エアロダイナミクスの向上やサスペンションの改良を果たした新型ポルシェ911 GT3カップが日本での受注を開始。車両価格は3465万円に設定
ポルシェ ジャパンは2021年6月9日、第8世代のポルシェ911(992)のレーシングモデルで、ポルシェカレラカップジャパン(PCCJ)の競技車両である新型911 GT3カップ(911 GT3 CUP)の予約受注を開始した。車両価格は3465万円に設定する。
ポルシェ911(992)のハイパフォーマンスバージョン「GT3」が日本での予約受注を開始
新型911 GT3カップは、2019年初めに具体的な開発が始まり、時間とメンテナンスの費用を抑えながらパフォーマンスを高めて、さらにアグレッシブなデザイン、より素直なハンドリング、優れた耐久性を実現することに主眼が置かれる。
エクステリアに関しては、カップカー初のワイドなターボ仕様ボディを採用。全幅は先代のリア幅を28mm上回る1902mmに仕立て、合わせて冷却空気を取り入れるインレットをホイールの前に設置する。また、フロントアクスルもフレアフェンダーの追加によってワイド化。この設計変更により、フロントに12インチ幅、リアに13インチ幅のホイールと幅広タイヤの装着を可能とした。
ボディの着実な軽量化を図ったことも特徴だ。先代は構成材を70%のスチールと30%のアルミニウムで構成していたが、新型ではその比率が入れ替わり、さらに全ウィンドウには傷のつきにくいハードコートグレージングを施した軽量ポリカーボネート材を、ドア/エンジンフード/リアウイングにはカーボンファイバー強化プラスチック材を採用する。また、フロントフードはエアアウトレットダクトとセンターエアインテークを配するとともにアルミ材で仕立て、アクシデントの際の修理費用の削減を図った。乾燥重量はスチール製セーフティセルへのストラットの追加などを行いながら、先代比で約35kg増の1260kgを実現。また、取り外し可能なルーフのエスケープハッチは最新のFIA基準に準拠させた。
エアロダイナミクスの最適化を図った点も見逃せない。前端部には専用のリップスポイラーとセパレーションエッジを組み合わせたフロントエプロンを、後端部には“スワンネック”マウントを配したうえで11段階の調整を可能とした大型リアウイングを装備。ダウンフォース量をいっそう引き上げている。
コクピットについては、重要なデータや情報を表示する10.3インチカラーモニターへの刷新や911 GT3 Rから採用したカーボンファイバー製モータースポーツマルチファンクションステアリングホイールの装着、ドライバーからのフィードバックを得て再配置したスイッチ類の組み込みなどがトピック。また、モータースポーツコントロールユニットとデータロガーを助手席足もとから右側リアコンパートメントに移設し、同乗走行が必要な場合などに助手席の設置を可能としている。一方、ドライバーズシートの形状も刷新。サポート性を高めるとともに、角度に加えて2段階の高さ調節機構を内蔵した。
パワーユニットにはドライサンプ潤滑方式を備えた自然吸気の3996cc水平対向6気筒DOHCエンジンを搭載。最高出力は510ps/8400rpm、最大トルクは470Nm/6150rpmを発生し、レブリミットは8750rpmに設定する。エンジンパワーはシングルマスフライホイールと3プレート焼結金属レーシングクラッチを介して、72kgと軽量に仕立てた6速ドッグクラッチ式シーケンシャルギアボックスに接続。ギアチェンジはステアリングホイールのパドルシフトを使って行う仕組みだ。
強力パワーを支える懸架機構に関しては、リアサスをプロダクションモデルと同構造で仕立てる一方、フロントサスはダブルウィッシュボーンとユニボールベアリングに変更。また、ショックアブソーバーはWEC用の919ハイブリッドと911RSRから最先端のバルブテクノロジーを継承する。さらに、操舵機構にはカップカー初の完全電気機械式パワーステアリングを採用し、油圧ポンプと関連の油圧ラインを不要とした。
なお、ポルシェ ジャパンがデリバリーする911 GT3カップは、PCCJ 2022年シーズンへのフル参戦が義務づけられ、また購入を希望する場合は6月23日までにポルシェカレラカップジャパン事務局へ問い合わせたうえ、所定の車両購入申込書にて申し込む必要がある。販売台数には限りがあるので、希望に沿えない場合もあるそうだ。
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