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薄利多売でコロナ禍でも世界で躍進! スズキがグローバルで光り輝く理由

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薄利多売でコロナ禍でも世界で躍進! スズキがグローバルで光り輝く理由

 スズキの業績が好調だ。2023年3月期・第1四半期決算によると、売上高は1兆634億円(前年同期比25.8%増)、営業利益が745億円(同36.8%増)と増収増益になった。

 ここでは、スズキの好調な業績を支えるグローバル販売について見ていくとともに、世界各地のスズキ販売動向の中で販売台数が最も多いインドについて深堀りする。なぜスズキ車がグローバルでここまで売れているのだろうか?

薄利多売でコロナ禍でも世界で躍進! スズキがグローバルで光り輝く理由

本文/桃田健史、写真/SUZUKI、ベストカー編集部

■スズキの業績が好調! グローバルでの販売が大幅に増加

 スズキの業績が上向いている。

 自動車業界の全体を見渡すと、長引くコロナ禍、半導体不足、ロシアのウクライナ侵攻、そして中国上海のロックダウンなど不安要素が多く、一方で円安が見かけの売上や利益を押し上げている状況だ。

 そうしたなか、スズキのグローバル販売は今、どうなっているのか?

 スズキの2023年3月期・第1四半期決算説明会の資料によると、売上高は1兆634億円。四半期での1兆円越えは、2021年3月期第4四半期以来となる。また、営業利益は745億円となり、これはコロナ禍となった2020年3月期以降で最大の実績となった。

 売上高を事業別で見ると、全体の88%が四輪事業で、二輪事業が8%、そしてマリン事業が3%となっている。販売台数では、前年同期比13.9%増の71万台となった。

 これを仕向け(販売地域)別で見ると、最も多いのがインドで38万台で、全体の53%を占める。二番目に多いのが日本で13.3万台となり、全体の18%だ。次いでインドを除くアジアで8万1000台、その他が7万9000台で、欧州は3万6000台にとどまる。

 仕向け別で前年同期比を見ると、インドが27.9%増、インドの除くアジアでも29.4%増や、さらに「その他地域」では51.6%増と大きく伸びた。

 躍進した「その他地域」を詳しく見ると、南アフリカが6ケ月連続で単月販売台数記録を更新し、アフリカ全体で88.8%増と販売がほぼ倍増している。中近東ではサウジアラビアなどで販売好調で、中近東全体で130.4%増。

 また、オーストラリアで36.8%増、メキシコで31.3%増などと、台数規模は少ないが確実に販売が伸びていることがわかる。一方、欧州はロシアのウクライナ侵攻の影響で47.5%減と大きく落ち込んだ。

 こうした世界各地のスズキ販売動向の中で販売台数が最も多いインドについて深堀してみたい。

■インド市場で38万台を販売! 人気のカテゴリーは?

インドでもSUVは成長市場。写真はスタイリッシュな都市型のコンパクトSUV「ブレッツァ」

 インドでの38万台の内訳は、20万5000台がコンパクトカー(Bセグメント)、ユティリティヴィークルが8万1000台、ミニが4万9000台、バンが3万2000台などとなっている。

 これらを伸び率で見ると、コンパクトとユティリティヴィークルでの伸び方が大きい。モデルでは、「アルト」、「ワゴンR」、「セレリオ」、「スイフト」、「デザイア」などが定番商品である。小型ミニバンっぽいモデルでは、「エスプレッソ」、「エルティガ」の需要が確実に増えてきている。

 SUVでは、コンパクトSUVの「ビターラ ブレッツァ」をフルモデルチェンジしたのに加えて、新柄ブレッツァを市場導入した。さらに、よりサイズの大きなSUVである「グランドビターラ」は、トヨタ・キルロスカ・モーターとの協業となり、開発はスズキ、生産はトヨタが担当する体制を敷く。

 スズキとしては、中期経営計画のなかでインド乗用車シェア50%以上を掲げており、そのためには、成長市場であるSUVの強化を進めているところだ。

■1980年代からインドに着目! 市場としてのポテンシャルはまだまだ高い

 インド市場といえば、スズキ元会長の鈴木修氏がインド政府から提案されて国民車構想に共感し、1980年代からマルチ・スズキとしてインドに適したモデルを続々と導入し、市場規模を拡大してきた。

 1980年代のインドといえば、日本企業にとって未知の領域であったが、鈴木氏はスズキがグローバルで事業規模を拡大するには、北米や欧州などすでに成熟している市場ではなく、人口ボーナスと呼ばれる購買力のある若い世代の絶対数が多いインドに着目した。

 1980年代から1990年代にかけて、スズキはインド各地で地域密着型の販売網をコツコツと拡げていった。そうした”種まき”の成果が、2000年代中盤以降に一気に開花することになる。

 いわゆるBRICsと呼ばれる、ブラジル、ロシア、インド、中国、さらに南アフリカなどの経済新興国にグローバルからの注目が集まったのだ。若い人材や資源が多く、高い経済成長率が見込まれるとされたBRICsでは、自動車販売台数も上昇していった。

 なかでも中国は中国政府による絶大な自動車産業政策により、外資メーカーと中国地場メーカーとの合弁事業による生産拡大を進めた結果、アメリカを抜いて自動車生産・販売ともに世界第一位に上りつめた。

 一方、インドは国内で文化や風習が異なるさまざまな地域が存在し、また電気などのインフラ整備が遅れた地域も多いことなどが影響し、人口では中国に匹敵する10億人超え市場ながら、自動車販売台数では中国に比べて伸び方が低かったといえる。

 だが、中国市場に高止まり感が出てきている一方、インドはスズキが指摘するようにSUV市場がこれから拡大の兆しがあるなど、市場としてのポテンシャルはまだまだ大きいといえるだろう。

 最後に日本市場だが、半導体不足などの影響により、6.4%減の13万3000台。このうち軽自動車が全体の84%を占める。 

 こうしたグローバルでスズキの動きを俯瞰すると、インドを最重要市場として位置付け、「その他地域」では大きな伸び率の望める地域をしっかり強化しつつ、地元日本では軽を中核として着実な歩みを進めているという実情が見て取れる。

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みんなのコメント

7件
  • ちゃんとした日本車が安く買えるなら、
    それはいい事だろ。
  • 元々スズキはトヨタとの提携で、アフリカを今後の成長市場としてしっかり準備していたのがひとつ。
    そして半導体不足で生産が厳しくなった中、インド工場の国内向けモデルから半導体割合の少ないアフリカ仕様の生産割合を増やしたりと柔軟に対応できたのがふたつ。

    タイミング的なラッキーもあるけれど、スズキが今後のために準備していた布石がしっかり機能したからというのが大きい気がする。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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