トヨタは斬新な3モデルをリリースした
WiLLというプロジェクトを覚えているだろうか。オレンジ色の四角のなかにWiLLという文字が入ったロゴが使われていた。これは1999年に始まった異業種合同プロジェクトのことで、1業種1社で当初は5社が参加して、最終的には7社に。自動車からはトヨタが参加していて、そのほかにはアサヒビール、松下電器、近畿日本ツーリスト、花王が参加。そこにあとからコクヨとグリコが加わった。
正確にはトヨタが社内プロジェクトとして立ち上げたもので、30歳前後のニュージェネレーションという新しい価値観をもった世代にアピールするのを目的としていた。
というのがお題目なのだが、当時をリアルタイムで見ていた側からすると、異業種合同といったバブル的なコンセプトで驚いた記憶があるし、そもそも世の中はバブル後の不景気が続いていて、就職氷河期の時代だっただけにそのコンセプトには違和感を感じたのを覚えている。
異業種が集まってなにをするのか明確でなかったため(あえて明確にしていなかったこともあるが)、結局は2004年には空中分解的にプロジェクトは終了してしまった。その後もコクヨなどは継続していたものの、いずれにしてもプロジェクト全体は尻すぼみで、個々の企業によっては成功という結果に終わったと言っていいだろう。
そのなかでトヨタは成功した部類に入り、モデルとしてはWiLL Vi、WiLL VS、WiLLサイファの3台をリリース。それぞれ、カボチャの馬車、ステルス戦闘機、ディスプレイ一体型ヘルメットという、大胆なものをモチーフにしていて、それまであったデザインベタのトヨタというイメージを一新した。2000年代から今に至る、デザイン性アップのきっかけになったのは確かだった。ちなみにサイファは車載通信サービスの先駆けであるG-BOOKを最初に搭載したクルマでもあり、その点でもサイバーさをアピールできていたのは注目すべき点だろう。
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