F1、WRC、インディカーシリーズなど、世界トップクラスのレースカテゴリーに参戦するレーシングカーにホイールを提供している「OZ」。今でこそ世界のモータースポーツで活躍するグローバル企業として有名だが、その歴史の始まりは1971年までさかのぼる。イタリアで誕生した小さなホイールメーカーが巨大企業へと成長する歴史を紹介する。
「これぞOZ!」と称されるi-TECHシリーズの「フォーミュラ-HLT」ホイール
フォーミュラ-HLTのデザインで目を引くのは、OZがこだわる細身で伸びやかな10本(5H)のスポークである。デザインのバランスを追求するため4Hモデルは8本スポークとしている。そのスポークを伸びやかに仕立てるには、センターからの立ち上がり部分が肝となる。
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フォーミュラ-HLTはレッドのセントラルロックカバーを標準装備するため、視覚的にセンターがひと回り小さく感じる。このセンターロック風のキャップによるアレンジは効果大である。その一方で、このカバーを外せば一般的なオープンタイプのデザインも楽しめるが、5カ所のホールをスポーク付け根に収めることでスポークの長さを保持している。こうした基本デザインがしっかりしているからこそ、その長さを十分に引き出しているのだ。
そのスポークを子細に見ればOZマジックが見えてくる。センター側からスポークの左右を削ること、さらにはリムに向かって絞ることで立体的かつ細く見せている。スポーク自体は縦断面をしっかり保持しているため強度的に問題ない。
OZの真骨頂とも言えるのがリムに繋がる部分だ。しっかりリムエンドまで伸ばすことで左右に溶け込み、かつその左右に小さな凹みを持たせてスポークの独立性をアピールしている。細かな演出ながら、こうした配慮があるからこそ、長いスポークであるという印象を醸し出しているのだ。
さらにリムのサイドにも配慮がなされる。小さいながら「OZ RACING」、「FORMURA」、「HLT」、そして「MADE IN ITALY」と記される。センターのロゴと合わせてOZを履くオーナーの満足度を高めてくれる。昔からOZはロゴによる演出が巧みである。
フォーミュラ-HLTの仕上げの肝はそのカラーにある。メインのグルジオコルサはイタリア流の渋いシルバー。意外かもしれないが昔からドイツ製シルバーは明るめで、イタリア製のそれは若干暗めなのだ。これによって陰影が際立ち、立体的となることで、スポークがより細く見えることとなっている。
カラーバリエーションは他に、マットブラックとレースゴールドを設定する。共にセントラルロックカバーのリング部はブラックとなるが、グルジオコルサにはない精悍さを身に着けている。そう、OZのホイールはカラーで印象をがらりと変えるのだ。だからデザインが気に入ってからカラーで悩むこととなるのだ。
同じモデルでも細やかに変化を持たせるのもOZの特徴だ。スポーツシリーズのスーパーツーリズモでは、GTとWRCは16本スポークで、より大径となるLMとエヴォルツィオーネは15本スポークとしている。そうした大径にはセントラルロックカバーを配することで、スポークを長く見せたりと印象を変えたりもしている。スーパーツーリズモを例にとるまでもなく、機能を求めるOZとしてはたとえ基本デザインは一緒でも用途に応じてしっかりと使い分けている。こうしたマニアックなアレンジはOZの真骨頂だ。
ローマ時代の彫刻を見るまでもなくイタリア人は立体造形に抜きん出ている。OZホイールにはそんな「MADE IN ITALY」ならではの良さが感じられるのだ。
[ アルバム : OZの華麗なる変遷04 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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