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軽量化のためならエアコンはいらない? とにかく走りを追求した車5選

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軽量化のためならエアコンはいらない? とにかく走りを追求した車5選

■ストイックなまでに走りを追求したクルマを振り返る

 高性能なスポーツカーというと、ハイパワーなエンジンを搭載し、優れた足まわりとブレーキ、そして高価な材料を使ってボディの軽量化をおこなうことで走行性能を高めています。

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 こうした高性能車のなかにはさらに走行性能を高めるために大胆な軽量化をおこなったり、モータースポーツ参戦のベース車として快適装備を省略したモデル、そもそも最初から快適性が考えられていないストイックなモデルなども存在。

 そこで、速く走ることだけを追求したクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

●日産「スカイラインGT-R NISMO」

 1989年に、16年ぶりに復活した日産「スカイラインGT-R」(R32型)は、1969年に誕生した初代(ハコスカ)と同様にレースに勝つという目標のため開発されたモデルです。

 実際にR32型スカイラインGT-Rは、「グループA」にカテゴライズされたマシンで争われる全日本ツーリングカー選手権に1990年シーズンから参戦し、まさに無敵を誇りました。

 この全日本ツーリングカー選手権に参戦する車両のベースとして、1990年に500台限定で発売されたのが「スカイラインGT-R NISMO」です。

 エンジンはスタンダードモデルと同じ280馬力を発揮する2.6リッター直列6気筒ツインターボを搭載していますが、ターボチャージャーのブレードがセラミックからメタルに変更され、より高過給に対応。

 また、ABS、エアコン、オーディオ、リアワイパーなどの装備が省かれ、約30kgの軽量化が施されました。

 外観はグループAのレギュレーションでドアミラー以外の変更が許されないため、フロントバンパーに冷却用ダクトが追加され、大型リアスポイラーに追加するかたちで小型リアスポイラーを装着。さらにサイドステップの形状も空力性能向上のため異なるなど、細かな部分にも手が入れられています。

 第2世代のスカイラインGT-Rのなかでもストイックなモデルは、このスカイラインGT-R NISMOのみという貴重な存在です。

●ホンダ「クイントインテグラ RSi」

 ホンダは1985年に、販売が低迷していた「クイント」の後継車として「クイントインテグラ」を発売します。

 リトラクタブルヘッドライトを採用したウェッジシェイプのボディが特徴で、発売当初は3ドアハッチバックのみでしたが、後に5ドアハッチバックと4ドアセダンが加わり3タイプを展開。

 3ドアハッチバックと5ドアハッチバックは全グレード、4ドアセダンの1.6リッターモデルはDOHCエンジンを搭載するなど、スポーティさが強調されました。

 トップグレードは「GSi」で、最高出力135馬力(グロス)を誇る1.6リッター直列4気筒DOHCを搭載し、パワーステアリングを標準とするなど装備も充実した仕様です。

 一方、3ドアハッチバックには「RSi」グレードが設定され、エンジンはGSiと同じながらパワーステアリングやパワーウインドウ、ラジオすら装備しないストイックなモデルでした。

 結果、車重はGSiより20kg軽い940kg(MT車)となっているなど、実際に走行性能が高められていました。

 また、標準ではバンパーが無塗装とされながら、リアスポイラーを装備するなど、一見するとモータースポーツベース車のようなルックスです。

 しかし、RSiは特殊なグレードだったためか売れず、1986年に4ドアセダンが追加されたタイミングで販売を終了。わずか2年にも満たない短命なモデルでしたが、後のタイプRシリーズの原点といえるモデルではないでしょうか。

 なお、次世代のインテグラではVTECエンジンを搭載したRSiグレードが復活しました。

●トヨタ「GRヤリス RC」

 トヨタ「GRヤリス」は世界ラリー選手権(WRC)に参戦して培われたノウハウを、最大限につぎ込んだスポーツカーとして開発され、2020年9月に発売されると大きな反響を呼びました。

 ハイパフォーマンスグレードの「RZ」に搭載されるエンジンは、最高出力272馬力を発揮する新開発の1.6リッター直列3気筒ターボで、トランスミッションは6速MTのみ。駆動方式はトルク可変型の4WDです。

 ボディはスタンダードのヤリスには設定されていない専用の3ドアハッチバックで、新製法のカーボン製ルーフを採用し、ボンネットとドアパネルにはアルミ素材を用いるなど軽量化を図っています。

 そして、GRヤリスにはモータースポーツベース車として「GRヤリス RC」が設定され、専用セッティングのサスペンションに、小径のラリータイヤに対応するため16インチにダウンされたフロントブレーキを装着。

 さらに軽量化のためエアコンとディスプレイオーディオなどが省かれ、予防安全パッケージも用意されていません。

 価格(消費税込、以下同様)は、RZ“ハイパフォーマンス”が456万円、RZが396万円なのに対し、RCが330万円とかなり安価な設定で、メーカーオプションでエアコンの取り付けが可能なことから純粋な走りを楽しむのには適しているグレードといえるでしょう。

■とにかくストイックな2台の欧州車とは

●ポルシェ「911 カレラRS」

 ドイツを代表するスポーツカーのポルシェ「911」は、1964年に誕生しました。以来、現行モデルまで一貫して水平対向エンジンをリアに搭載し、リアタイヤを駆動するRR(4WDもあり)をアイデンティティとして継承。

 これまで歴代モデルにはさまざまな高性能バージョンが設定されましたが、第1世代の究極の進化系といえるモデルが、1973年に1500台ほど販売された「911カレラRS」です。

 911カレラRSはレースに出場するための認証用に開発され、ハイパワーなエンジンを搭載するとともにボディの軽量化が図られています。

 そして、1989年から1993年まで販売された第3世代の「964型」にも、1992年に911カレラRSが設定されました。

 964型911カレラRSはワンメイクレース用の「カレラカップカー」をベースに公道走行を可能にしたモデルで、エンジンはスタンダードから10馬力向上させた260馬力を誇る3.6リッター空冷水平対向6気筒エンジンを搭載。トランスミッションは5速MTのみです。

 足まわりも強化され、専用セッティングの強化スプリングとショックアブソーバーによって車高を40mmローダウンしています。

 また、アルミ製フロントフード、アンダーコートやエアコン、オーディオ、パワーステアリング、パワーウインドウ、エアバッグなどが省かれ、2シーター化、マグネシウム製の専用ホイールの採用などにより、150kgもの軽量化が施されました。

 内装には標準でレカロ製フルバケットシートに、ドアの内張りも簡素なタイプに変更されるなど、レーシングカーに近いロードカーに仕立てられたストイックな仕様となっています。

●ロータス「エリーゼ S1」

 天才技術者であるコーリン・チャップマンが設立したロータスは、軽量なモデルに特化した英国を代表するスポーツカーメーカーです。

 誕生以来数多くのライトウェイト・スポーツカーを輩出するとともに、F1やインディカーといった最高峰のモータースポーツでも活躍。その技術力はいまも失われていません。

 このロータスが1995年9月のフランクフルトモーターショーで発表した時代のスポーツカーが、「エリーゼ S1(シリーズ1)」で、1996年に発売されました。

 ボディサイズは全長3726mm×全幅1720mm×全高1200mmと非常にコンパクトで、外観は古典的なデザインと最新のスポーツカーフォルムを融合したオープン2シーターです。

 もっとも特徴的なのがシャシで、アルミ製押出材をエポキシ樹脂で接着して成形されたバスタブ型を採用し、ボディパネルはロータスがもっとも得意とするFRP製とすることで、車重はわずか690kgを達成。

 リアミッドシップに横置きに搭載されたエンジンはローバー製の1.8リッター直列4気筒DOHCで、最高出力は120馬力とハイスペックではありませんでしたが、軽量な車体には十分なパワーと評されます。

 また、ヒーター以外の快適装備やエアバッグは省力され、初期のモデルではアルミ製ブレーキディスクを採用するなど、とにかく軽量化にこだわっています。

 その後、エンジンがトヨタ製にスイッチされてパワーアップを図り、S2、S3とデザインの変更や快適装備と安全装備が充実していきましたが、すでに生産を終えており、次世代モデルの登場が期待されています。

 2001年にS1の生産が終了するまでに、エリーゼは5年間で約1万2000台が販売されるヒット作となりました。

※ ※ ※

 最後に紹介したロータスといえば、日本ではロータス「ヨーロッパ」がもっとも有名です。

 スーパーカーブームの火付け役である漫画「サーキットの狼」に登場したことで、ロータス・ヨーロッパが日本中に知れ渡ることになりました。

 ところが、ロータス・ヨーロッパの実力はそれほど高くなかったという話もあり、むしろオーソドックスなFR車の「エラン」の方がドライバビリティを含め上手だったといわれています。

 しかし、ロータス・ヨーロッパのフォルムは唯一無二の存在であり、性能はともかくとしてもスーパーカーと呼ぶに相応しいモデルではないでしょうか。

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