2020年4月13日に新型へのモデルチェンジを発表(発売は6月中旬)するとともに、外観デザイン写真、インテリア写真などを公開した新型ハリアー。販売店へ行けば大きなポスターが掲示され、営業用簡易パンフレットも用意されて、価格以外は正式に発売されたかのごとしでありました(現在各ディーラーで予約受注中)。
発表当日、新型ハリアーの概要と写真を報じた当Webサイトの紹介記事は記録的なアクセスを叩き出し、なんと新型車紹介記事としては歴代1位のPVを集めています。新型ハリアーおそるべし。
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6月中旬の正式発売開始を前に、今回、その新型ハリアーのプロトタイプ試乗会が開催されました。「プロトタイプ」といっても発売まであと約2週間、市販型と同じと考えて間違いないでしょう。
本記事ではそんな新型ハリアーの試乗記(速報版)を、本誌編集部員よりお届けします。
文/本誌梅木 写真/池之平昌信
【画像ギャラリー】美しくて走りもいい!! 新型ハリアーの真骨頂 デザインがしっかりわかる画像集
■長く、広く、低くなった新型ハリアー
今回で4代目となるハリアー。その、公開された写真を見たとき「ハッ」とさせられた。カッコいい!! スタイリッシュなフォルムにくぎ付けになった。全長4740mm、全幅1855mm、全高1660mmのボディサイズは従来型のハリアー(3代目)と比較して15mm長く、20mmワイドで30mm低くなっている。
新型ハリアープロトの試乗会が開催された。美しいデザインで走りもよく、これは売れそう
これまでもスタイリッシュSUV路線の先陣を切ってきたハリアーだが、新型はさらに一歩も二歩も先を行く、低く伸びやかなプロポーションのクーペSUVとして進化を遂げていた。
でも、ちょっと心配もあった。これまでの経験上、写真で見たときはものすごくカッコよく感じたのに、実車を見たらそんなでもなかった、ということが一度や二度ではなかったからだ。カタログ写真は、そのクルマが最も魅力的に見える角度や光で撮影される。さて、新型ハリアーはどうなのか。
2020年4月に先行して公開された広報写真。「スタイリッシュでカッコいい!」とすさまじい話題になり、発表日には「新型ハリアー」がTwitterのトレンド上位にランクインした
■どのSUVにも似ていないプロポーション!!
その時はやってきた。ついに「現車」と、スタジオなどのインドアではなく、外の光の下で対面する瞬間だ。
「おおおっ!!」
試乗の準備のために整備中の後姿からの対面だった。
絞り込まれたリアボディ、テールゲートはRAV4などと比べて大きく傾斜し、ルーフエンドはずいぶんと低い。ワイド感を強調する、赤一色の細いガーニッシュから急角度で折り返すような面を描くテールゲートのライン。バンパーラインは高く、相対的に後姿からは、より全高が低く感じる。後席ドアからリアフェンダー、そしてテールゲートにつながる滑らかで複雑な面の抑揚感あふれるラインもエモーショナルだ。
従来型よりも低くなったことでスタイルはよりスタイリッシュになった。そのぶん積載性は低下しているが、そこは割り切っているという
低くワイドで伸びやか。写真で見た印象に「妖艶な魅力」がプラスされた。
フロントに回り込んでさらに見ていくと、新型ハリアーはシンプルなんだけど、実は複雑な面を活かしたエクステリアなのだな、ということを実感する。ヘッドライトは薄く横に広がるデザインで、フロントグリルも「顔」を強調するようなことはない。実にさりげない。しかし、一度見たら忘れられない新型ハリアーの顔を作り出している。
シャープなフロントマスクと伸びやかなボディラインの新型ハリアー
「SUVとしての存在感を否定するかとから始めました」と、RAV4も含めた開発を統括する佐伯禎一Mid-size VehicleカンパニーMSZデザイン領域統括部長は言う。
「SUVとはスポーツ・ユーティリティ・ビークルの頭文字ですが、そのユーティリティの部分をあえて追及しませんでした。リアボディを絞り込んだので、荷室容量はそのぶん狭いですし、プロポーション優先で低くラウンドしたルーフにしたので、後席もRAV4に比べればちょっと圧迫感がある。でも、ハリアーはそれでいいと割り切って考えました」。
佐伯氏は畳みかける。
RAV4と同時並行してハリアーを開発したことで、両車のコンセプトを両極に振ることができたということだ。タフでオフロードに強いRAV4に対し、ハリアーは流麗で都市が似合うクーペSUV。実用性はRAV4に任せ、ハリアーは優雅でスポーティな非日常を演出する
それはインテリアにも表れていて、ソフトパッドで覆われたインパネやドアトリムの質感、大型センターパネルからつながるセンタコンソールの滑らかなラウンドしたフォルム(乗馬具の形状をイメージしたという)など、上級サルーンをしのぐ空間を味わえる。
高級感と使い勝手を両立している新型ハリアーの内装。中央にある大型モニターが目を引く
広大なガラスルーフもオプション設定。買えるかどうかは置いておいて、一度試乗したい…
【画像ギャラリー】美しくて走りもいい!! 新型ハリアーの真骨頂 デザインがしっかりわかる画像集
■RAV4とは全然違う優雅な走り!!
ご承知のとおり、4代目となる新型ハリアーは、RAV4とプラットフォームを共用して開発された。2Lガソリンエンジンと、2.5LハイブリッドというパワートレーンもRAV4と共通だ。
RAV4の走りは、新開発プラットフォームの低重心、高剛性フロアなどの効果もあってとても洗練された操縦性と乗り心地を実現している。当然、新型ハリアーにも期待が高まる。
今回は発表前の「プロトタイプ」ということで、サーキットでの試乗となったのだが、まずは一般道での走りを想定して、サーキットにしてはゆっくりした速度で走り出す。
足の動きがスムーズで車体上物の動きが滑らかで穏やか。RAV4も「いい足」だと思っているが、やっぱり車高の高いSUVなので、車体上物の動きがやや大きい。しかしハリアーはここが滑らかで、しっとりと上質なのだ。
「はは~ん、全高が低くなって重心も低くなった効果だな」
しかし試乗後、佐伯CEに聞くと、重心高自体はハリアーもRAV4も同じなのだという。サスペンション、特にショックアブソーバーのチューニングでこの乗り味を作り出したのだという。
プラットフォームはRAV4と共通。しかし「走り」はしっかり区別化されている。都会派のハリアーは走行性能も「しなやか」方向にチューニングされている
速度を上げていくと室内の静粛性にもRAV4との違いを実感。特にタイヤから入るロードノイズの「ゴー」音が抑えられており、穏やかの乗り心地と相まって上級サルーンでクルーズしているかのような気分になる。
せっかくのサーキットなのでちょっと攻め込んだ走りをしてみても、ロール速度の穏やかさやアイポイントの低さでSUVであることを忘れてグイグイ走ってしまう。前後のロールバランスがよく、挙動が安定しているので、安心感をもってドライブできるのだ。この感覚は同じクラスのSUVではちょっと味わえない感覚。SUVというよりも、ラグジュアリサルーンのドライブフィールに近い。
2.5Lハイブリッドはカムリ以降の新世代ユニットで、アクセル操作に対するトルクのつながりが従来のTHSと比べて圧倒的にナチュラルで、多段ATのドライブフィールに近いものとなっているし、何よりトルクフルでパンチがある。
比べればパンチ不足に感じる2L純ガソリン仕様も、発進ギアを独立させたワイドレシオCVT(ダイレクトシフトCVT)とのマッチングがよく、気持ちよく吹け上がり、小気味いいドライブ感を楽しめる。
■カッコよくて走りもいい、天はハリアーに二物を与えた!!
新型ハリアーの価格はまだ正式発表されていないが、すでに販売店で予約受付が始まっており、編集部で販売店に取材した結果、2LガソリンモデルのFF(2WD)が299万円から、ハイブリッドはFFが358万円からで4WDが380万円からという価格設定となる。つまり旧型よりも価格レンジは低くなっている(マジか!)。
RAV4に対して20万~30万円プラスという絶妙なお値段は、ハリアーの魅力をさらに大きなものとすること間違いなし。これ、めちゃくちゃ売れそうです。
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普通ですが…