WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに参戦しているグリッケンハウスは、マシンをアップグレードするための資金を確保できなければ、2023シーズン限りで撤退する可能性がある。
チームオーナーのジム・グリッケンハウスは、自身の名を冠したチームが2024年に向けてル・マン・ハイパーカー(LMH)を開発、アップグレード、テストするためには「かなりの予算」が必要だと語り、WECの成長著しいハイパーカークラスで「大砲の餌食になる気はない」と付け加えた。
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■WECは経済的に「まったく意味がない」
2021年のポルティマオ8時間レースでデビューしたグリッケンハウス007は、このカテゴリーで最も古いマシンのひとつである。
トヨタGR010ハイブリッドも同年に登場したが、グリッケンハウスとは対照的に、日本のメーカーは2022年と2023年の両シーズンにアップデートを導入している。
グリッケンハウス007はアップデートが少なく、特に2023年に向けてのテストが不足していたため、フェラーリ、ポルシェ、キャデラックといったファクトリー勢の参入に苦戦しているのが現状だ。
グリッケンハウスは、チームが来年までプログラムを継続するためには、マシン開発のための追加資金が必要だと語った。
「その多くは、スポンサーと我々のプログラム次第だ」とグリッケンハウス。
「このマシンは3年目だ。競争力を高めるには、本格的なエボ(アップグレード)が必要だ。多くのテストも必要だ。かなりの予算がいる」
「それがあれば、競争力を発揮できると思う。我々の3年落ちのクルマが、最も優秀で新しいクルマと対戦して、それでも比較的近い位置にいるというのは驚きだよ」
「ル・マンでポルシェに勝ったというのは信じられない。プジョーを破ったのもすごいことだ。それは冗談なんかではなかった」
グリッケンハウスは、来年も世界選手権に参戦することを理想としながらも、追加スポンサーが見つからなければ、このプログラムを完全に終了することもあり得ると認めている。
「マシンを開発し、走り続けることができるスポンサーが見つかれば、それはエキサイティングで価値のあることだ」とグリッケンハウスは言う。
「もうそうならなかったとしても、(撤退することに)問題はない。我々は大砲の餌食になる気はさらさらない。レースはクルマ(ロードカー)を売るためのものだが、WECの経済性と、我々の企業規模や生産可能な車両の台数を比較すると、そもそもまったく意味はないのだ」
「年間数百万台を販売する大手マニュファクチャラーにとっては意味がある。フェラーリの場合、年間13,000台から20,000台だ。ランボルギーニならともかく、小さなプライベートチームにとって、(WECには)経済的な意味があるとは思えない」
■「WECの精神は少し変わったと思う」
2023年のWECを締めくくる富士とバーレーンでのフライアウェイ2戦についても、グリッケンハウスは同様の立場を取っている。
チームがマシンと機材を積み込むWECの海上輸送コンテナはモンツァ戦の直後に出発することになっているため、その参加については数日中に最終確認する必要がある。
WECの広報担当者によれば、第6戦富士・第7戦バーレーン向けの貨物は7月17~18日に積み込まれ、その1日後に日本に向けて出発する予定だという。
「我々はそれを、ポジティブな形で決定できることを期待している」とグリッケンハウス。
「2週間以内には分かるはずだ」
「WECは、我々が契約したときとはだいぶ違うものになっている。契約にサインしたときは、ルールの範囲内でクルマを作れば、ル・マンで3分30秒台が出せると言われていたんだ」
「ルールの変更もたくさんあったし、ある種の(LMDhとの)コンバージェンスを図るために、入れ替えられたものもたくさんあった」
「また、その精神も少し変わったと思う。我々が契約したとき、LMP1チームよりもはるかに合理的であると推定される予算を持つプライベートチームにも、チャンスはあると信じていた」
「しかしいまや、我々は無制限の支出を伴う巨大企業と対峙しているんだ。状況は大きく異なっている」
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みんなのコメント
でも、こういったプライベーターが走れるのもWECの魅力なのではないか。