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13年超の旧車は減税を! エコカー減税廃止!? 2022年度のクルマの税金どう変わる?

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13年超の旧車は減税を! エコカー減税廃止!? 2022年度のクルマの税金どう変わる?

 与党税制調査会から、令和4年の税金の枠組みのたたき台となる令和4年度税制改正大綱が発表されました。それによるとクルマへの課税の見直しは2023年の4月30日まで先送りされ、炭素税の導入も見送られる模様です。

 そこで、現在のクルマの税金がどれだけ複雑かつ不合理で時代遅れになっているかを検証し、自動車業界から見た「望ましいクルマの税金の姿」がどのようなものかまとめました。

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文/柳川 洋、写真/Adobe Stock(トップ画像=yamashou@Adobe Stock)

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■クルマの税金はこんなにややこしい

自動車関連の税金はかなり複雑だ。クルマの税金を知ろうとすると金額と同時にその複雑さもかなりの負担となる(photoschmidt@Adobe Stock)

 クルマにどんな税金がかかるのか、ちゃんとわかっている人は意外といない。「いえ、わかっています」、というあなたにクイズです。エコカー減税は2023年4月30日に終了しますが、そもそもエコカー減税はどの税金が減税されているか、すぐに言えますか?

 答えは自動車重量税。

 正直言って自動車関連の税金は想像以上に複雑だ。そこで改めて、まずクルマにかかる税金をおさらいしてみよう。

 クルマにかかる税金はクルマを買う時にかかる税金と、保有しているとかかる税金の二つに分けられる。買う時にかかる税金は、消費税と、かつての自動車取得税である環境性能割の2つ。

 保有しているとかかる税金は、毎年5月に納付書がやってくる季節の風物詩、自動車税(軽自動車税)と、車検ごとに払う自動車重量税。

 またクルマそのものへの税金ではないが、給油するたびにガソリン車には揮発油税と石油税、ディーゼル車は軽油取引税と石油税が課税されていること、さらにそれらの税金を含んだ燃料価格に消費税が二重にかけられていることも忘れてはならない。

 この税金のなかで、環境性能の良いエコカーだと安くなる税金は環境性能割、自動車重量税の2種類。

 たとえばトヨタのアクアの大部分は、購入時の環境性能割と自動車重量税、初回車検時の自動車重量税がゼロ。アルファードのHVの大部分は買う時の環境性能割が非課税、自動車重量税が50%軽減されて1万8700円、初回車検時の自動車重量税が2万5000円となる。

■クルマの税金、来年からここが変わる

2022年以降、自動車関連の税金について変更がある。しっかりと確認しておきたい(Kumi@Adobe Stock)

 2021年12月31日に、自家用乗用車(普通自動車と軽自動車両方)の環境性能割の1%低減措置が期限を迎える。消費税が10%に増税になった2019年10月に、クルマの買い控えを防ぐために1年間に限って税率を軽減したものだが、新型コロナウイルス感染拡大による需要の落ち込みを補うため延長されていた。

 EVや一部の超エコなクルマ以外の普通のクルマを買うときの税率が来年から1%増税となる。新車の場合は課税標準基準額が新車価格の90%程度だから、200万円のクルマを買うと1.8万円ほど税金(環境性能割)が上がることになる。

 さてここからが本題の、2022年以降の自動車関連の税金の変更について。

 世の中は変わっていくので、同じ税金の仕組みが長く続くと税金の負担が不公平になってしまう。また、政策手段として特定の分野の課税の仕組みを変えることによって、必要な分野に民間の投資資金を呼び込んだりする。逆も然り。そのため、税制の見直しが年に一度行われる。

 具体的には、毎年各省庁から出される税制改正の要望を、与党自民・公明両党の税制調査会が取りまとめ、12月10日に「令和4年度税制改正大綱」として発表された。

 今回は岸田政権発足後ということもあり、「成長と分配の好循環の実現」「経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」をテーマにつくられた。

 だが結論から言うと、「経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」という掛け声とは裏腹に、100年に一度の大変革期にある自動車関連の税金の仕組み、特にクルマの保有に対する課税の仕組みは、大きな変革なく「2023年の4月30日のエコカー減税の終了期限までに見直す」と先送りにされた。

 今回の変更点は、車検時に支払う自動車重量税をクレジットカードで支払うことが可能になることだけだ。

 この与党税制改正大綱は、毎年12月20日ごろに閣議決定される。

 そして2021年1月17日ごろ開会される通常国会にそれをもとに作成された税制改正法案が提出されて2月に衆議院もしくは参議院の財政金融委員会、もしくは総務委員会で審議が行われて本会議に回され、3月頃に衆参両院で改正法案が成立して、4月以降に制度改正が行われるのが通常の流れとなる。

 そしてその先送りにされた見直しは、「令和3年度税制改正大綱で示した方針に基づく」とされる。簡単にまとめると「自動車業界が大変革期に対応できるか否かは、日本の経済・雇用を大きく左右しかねない重要な課題であり、自動車業界が環境変化に対応できるよう税制面でサポートしていくべき」ということになる。

 高度成長期から50年以上続いてきた、時代遅れの自動車関連の税制の大枠が、ようやく2022年に大きく変わる可能性がある。逆に言うと、2022年に変わらなければポンコツなまま、あと数十年変わらない可能性だってある。

 だが自民党税調会長として議論をリードしてきた元自民党幹事長の甘利明氏の影響力の低下もあり、自動車税制改革がうまくいく保証はない。

■補正予算では石油元売り各社の補助金やEV補助金の金額が決定

先日成立した補正予算で成立した補助金についても知っておきたい。新車購入時に補助金が出る場合もある(tamayura39@Adobe Stock)

 また、税金ではないが、12月20日に成立した令和3年度補正予算では、次のクルマ関連の補助金その他の法律が成立した。

・ガソリンの全国平均価格が170円以上となった場合に、ガソリン・軽油などにつき1リットルあたり5円の補助金、上限800億円を国から石油元売りに支払う(2022年3月末まで、支給開始後は170円から1ヵ月に1円ずつトリガーを引き上げ)

・クリーンエネルギー自動車購入費用への補助金支給と、充電・水素充填設備の導入への補助金(詳細未定)総額375億円

・ガソリンスタンドのデジタル化や配送効率化関連設備、地下タンク・配管などへの設備投資に対する補助金180億円

・バッテリーの国内生産・リサイクル技術導入のための設備・研究開発費用への補助金1000億円

・自動車などに使われる先端半導体の国内生産化への補助金6170億円とサプライチェーン上不可欠性の高い半導体生産設備の入替・増設費用への補助金470億円

 クリーンエネルギー自動車への補助金は、EVが上限80万円、PHEVが上限50万円、FCVが上限250万円となっており、給電機能があるクルマは補助金が増額される。たとえば日産アリアでは600万円の車両本体価格に対し、80万円の補助金が出る見込み。

■ここがバカげてる自動車税制!

自動車の普及途中に成立した税金の仕組みがいまだに適用されているのが自動車税制の現状だ(pathdoc@Adobe Stock)

 排ガスによる大気汚染がひどく、毎年1万5000人が交通事故で人が亡くなり、道路網も貧弱だった50年前から大枠が大きく変わらないクルマの税制。それが今の世の中にどれぐらいそぐわなくなっているか見ていこう。

1.クルマがないと生活できない人たちを高い税金が直撃して格差が拡大!

 日本自動車工業会の試算によると、排気量2Lで車重1.5トン以下、税抜車体価格240万円の乗用車を買い、毎年ガソリン1000L使って13年間乗った時の自家用乗用車ユーザーの税負担額は238万3270円となるという。

 1年あたり18万円強だ(税金に準じる性格を持つ有料道路料金(約50万円)、自賠責(約17万円)、リサイクル料金(約1万円)含む)。これに加えて税金部分以外のガソリン代、車庫代、任意保険代などがかかってくるわけだから、クルマの維持費は相当なものだ。

日本自動車工業会による「自家用乗用車ユーザーの税負担額」によると、排気量2リットルで車体価格240万円のクルマを13年間乗ると、およそ240万円の税金を払うことになる。出所:日本自動車工業会HP「クルマと税金」より

 クルマなしでは生活が成り立たない地方に暮らす人や、移動にあたってハンディキャップがある高齢者などにとって、このコストは避けて通れない。地方の過疎化を防ぎ、高齢化社会の生活の質を守るためにも減税が求められる。

2.高度成長期に作られて時代遅れなうえ、「受益者負担」という税の公平性の原則に反している!

 自動車重量税は、道路整備の財源確保のために半世紀前に作られた税金で、その名の通り0.5トン刻みにクルマの重さに応じて税金が増えていく仕組み。

 クルマが重いと税金が増える、という自動車重量税の仕組みは、「大型車には立派な道路が必要で、新しく道を作るのにお金がかかるし、道路を傷めやすい上に公害の原因にもなるので維持管理費もたくさん払ってもらいますね」というロジックで正当化されていた。

 だが2009年に道路特定財源だった自動車重量税が一般財源化された。

 つまりクルマに全く関係ないことにも使ってもよい税金になった。それだと重いクルマに乗る人が税金を多く払う根拠がない。

19種類もある燃費基準達成ステッカー、どれがどういう意味なのか、違いを正確に説明できる人はほとんどいないだろう。出所:国土交通省公表資料より筆者作成

 環境性能割についても、1968年に市町村の道路拡充のために作られた自動車取得税が前身で、名前が変わっただけ。自動車重量税同様一般財源化されているため、受益者負担という税の公平性の原則に反している状態が続いている。

3.40年以上続くのに「一時的」?「当面の間」税率は撤廃すべき!

 そもそも自動車重量税は、1年あたりで自家用乗用車の車両重量0.5トンにつき2500円という税率だった。それが、「暫定的に」1.64倍の4100円の税率を設定します、とされるいわゆる「当分の間」税率と呼ばれる増税が40年以上にわたって続いてきた。

 またガソリンへの税金も、本来1リットルあたり28.7円であるべきところが、40年以上に渡って「暫定的に」53.8円となっている。

 平均ガソリン価格が3ヵ月連続で160円超となったら、暫定税率から本来の税率に戻る「トリガー条項」が2010年の税制調査会において定められているが、それも「東日本大震災への税制上の対応」という理由で10年以上に渡って適用停止になっている。

 増税したければ、理由をちゃんと説明して法案を通すのが民主主義国家での税負担の原則なのに、これは明らかにおかしい。

4.二重課税は撤廃!

 1989年の消費税導入までは物品税が「贅沢品」を購入する際にかけられていた。昭和50年代には自動車、カラーテレビ、クーラーが、物品税税収の半分以上を占めていた。

 現在カラーテレビやクーラーを買っても消費税しかかからないのに、なぜかクルマを買うと消費税10%に加えて環境性能割(税金なのに「割」ってなんだよ、と毎回書くたびにイラっとする)最大3%が課税される。酒やタバコのような嗜好品でもないのに二重課税されているのが不思議でならない。

 またガソリンや軽油についても二重課税されている。ガソリン価格には1リットルあたり53.8円の揮発油税が含まれているのに、それを加えた価格に消費税10%がかかるので5.38円分、ガソリン価格を160円とすると3%以上も多く税金がかけられている。これは明らかにおかしい。

ガソリンや軽油の二重課税はよく知られたところだ(skyandsun@Adobe Stock)


5.「環境への悪影響」という名目での走行距離を考慮しない古いクルマへの一律的な懲罰的課税は不合理なので廃止!

 伊藤かずえさんの30年以上乗った走行距離26万kmのシーマのレストアが最近大きな話題になり、愛車を長い間大切に乗ってきた彼女に多くの賞賛の声が集まったが、それは税金の観点からすると「環境に悪影響」だそうだ。

 自動車重量税は新車登録から13年後と18年後に、税額が跳ね上がる。

 例えば2トン以内のエコカー以外の自家用普通自動車だと、3万2800円の税額が13年後には約4割増の4万5600円に、18年後には当初と比べて約54%増の5万400円となる。軽自動車の場合は6600円が13年後に約24%増の8200円、18年後には当初と比べて約33%増の8800円となる。

 自動車税は排気量に応じて税額が増えていく。2019年10月1日以降に新車登録されたクルマに関しては減税されたが、それ以前に登録されたクルマには従来の水準で課税されたままだ。排気量2Lのクルマの場合、前者は4万3500円なのに対し後者は4万5000円となっている。

 そして自動車重量税同様、新車登録から13年経つと税額が跳ね上がる。排気量2リットルの場合、4万5000円が5万1700円と約15%高くなる。

 この旧車への懲罰的な自動車重量税・自動車税は、「古いクルマは(走行距離に関わらず)環境に対して悪影響を及ぼす」ということで実施されている。

 大事に乗られていて年間走行距離が少ない古いクルマが、1年で2万km走行する新車よりも環境に悪い、だから税金多く払え、という論理は控えめに言っても破綻している。

6.「2050年カーボンニュートラル化」を目指すなら重量・排気量に基づく課税ではなく走行・利用量を加味した実質総排出量に基づく課税が合理的なはず!

 重量・排気量が多くなると税金を多く払う、という非合理的な仕組みはもうやめにしよう。

 車検証には走行距離が記載されるのだから、走行距離あたりの平均的な温暖化ガス排出量をそれぞれの車種に割り当て、それに走行距離をかけたものを車検ごとに自動車重量税の代わりとして後払いの形で課税するか、走行距離の多いクルマ・環境性能の悪いクルマの税金が高くなるようにガソリン税や軽油税に直接課税して自動車重量税を廃止、自動車税は排気量に関係なく一律の税率にするのが最も合理的なはず。

 まとめると、再来年、2023年の4月30日が期限となる自動車関連の税制見直しにあたっては、

1.受益者負担の原則に反するクルマへの重税は非合理的で減税すべき
2.カーボンニュートラルの目標達成には走行量と環境効率を考慮した実質総排出量に基づく課税が合理的で、自動車重量税は廃止、排気量に関係なく自動車税を一律にして燃料に直接課税すべき
3.消費税と二重課税となっている環境性能割の廃止
4.揮発油税・軽油税への消費税の二重課税を廃止

 以上、4点をベストカーwebからの主張・提案としたい。

 縦割りの省益に振り回された官僚の発想でも、既得権益に考慮して既存の枠組みをツギハギしたパッチワークでもなく、日本経済を実質的に支えている自動車産業と将来の世代、環境を考えた、国家百年の計を踏まえた新たな税制の大枠を作ってもらいたいものだ。

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みんなのコメント

106件
  • 中古が無料みたいな値段で溢れかえってる日本、減税なんてしたら貧乏人が喜ぶだけ
    ただでさえ無保険車両多いのに・・・
    車に乗るハードル下げてどうするのよ
    票稼ぎのために貧乏人にばら撒くことばっかりするから、やってること日本の切り売り

  • おかしな貧乏人が騒いでいるけど、
    買い替えが最も税金払う必要があるわけで。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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