この記事をまとめると
■ボルボの240シリーズや850シリーズの人気が高まっている
ツウも唸る隠れ名車! まだ安く入手可能なちょっとマイナーな国産ネオクラ車4選
■クラシックな見た目でありながら使い勝手に優れているのが人気の理由だ
■旧車レベルでありながらもパーツ供給も安定しているのが魅力のひとつとなっている
クラシックボルボは何故今でも人気が高いのか
近年、国産車ではいわゆるネオ・クラシックカーとして1980~90年代の旧車が人気ですが、輸入車にも同様の動きがあります。なかでもボルボ車の人気は安定していて、中古車市場でも高値が続いています。今回はそのボルボ車の人気の理由を、デザインの面から紐解いてみたいと思います。
●唯一無二の独自性を発揮する240シリーズ
クラシックボルボの人気を牽引しているのは、なんといっても「240」シリーズの好評ぶりです。同車は1974年の発売ですが、基本設計の元をたどれば、1966年の「140」シリーズまで遡るという正真正銘のクラシックカー。チーフデザイナー(当時)のヤン・ヴィルスガールドによるスタイルが、フォトグラファーを始め、デザイナーやコピーライターといったクリエイティブ系の仕事人に人気なのは、「他とは違う」独自の個性を感じさせるところにあるようです。
たとえば、尻下がりのシルエットはいかにも70年代前半までの佇まいですが、すでにこの時点で現代に通じるワゴンスタイルを確立しており、実際に高い積載能力を有していますし、サイドのプロテクトモールはボディにアクセントを与え、じつにモダンです。同じく、セダンのシルエットもまたクラシックですが、たとえば大型のリヤランプが旧さを感じさせません。
1981年にはフロントランプ類が4灯化されますが、これによって全体の印象が現代的になったことも購入の動機につながっていると思えます。もちろん、19年もの長期間製造されたことにより、1990年のエアバッグや1991年のABSの導入など、機能的なアップデートにも同じことが言えます。つまり、明らかにクラシックカーでありながら、現在の実用にも耐えうるという稀有な存在なのです。
●850シリーズは輸入車のネオ・クラシックカー
長く愛された240シリーズを引き継ぐべく1991年に登場した「850」シリーズもまた、非常に高い人気を誇るクラシックボルボです。同社としては久々の完全新設計であり、FWDレイアウト、直列5気筒の採用と新機軸のオンパレードでした。
基本シルエットは「900」シリーズに準じますが、角部にわずかなRを与えたボディは絶妙な柔らかさを持っており、これが新世代のボルボであることを主張。大きなキャビンによる広いガラスエリア、緩やかな丸みを持つリヤハッチ(エステート)、太いプロテクトモールで引き締められたボディなど、いわゆるネオクラシックとしての魅力を大いに発揮しています。
また、ツーリングカー選手権参戦をイメージした「850T-5R」のクリームイエローボディもヒットを後押しし、その勢いはスバルのレガシィなど国産ワゴン車ブームの火付け役にもなりました。イタリアの「もっとも美しいエステート」賞や1994年のグッドデザイン大賞の受賞は、もちろん高い機能面も含めたものですが、すべてにバランスされたデザインが評価されたと言えます。
メーカーがパーツ供給を充実させているのも魅力
●スウェーデンとイタリアとの幸せな出会い
デザイン的な視点で、もう1台の特別なクラシックボルボを紹介します。1985年のジュネーブ国際モーターショーに出展され、大きな注目を集めた「780」です。
一見、「700」シリーズの単なる2ドアクーペ化と思わせつつ、すべてのボディパネルを変更したスタイルはカロッツェリア・ベルトーネによるもの。もともとウエッジの効いた700シリーズですが、リヤデッキを高く長くすることで、古典的な美しさを持つクーペスタイルを獲得しました。
また、寝かせたAピラーによる優雅なキャビン、ブラックアウトさせたBピラーによる広いガラスエリア、ボリューム感のあるメッキモールなど、とにかく全身がエレガントな雰囲気に溢れます。当初はより大胆なデザイン案もあったとされますが、あえて700シリーズに寄せたことが功を奏したと言えるでしょう。残念なのは、そもそも生産台数が少なかったこともあり、中古車としてはほとんど流通していないことでしょうか。
●自社の旧型車を大切にするメーカー、インポーターの姿勢
さて、こうしたクラシックボルボの高い人気を支えるのが、充実したインポーターの体制です。新世代商品の好調な販売によってディーラー網が拡充され、新車のみならず、中古車購入に当たっても心強い状況と言えます。
読者の皆さんも、一度クラシックボルボの世界を覗いてみてはいかがでしょうか?
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