運賃徴収の効率化がカギ
国内の路線バスでは、多くの地域で整理券方式を採用し、「後乗り・前降り」が行われている。一方、大都市部では均一運賃を採用し、「前乗り・後降り」を実施している地域もある。これらの方式には、それぞれ次の特徴がある。
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●後乗り・前降り
・乗客が後方のドアから乗車する(後乗り)
・運賃支払いは降車時に行う
・降車は前方のドアから行う(前降り)
●前乗り・後降り
・乗客が前方のドアから乗車する(前乗り)
・乗車時に運賃を支払う
・降車は後方のドアから行う(後降り)
しかし、前者には、インバウンド需要の増加や高齢者人口の増加にともない、
・両替に時間がかかる
・カードタッチのミスが多発する
という課題がある。特に京都など観光地では、降車が完了するまでに長時間を要し、これが乗客だけでなくバスドライバーにとっても大きなストレスとなっている。
こうした問題に対処するため、一部の地域では、乗車時に降車場所を運転席で確認し、事前に運賃を徴収する
「前乗り信用方式」
を採用している。今回は、この前乗り信用方式が実際に機能するのか、そして長期的に実施可能かを検討する。
京都市、効率化と快適化実現
2024年12月1日から、京都市交通局のバスでは運賃機の交換が行われた。これまでの整理券車でも、整理券のバーコードを自動で読み取る方式に変わり、投入した運賃との差額を計算してお釣りとして返すシステムに改良された。
詳細については、筆者(西山敏樹、都市工学者)の前回の記事「京都市バス、運賃支払い時間「80%短縮」を実現! 快適さ向上で「バスって楽しい」と思える時代は到来するのか?」(2024年12月11日配信)を参照してほしいが、両替時間の短縮が確実に進んでいるのは間違いない。
2024年度の京都市予算案・事業概要を見ると、京都市交通局の事務事業名「運賃箱の更新とつり銭方式への変更」に13億3479万7000円の予算が計上されている。運賃箱の老朽化を機に、2023年度から2024年度にかけて、市バス810両に搭載されるすべての運賃箱を更新する予定だ。この際、両替方式を
「つり銭方式」
に変更し、利用者と運転者のストレス軽減を図ることになった。この予算額には運賃箱の更新と告知費用が含まれていると考えられ、2024年度には市バス車両630両が対象となる。予算を車両数で割ると、告知費用を含め1両あたり
「約212万円」
がかかる計算だ。運賃機をインテリジェントな高性能なものにすれば、運賃の取りこぼしを可能な限り減らせる。
しかし、京都市のような地方自治体以外の民間バス事業者がこの水準の支出をするには、相当な勇気が必要だろう。新型コロナやモータリゼーションの進展により、路線バスの利用者が減少しているエリアが多いため、民間事業者が前乗り信用方式を導入する方が実際的で多くの場合、最適な解決策となる。
都内路線に広がる前乗り信用方式
前乗り信用方式は、実は都内の一部路線に広く存在している。
例えば、三鷹駅と武蔵小金井駅を結ぶ鷹33系統、吉祥寺駅と花小金井駅を結ぶ西武バスの吉64系統、五反田駅と川崎駅を結ぶ東急バスの反01系統などがその例だ。これらの路線は、郊外の比較的長距離区間に適用されている。
一般的には後乗り・前降りの整理券対応車で運行しても問題ないエリアだが、関東バスや東急バスは整理券対応車を使用していない。西武バスも整理券対応車を使用するエリアは限定的だ。
国際興業バスのように、特定の路線に限って整理券対応車を配置する例もあるが、通常、運賃収受方式と乗降方法を営業所やエリアごとに統一することが求められている。筆者がバス事業者とのヒアリングを通じて得た情報によると、
「長時間乗車して安い運賃を払う乗客」
を見つけることは非常に少なく、その場合、記憶力の高いドライバーが支払った額より長く乗車していることに気づき、追加料金を求めることもあるという。しかし、そのようなダメージは軽微であり、
「機器のコスト」
を考慮すると、前乗り信用方式の採用には問題はないと筆者は考えている。
悪用リスクとサービスの持続可能性
要するに、前乗り信用方式は「性善説」に基づいて採用しても問題ないということだ。性善説とは
「人間の本性は本来善である」
という立場であり、すべての人間は生まれながらにして善良な性質を持ち、社会環境や教育を通じてその善性を引き出すことができると考えられている。
もちろん、「長時間乗車して安い運賃を払う乗客」のように、運賃を不正にごまかす人もゼロではないが、その数や損失、さらにドライバーや乗客のストレスを天秤にかければ、前乗り信用方式の方が合理的であると筆者は判断している。特に、
「ドライバーの退職防止」
にはストレス軽減が重要であり、前乗り信用方式の導入は有益だと考える。
ただ、性善説に基づくサービスが徐々に崩れつつあり、悪用を“ライフハック”として正当化する人が増えることで、便利なサービスが次第に消えていくという意見もネット上では少なくない。
キャッシュレス化が拓く新しい公共交通
宇都宮では次世代型路面電車(LRT)が運行を開始してからしばらく経ち、多くの乗客はすべてのドアでICカードをタッチして乗り、降車時にも同様にタッチして降りる。すべてのドアが開くため、乗降はスムーズだ。ICカードを持たない人は、整理券方式で従来通りドライバーに支払いをする。
実際、路線バスにもキャッシュレスの流れが広がっている。ワンマン運行の路線バスでは、ドライバーが
・ドアの開閉
・運賃の受け取り
・車内放送
・運転
といったすべてを一手に担っている。宇都宮のLRTのように、すべてのドアでICカードをタッチする乗降方式は、時代に合っており、非常に合理的だと考える。
京都市の例のように、運賃機の初期コストや告知費用は高額になるが、ランニングコストも別途発生する。前乗り信用方式を採用している路線でも、キャッシュレス化を前提に、宇都宮のLRT方式を参考にしたICカードベースの乗降方法にシフトすれば、信用方式に対する否定的な意見にも対応できるだろう。
今後、人件費削減の観点から、連節バスの導入が都市部を中心に進むと予想される。連節バスはLRTと同様に中量輸送システムとして、都市部で活躍するだろう。公共交通の転換期だからこそ、不正の少ない前乗り信用方式を導入し、ICカードベースの乗降システムに移行することが有益だ。
公共の乗り物である以上、疑念よりも信頼に基づく環境の方が、乗客にとっても快適である。
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みんなのコメント
記事では機器の更新の高額化、クレカ決済の導入と読みましたがいまいち腑に落ちません。
日本のモラルは中進国以下にまで落ちたか