が、パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)です。
自車後側方から接近する車両と衝突する可能性が高いと判断した場合、自動(被害軽減)ブレーキをかけます。
ブラインドスポットモニター(BSM)
ブラインドスポットモニター(BSM)は走行中、ドアミラーでは確認しにくい後側方エリアに存在する車両を検知するとドアミラー内のインジケーターが点灯。車両を検知した状態でウインカーを操作するとインジケーターが点滅し、より注意を喚起する機能です。
パノラミックビューモニター
車両の前後左右に搭載したカメラから取り込んだ映像を合成し、車両を上から見たような映像を10.3インチタッチワイドディスプレイに表示。運転席から目視しにくい車両周囲の状況をリアルタイムで確認できるのがパノラミックビューモニターです。
ドライバー異常時対応システム
ドライバー異常時対応システムは、レーントレーシングアシスト[LTA]制御中にドライバーの無操作状態が継続している場合、音と表示と緩減速による警告でドライバーに操作を促すほか、ハザードとホーンで車外に異常を報知しながら自車線内に減速停車し、自損・加害事故の回避・事故被害低減を支援する機能です。停車後は、ドア解錠やヘルプネット自動接続による救命要請も行い、早期のドライバー救命・救護に寄与します。
欧州のプレミアムブランドがターボエンジンが主流となる中で、3.5LV6そして5LV8という大排気量自然吸気エンジンをラインアップしているのは、貴重でしょう。
自然吸気らしいどこまでも吹け上がっていくフィーリングは虜になりますし、現在しか味わうことのできないものです。安全装備はマイナーチェンジや一部改良で進化を遂げており、最新モデルと比べても遜色ないレベルとなっています。
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