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1990年代名車&迷車烈伝Vol.10 ホンダ「2代目アスコット/ラファーガ」セダン新潮流を標榜するも“新しい価値観”の身内に押され…

掲載 更新 31
1990年代名車&迷車烈伝Vol.10 ホンダ「2代目アスコット/ラファーガ」セダン新潮流を標榜するも“新しい価値観”の身内に押され…

運営元:旧車王
著者 :木谷 宗義

1990年代名車&迷車烈伝Vol.09 三菱「2代目RVR」新ジャンルの開拓者もキープコンセプトが仇に

RVブームの只中にあっても、まだまだセダンが全盛だった1990年代初頭。

各メーカーとも、大小さまざまなセダンモデルをラインナップしていました。

たとえば、トヨタなら「コルサ」「カローラ」「コロナ」「カリーナ」「カムリ」「セプター」「ウィンダム」「マークII」「クラウン」「アリスト」「セルシオ」……

日産なら「サニー」「パルサー」「ブルーバード」「プリメーラ」「セフィーロ」「スカイライン」「ローレル」「セドリック」「プレジデント」……

といった具合(兄弟車まで含めるとさらに多い!)。

▲今回のテーマ車、ラファーガ

そんななかでもホンダは、“ワイド&ロー”を強調したスポーティスタイルのモデルで個性を発揮。

モデル名でいえば、「シビック」「コンチェルト」「アコード」「アスコット」「インスパイア」「ビガー」「レジェンド」など。

アイルトン・セナが活躍したホンダF1の全盛期だったこともあり、特に走りやスタイリングにこだわりを持つ“クルマ好き”な人たちに選ばれていました。

今回のテーマ車「アスコット/ラファーガ」兄弟は、1993年10月に登場したクルマ。

アスコットとしては2代目で、ラファーガはその兄弟車として登場したニューネームでした(初代アスコットはアコードの兄弟車だったから、ちょっとややこしい)。

■キャッチコピーは「背が高いこと」直列5気筒エンジンを縦置きにしたユニークなFF(前輪駆動)プラットフォームは、アコードインスパイア譲りのもの。

ここに「背高・高効率」のボディを載せたことが一番の特長でした。

当時を知っている人なら、「背が高いこと」のキャッチコピーを覚えているかもしれません。

具体的にいえば、初代アスコットの全長4680mm×全幅1695mm×全高1390mm(ホイールベース2720mm)に対し、全長4550mm×全幅1695mm×全高1425mm(ホイールベース2770mm)。

「短く・背高く・ロングホイールベース」とすることで、取り回しのしやすさと室内空間の拡大を狙ったというわけ。

▲2代目アスコット

さらに、サイドウインドウの傾斜角を少なくし、シートのヒップポイントを高めるなどして使い勝手にも配慮。

ホンダは、これを「ホンダ発・セダン新潮流」「高密度ダイナミックセダン」と表現していました。

スタイリングは、長いホイールベースを生かしたロングノーズ・ショートデッキで、まるでFR(後輪駆動)車のよう。

シンプルな面構成のボディに、小さなグリルが特徴です。

ワイド&ローを強調するため、薄型かつ横長のグリルが多かったホンダにあって、この小さなグリルが新鮮でした(どっしり感を出すため、バンパーグリルはワイドにデザイン)。

アスコットとラファーガは、ヘッドライト・グリル・フォグランプ・ウインドウトリムでそれぞれを個性化。

▲左:アスコット、右:ラファーガ

アスコットは、ブライトメッキのヘッドライトに縦格子のグリル、丸形フォグランプ、クロームウインドウトリムで落ち着いた雰囲気。

ラファーガは、ブラックのヘッドライトに横格子のグリル、角型フォグランプ、ブラックウインドウトリムで、スポーティな装いです。

インテリアもシンプルな意匠で、高級感と使い勝手の良さを両立。

上部まで生地貼りのドアトリムがユニークで、ホンダでは「シンプルでありながら、完成度の高いウェルテーラードインテリアが新しい感覚をもたらしています」としていました。

▲アスコットのインテリア

▲レザー内装も設定

エンジンは2.0リッターと2.5リッター、2種類の直列5気筒を搭載。

2.0リッター車は5速MTと4速AT、2.5リッター車が4速ATで、全車2WDのみの設定でした。

サスペンションは全車、4輪ダブルウイッシュボーンと“走り”のホンダならでは。

2.5リッター車では、フロントタワーバーも標準装備していました。

■最大のライバルは身内にあり現代の目で見ればコンパクトで上質、凝ったメカニズムのセダンはとても魅力的に見えますが、残念ながらこの2代目アスコット/ラファーガは、大きなヒットに恵まれることもなく4年で生産が終了。

アスコット/ラファーガの名称もここで途絶えてしまいます。

ホンダ渾身のセダン新潮流は、どうしてヒットに至らなかったのでしょうか。

その理由は、名車&迷車列伝で取り上げるクルマの多くがそうであるように、クルマのデキによるものではなく、外的要因によるものだったといえます。

しかも、アスコット/ラファーガの場合、“身内”によるところが大きいのが、悲運なところ。

1つはホンダ・セダンモデルの旗艦車種、アコードのフルモデルチェンジ。

アスコット/ラファーガが登場するわずか1カ月前、5代目アコードが発売されています。

▲5代目アコード

この5代目アコードは、マークIIを始めとしたライバルたちが続々と“3ナンバー化”をしていくなかで、北米向けと同様のワイドボディを採用し上級移行。

グラマラスになったボディは、ホンダらしいスポーティネスを備えていました。

しかも、ボディの拡大はボディ全体におよび、全高は1410mmにアップ。

アスコット/ラファーガとの全高の差はわずか15mmしかなく、アスコット/ラファーガの「背が高いこと」は、発売時点ですでにそれほどアピール力を持つものにはならなくなっていたのです。

もう1つは、アコードをベースとした派生車種の登場。

1994年の「オデッセイ」に、1995年の「CR-V」、そして1996年の「ステップワゴン」と、新しい価値観を持つ(そしてずっとずっと背の高い)クルマが現れ、セダンという狭いくくりのなかでチャレンジしたアスコット/ラファーガの新鮮さは、さらに失われてしまいます。

1995年のマイナーチェンジ時には、大胆なリヤスポイラーを装着し、スポーティさを強調した「2.0CS」を追加しますが、販売向上の活力とはならず。

1997年にアコードが6代目へとフルモデルチェンジするのと呼応するように、生産終了となりました。

▲ラファーガ2.0CS 

▲2.0CSのインテリア

なお、6代目アコードには新たに「トルネオ」という名の兄弟車が登場しており、「アコードの兄弟車」という意味で、このトルネオをアスコット/ラファーガの後継車とする向きもあります。

■生まれるのも廃れるのも必然だった「ホンダ発・セダン新潮流」へのチャレンジの方向性は間違っていなかったといえますし、実際に生まれたクルマはとても魅力的なものであったと思えます。

それでもヒットに結びつかなかったのは、バブル崩壊により人々の志向が大きく変わり、またRVやミニバンへの“ファミリーカーのシフト”が起こった激動の時代にあったためでしょう。

また、5代目アコードと登場の時を同じくしてしまったことも、アスコット/ラファーガが今ひとつ頭角を現せなかった一因だと言えそうです(その点ではホンダの失策でしょうか)。

▲アスコットにはアスコット・イノーバという兄弟車も存在

仮にアスコット/ラファーガがあと3年早く登場していたら、その存在感はもっと大きなものになっていたはず……というのは簡単ですが、バブルに向かっていくイケイケの1980年代後半にこの実直なコンセプトが生み出せたかというと、難しかったでしょう。

アスコット/ラファーガは時代の中で必然的に生まれ、必然的に悲運を背負っていったのです。

まさに名車&迷車として語りたい、そんなクルマではないでしょうか?

[ライター・木谷 宗義 / 画像・ホンダ]

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31件
  • ラファーガCSを買おうとしたら、受注生産で、且つある程度台数がまとまったら。と言う事で納期未定でした。結局第二候補のアンフィニMS8を購入。
    MS8もいい車でしたが、ラファーガが買えなかったのは今でも悔やまれます。
  • うちこのアスコットに父が乗ってました。同時期に出たアコード買えばいいのにと子供心に思ってましたが五気筒エンジンも車内のしつらえも良かったです。バブル崩壊してましたがまだ開発時には余韻はあったんでしょうね。おしりを見ているとホンダのプレリュードに見えたり顔を見るとアルファロメオに見えりそれも面白かったです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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