3月28日(木)、WRC世界ラリー選手権第3戦『サファリ・ラリー・ケニア』のデイ1は、1本のスペシャルステージ(SS)が行われ、ヒョンデ・シェル・モービスWRTのティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダグ組(ヒョンデi20 Nラリー1)がトップタイムを記録し、ラリー初日の総合首位に立っている。TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のレギュラーである日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、首位と0.9秒差の総合4位からラリーをスタートしている。
前日のシェイクダウンを終え、ついに開幕した伝統のサファリ・ラリー・ケニア。今回は例年と異なる雨季の開催となり、大会前から天候への懸念がささやかれてきたが、集まったラリークルーたちを迎えたのは晴れのケニアであった。
【順位結果】2024年WRC第3戦サファリ・ラリー・ケニア SS1後
気温26度と暖かい気候のなか迎えたデイ1は、首都ナイロビにてセレモニアルスタートを行った後、近郊のカサラニにて4.84kmの特設ステージを2台のマシンが同時にアタックを行うスーパーSSを実施した。
ステージレイアウトは、立体交差でのジャンプポイントや所々に残る水たまりなどが特徴となる。最高峰クラスに先んじて行われたWRC2の走行では、スプラッシュでのスタックや横転も起こるなど、一筋縄ではいかないSSだ。
住宅地に囲まれた台地に広がるグラベル(未舗装路)を、2台が並走するかたちで争うこのスーパーSSを制したのは、現在ポイントランキング首位に立つヒョンデのヌービルだ。
TGR-WRTのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)とともにステージに入ったヌービルは、見る見るうちに差を広げて総合首位タイムをマーク。
走行後にフィーリングを尋ねられると、「良いスタートが切れたね。ここから大きなトラブルやアクシデントが起きないように、指を重ねて祈りながらチャレンジしていくよ」とコメント。大会初日から驚異的な勢いを感じさせる快走を披露した。
総合2番手に続いたのは、チームメイトのオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヒョンデi20 Nラリー1)。Mスポーツ・フォードWRTのアドリアン・フルモー/アレクサンドル・コリア組(フォード・プーマ・ラリー1)を難なく破り、「天気が僕たちの見方をしてくれているみたいだね」とクールなコメント。今大会はヒョンデ勢の速さが光る幕開けとなった。
追うトヨタ勢は、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が0.8秒遅れの総合3番手、その0.1秒後方には勝田貴元も続いている。
スプラッシュポイントを冷静に避けながら安定した走りを見せた勝田は、前大会スウェーデンで優勝争いを繰り広げたエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(ヒョンデi20 Nラリー1)を破り、「今回は面白い週末になりそうです。ベストを尽くして戦いたいと思います」と、まずまずなフィーリングを得ている様子だ。
一方、少し遅れを取るかたちのスタートとなったのは、Mスポーツ・フォードWRT勢だ。最高位は7番手のフルモーで、首位から2.2秒遅れとなっている。チームメイトのグレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ組(フォード・プーマ・ラリー1)も9番手と差を開けられてしまっている。開幕前には「天気によってレッキ時の状況が二転三転するんだ。クレイジーだよ」と不安を漏らしていたが、サバイバルなサファリをどのように戦い抜くだろうか。
WRC2クラスは、シェイクダウンから好調なガス・グリーンスミスとオリバー・ソルベルグのふたりが1.8秒差で首位争いを繰り広げている。同じシュコダ・ファビアRSラリー2を使っているということで、ドライバーの腕の差が垣間見える一騎打ちになりそうな予感だ。
本格的にラリーが始まる“フルデイ”となる大会二日目は、ループステージを含むSS2~7の6本で争われる。最初のSS2は、現地時間29日(金)8時15分(日本時間14時15分)に開始される予定だ。
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