メルセデスAMGと義務を分担
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
【画像】レーシンググリーンが映えるヴァンテージ・セーフティカー【標準モデルやGT3/GT4と写真で比較】 全137枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
61年ぶりにF1マシンを発表したアストン マーティンは、2021年シーズンに使用するヴァンテージのセーフティカーとDBXのメディカルカーを公開した。
アストン マーティンは今シーズン、パートナー企業であるメルセデスAMGとセーフティカーの任を分担しており、3月29日のバーレーンGPを皮切りに、予定されている23レースのうち12レースでヴァンテージとDBXを走らせることになっている。
このセーフティカーは、「世界最速のレーシングカーが参加するイベントにおいて、介入してペースをコントロールするという重要な役割」を果たすために、パワートレイン、シャシー、インテリアを大幅に変更している。パイロットを務めるのは、20年以上にわたってF1セーフティカーを運転してきたベルント・マイランダーだ。
タイヤが冷えないようなペースでF1マシンを走らせることがヴァンテージの最重要課題であり、アストンのエンジニアたちはヴァンテージのコース性能とラップタイムの向上に力を注いできた。
そのため、搭載する4.0L V8ツインターボは標準の510psから535psにパワーアップ(トルクは63.6kg-mを維持)している。トランスミッションは「アップシフトやダウンシフトでのダイレクト感、正確性、コントロール性」を向上させているという。
レースカーのヴァンテージGTにインスパイアされた大胆なエアロパッケージとロープロファイルタイヤの採用により、「F1サーキットを走破するためのすべての資格」を備えている。
リアウイングの大型化が最も顕著だが、フロントグリルとスプリッターを新しくしたことで、200km/hで発生するダウンフォースは155.6kgとなり、標準モデルより60kg以上もアップしている。
サーキット走行用にサスペンションとシャシー補強を施し、フロントエンドの構造的な剛性を向上させている。
また、ボンネットの通気口など、耐久レーサーのヴァンテージGT4と同様に強化された熱管理システムを採用。全速走行後にクールダウンラップの必要なくピットレーンに入ることができる。
メディカルカーにはDBXを採用
アストン マーティン・レーシンググリーンのカラーリングは、先週発表された新型のF1マシンと同様のものであり、エアロに施されたライムエッセンスのピンストライプは世界耐久選手権レーサーを彷彿とさせる。
F1セーフティカーとしては恒例となっているが、エアロに最適化されたLEDライトバー、LEDリアナンバープレート、無線アンテナがサイドに装着されている。
シートはFIA公認の6点式ハーネス付きのレース仕様に交換され、ダッシュボード上の2つのスクリーンにはラップタイムや全F1マシンのポジションのほか、テレビのライブ映像も映し出されている。
センターコンソールも再構成され、ロータリーコントローラーが後方に移動し、ライトバー、サイレン、無線用の新しいスイッチパネルが設置された。
DBXのメディカルカーは大規模な改造こそ施されていないが、ヴァンテージと同じカラーリングとFIAの安全規格が採用されている。DBXは標準で550ps、71.2kg-mを発生し、0-100km/h加速4.5秒、最高速度は290km/hに達し、「FIAの医療チームが緊急時に効果的に対応できる」ようになっている。
車内では、リアのミドルシートが取り除かれ、残りはレーススタイルの6点式ハーネス付きのバケットシートに変更されている。ヴァンテージ同様、通信ディスプレイや無線機能などを装備している。
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