2022大会の覇者チャヤポン・ヨーターが総合2番手に浮上した。8月14日、AXCRアジアクロスカントリーラリー2024の“レグ3”がタイのホアヒンを拠点に行われ、4台の『ミツビシ・トライトン』で同イベントに参戦するチーム三菱ラリーアートは、ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組103号車が総合2番手、田口勝彦/保井隆宏組107号車が同5番手につけた。
また、130号車を駆るサクチャイ・ハーントラクーン/ジュンポン・ドゥアンティップ組は総合12番手、小出一登/千葉栄二組が走らせる137号車も同24番手でレグ3を終えている。
フォーチュナー駆る塙が連続ベストで首位ターン。王座奪還を狙うミツビシは2番手浮上/AXCR
8月11日(日)にタイ南部のスラタニで開幕したAXCR2024は大会4日目に入り、競技3日目となった14日(水)にラリーの折り返しを迎えた。ホアヒンをスタート/フィニッシュ地点とするループステージの中に全長168.23kmのスペシャルステージ(SS=競技区間)が設定されたこの日、ラリーカーは95.20km地点のパッセージコントロール(PC)後に設けられたサービスで簡易的な整備を受けたのち、残る73.03kmを走るSS3でタイムを競うことに。
ラリーのコースとなる道は起伏に富んだ山間部の道もあり、ところどころには岩が顔を出すセクションもあった。チーム三菱ラリーアートのトライトン・ラリーカー各車は前半セクションを順調に走行。中間地点ではヨーターがライバルに差をつける好タイムをマークし、後半もうまくまとめステージ2番手タイムとなる2時間27分56秒でフィニッシュ地点にたどり着いた。この結果、ヨーターは総合3番手から同2番手に浮上し、首位と7分8秒差で後半戦に臨むこととなった。
「今日は計画どおりに進んだ。クルマの調子も良く、ドライバーとコドライバーも完璧に仕事をこなすことができ、調和が取れていたと思う」と好走を振り返ったヨーター。
「午後のセクションは、スタートから10kmあたりで強い雨が降り始めたので慎重なドライビングに努めた。それでもペースを維持することができたし、この3日間、クルマの動きは完璧と言える」
2年ぶりの総合優勝を目指す“エースドライバー”は、「ここから先はこの状態をコントロールすることが使命だ。これでラリーも半分のところまで来た。あと残り半分あるが、ここからは勝利に向けて今まで以上に頑張りたい」と意気込みを語った。
チームメイトの田口は何度かミスコースを喫したものの、スコールに見舞われた後半セクションでは滑りやすい路面にもかかわらず、前走者をパスする力強い走りを見せて総合5番手に。前日のレグ2からひとつポジションを落としながらも、大きな手応えを得た。
ベテランのハーントラクーンはルート前半では田口を上回るペースで走行していたが、後半でエンジントラブルに見舞われた。これによりペースを落としてのフィニッシュとなったためステージ16番手と遅れを取ったが、総合12番手に踏みとどまった。AXCR初参戦の小出もペース良く走行を続け、前走車をかわしポジションを上げながらSS3を走破。ステージ13番手タイムをマークし、総合順位を前日の32番手から24番手に上げている。
ラリーの前半戦を終えた後、今後さらに厳しくなる戦いに向けブレーキなど全車の消耗品についてあらためて点検と交換を実施したチーム三菱ラリーアート。同チームを率いる増岡浩総監督は、レグ4以降の後半戦を「完璧なチームワーク」で戦い抜きたいと語った。
「ちょうど今日で前半戦が終わりました。今日は、サクチャイ(・ハーントラクーン)選手のトラブルがありましたが、彼も乗れてきていましたし、後半に向けてチームで作戦を立てていけると考えていたので残念です。チャヤポン(・ヨーター)選手と田口選手が頑張っているので、彼(ハーントラクーン)には明日からサポートに回ってもらおうと思っています」と増岡総監督。
「チャヤポン選手は思ったより首位と離されていませんでしたし、気持ちを切り替えて後半も全力で走ってもらいたいですね。後半、ラリーはどんどん厳しくなっていくと思いますが、とにかく状況をしっかり見つめて、完璧なチームワークで切り抜けてもらいたいと思います。役割を明確にして、ひとりひとりがしっかりそれを遂行して、チームを成功に導く。それが一番の目標です」
ラリー後半戦のオープニングとなる15日(木)のレグ4は、ホアヒンからカンチャナブリへと移動する途中に設定された全長172.15kmのSS4で争われる。ステージの序盤は隣国ミャンマーとの国境付近を北上する山岳路が主な戦いの舞台となり、アップダウンを持つ森林内のコースはナビゲーションがタイムを左右するカギとなりそうだ。そのほかコンクリートの滑りやすいターマック(舗装路)や川渡りなど、さまざまな試練が選手たちを待ち受ける。
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