ゴリラの着ぐるみでのカーチェイスも見どころ!?
映画とクルマが大好きな方にお届けする連載PART 2は、ピンクパンサーシリーズの第1作となる『ピンクの豹』を紹介します。クライマックスに登場するのは、グレイメタリックに塗られたフェラーリ「250GT-PF カブリオレ」。コミカルなカーチェイスを繰り広げる映画をお届けします。
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恋とダイヤの争奪戦へ
1963年に製作・公開された『ピンクの豹』は、イタリアを舞台に展開するロマンティックコメディ。のちにピーター・セラーズの当たり役となる「クルーゾー警部」が大活躍するスラップスティック的喜劇「ピンクパンサー」シリーズの第1作である。
中東某国の王女プリンセス・ダーラ(クラウディア・カルディナーレ)は、かつて父王から内側に豹の姿が浮かび上がるという巨大なピンクダイヤモンド「ピンクパンサー」を譲られる。時は流れて、母国では革命が勃発。母国を離れ、イタリアに身を寄せていた。あるとき北イタリアのリゾート、コルティナ・ダンペッツォにスキーを楽しみに来ていたダーラ王女は、彼女の「ピンクパンサー」を密かに狙う英国貴族チャールズ・リットン卿(デーヴィッド・ニーヴン)と知り合う。リットン卿の正体は「怪盗ファントム」だったのだ。ファントムの策略で知り合った王女は、その正体を知らぬままリットン卿にほのかな恋心を抱いてゆく。
一方、かねてからファントム逮捕に執念を燃やしていたパリ警察のクルーゾー警部(セラーズ)は、ファントムの出現を察知し、愛妻シモーヌを伴ってコルティナを訪れた。しかし、じつはシモーヌこそがリットン卿の愛人で、警部の捜査方針はリットンに筒抜け。しかもリットンの甥でアメリカに留学していたジョージも現れる。叔父が怪盗ファントムであることも、シモーヌがその愛人であることも知らないジョージは、シモーヌに夢中になる。そして、白銀のリゾートで巻き起こる騒動のさなか、クルーゾーはリットンがファントムであると確信。さらに舞台をローマへと移し、恋とダイヤの争奪戦が繰り広げられてゆく……。
PFカブリオレが見せてくれる存在感
この作品のクライマックスでは、シックなグレイメタリックに塗られたフェラーリ250GT PF(ピニンファリーナ)カブリオレが登場する。仮装パーティから逃げ出したリットン卿がゴリラの着ぐるみで運転し、クルーゾーらの乗るアルファ ロメオ「ベルリーナ」とコミカルなカーチェイス(?)シーンを展開するのだ。
この作品の主役はファントムで、クルーゾーは脇役に過ぎない。しかし、後に制作される数多くの続編やリメイクでは「クルーゾー警部」というキャラクターが独り歩きし、世界的な人気者となってゆく。さらにはアニメキャラとしての「ピンクパンサー」、ヘンリー・マンシーニの主題曲「ピンクパンサーのテーマ」のヒットを生み出したのも、この作品の功績に間違いない。しかし、そんな伝説的名作の中にあってもPFカブリオレが見せてくれる存在感は格別。セラーズが、後にフェラーリ愛好家となったこととも無関係ではないと思うのである。
現在のオークションマーケットでの価格は?
さて、このフェラーリ250GT カブリオレのオークション市場での落札価格だが、RM Sotheby’sの最近の落札価格は、2億円前後。現代ならカーチェイスに使用するなんて、ちょっと怖いと思ってしまいそうだ。
劇中車:フェラーリ「250GT カブリオレ」 生産年:1957年 ジュネーブショーで発表された2座のスパイダー。ピニンファリーナによって手がけられ、フェラーリの伝統様式に則ったエレガントなデザインが魅力。トランクスペースも広く、車内も快適にしつらえられるなど、同時期に存在したスポーティ志向の250GT スパイダー・カリフォルニアとの差別化が図られていた。最初の40台が好評だったのを受け、シリーズ2も製作。1962年までに約200台が生産された。
『ピンクの豹』 公開年:1964年 上映時間:115分 監督:ブレイク・エドワーズ 出演:デイビッド・ニーヴン、ピーター・セラーズ、クラウディア・カルディナーレ
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