「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、レクサス GS(プレプロトタイプ)だ。
レクサス GS(2011年:4代目 プレプロトタイプ)
日本市場におけるレクサスの中堅モデル、GSが間もなくフルモデルチェンジされる。今回、プレプロトタイプと呼ばれる段階の仕様にテストコースで試乗することができた。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
スタイリングでは、CT200hから新たなブランドデザインの要として採用された「スピンドルグリル」が、さらに強調されている。どちらかといえば繊細な佇まいの現行型GSに比べると、かなりアグレッシブだ。
ボディサイズがひとまわり大きく見えるのは、現行型より全高が30mm高くなったためだろう。全長はあまり変わらず、ホイールベースも共通だ。全幅は20mmほど広くなったが、欧州の競合車に比べれば大きくはない。
アグレッシブなデザインにふさわしく、プラットフォームも進化した。サスペンション形式は変わらないが、ハンドリング性能を磨き込むためにジオメトリーやレイアウトなどが大きく変わっている。いっぽう、パワートレーンは基本的に従来のものをベースに細部に改良を加えている。
さて、実際に試乗してみると、一新したプラットフォームは剛性の高い土台のおかげでサスペンションの適正配置が可能になり、ジオメトリーの自由度が増した。これによってハンドリングだけでなく、乗り心地も大幅に向上している。
そんな中でも新しいスポーツ性を感じさせてくれるのが、スポーツグレードに設定された「レクサス ダイナミック ハンドリング(LDH)」だ。これはVGRS(バリアブル ステアリング ギアレシオ)とDRS(ダイナミック リアステアリング)がセットになったもの。いわゆる4WS(4輪操舵)である。現行国産車では日産だけが使っているシステムではあるが、BMWが5シリーズで採用するなど、世界的に見直され始めている。
LDHは高い安定性と鋭い反応で新型GSを象徴する
実際にこのLDH搭載車で走ってみると、超高速レーンチェンジでは安定性の高さを存分にすることができ、かつ違和感もなかった。これはワインディングロードでも同じで、後輪ステアがドライビングのじゃまをすることはなく、かなり高い領域までニュートラルステアを保つ。
ハンドリングは素直で、サイズの割に小回りは相当良い。さらにVGRSのおかげで操舵量が少なく、これらの一連の動作がスムーズに行われて違和感はまったくない。システムの完成度の高さが感じられた。
もっとも、LDHを持たないラグジュアリーグレードのハンドリングも、素直で質が高い。絶対的なスタビリティではスポーツグレードには敵わないが、パワステの操作感は良好で、前後バランスを巧みにとりながらロールを抑えたスムーズなものだ。
ステアリングの追従性が高いことで、クルマのサイズ感はひと回り小さく感じるほど動きは素直だ。ドライバーとの一体感が心地良く、どんなシーンでも小気味良い走りが楽しめる。ラグジュアリーとは言いながら、十分にスポーティな味付けだ。
空力性能にも優れており、とくに専用のフロントバンパーとリアスポイラーを装備するスポーツグレードでは、素晴らしい安定感を見せる。リアコンビランプ脇やアンダーボディに小さな整流フィンを配するなど、全グレードで空力改善は徹底されている。
ハイブリッド車は、現行型GSのようなパンチ力はない。気がつくといつの間にかスピードが乗っている・・・といった、スマートな加速力が魅力だ。しかも高速周回路やワインディングロードでの全開走行でも、ちょっとクールダウンするようなシーンでも急速にチャージされている。高速ツアラーとしては、かなり優れた燃費が期待できそうだ。
いっぽうのGS350は、アクセルの踏み込みとともに響くエキゾーストノートが実に心地良い。もともと素性の良い2GR型 V6エンジンのレスポンスとパワーに加えて、官能的な魅力を身につけたようだ。
■レクサス GS350 主要諸元(2012年 フルモデルチェンジ時)
●全長×全幅×全高:4850×1840×1455mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1650kg
●エンジン:V6 DOHC
●総排気量:3456cc
●最高出力:234kW(318ps)/6400rpm
●最大トルク:380Nm(38.7kgm)/4800rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・66L
●JC08モード燃費:9.9km/L
●タイヤサイズ:225/50R17
●車両価格(税込):580万円
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みんなのコメント
しかし、レクサスになってから、割高なクラウンってイメージに成り下がった。
本当に勿体無いね!
特に最終モデルに至っては特にスタイリングにまったく魅力なく、敢えてセダンを選ばせるような訴求力には完全に欠けていた。
残念ですが、廃止止む無しでしたね。
ただし、いまやベンツやビーエムのセダンすらパッとしないこと甚だしいので、無理に続けなかったのは賢明だったかと。