この記事をまとめると
■災害時などにバスを活用した交通システムが「バス・ラピッド・トランジット(BRT)」だ
バスの電動化に合わせて運営もデジタル化……って日本より進んでる!? 新興国の侮れない公共交通機関の進化っぷり
■バスはダイヤなどが不安定なのでそれを解消するのが「BRT」の役割だ
■過疎地域においては鉄道よりも維持管理がローコストな点が光る
災害時の頼みの綱「BRT」とは
バス・ラピッド・トランジット(BRT)とは、まだ耳慣れない言葉かもしれない。バスを活用して、効率よく、的確に、また便利に使える交通システムをいう。
国内では、東日本大震災により太平洋沿岸地域の鉄道路線が打撃を受け、交通に支障が出た際に活用された。
一般に、バスでの移動は、交通渋滞などがあって時間に正確でなかったり、鉄道に比べ移動時間が余計にかかったりという不便さを覚える場合がある。あるいは、朝夕の通勤通学時間帯には多くの便数で輸送が行われる反面、日中は便数が減り、待ち時間が長くなるといった懸念も考えられる。
そうしたバスへの不安や不満を解消しようというのが、バス・ラピッド・トランジットだ。
たとえば、連接バスを使い1回の乗車人数をより多く確保するとか、バス専用やバス優先の道路を設け、渋滞の懸念をなくす、交差点でバスの通行を優先する、車内での清算を止め事前に料金の支払いを済ませるようにする、停留所とバスの床の高さを合わせるためプラットフォームを設ける……などなど、バス移動で考えられる不都合を解消し、利便性を高める。
東日本大震災におけるJR東日本の取り組みでは、鉄道の線路脇の敷地を活用してバス専用道路を設けたり、運行を続けている鉄道のホームからそのままバスに乗り換えられるようにバスをホームに横づけできるようにしたり、鉄道にはない場所に新たな停留所(駅)を設けたり、その駅にはトイレや待合室を設置したり、GPSを活用してバスの運行状況をわかりやすく表示したりといった施策が行われた。
日本の鉄道の定時運行と、その運賃の適正さや便利さ、それらによる快適さには定評がある。だが一方で、不採算路線の廃止など、災害時の課題のみならず、全国的に鉄道を軸とした公共交通の在り方が問い直される状況にある。
そこで、バスが代替手段として用いられることが多い。しかし、それによって鉄道で得られた利便性が損なわれたのでは、生活環境の悪化につながる。たとえば、バス専用道路の敷設は、鉄道の線路に比べ容易に整備できるだろうし、保線が必要な鉄道に比べ維持管理がしやすかったりするのではないか。そこは、公共交通の設置への投資額を抑えることにもつながる。
栃木県宇都宮市のトラム(路面電車)の新設も、改めて公共交通の在り方を再発見する話題のひとつだが、必ずしも路面電車を新設できる自治体ばかりではなく、より簡便に設置できる可能性を持つBRTを知ることは、移動の自由を広げ、クルマの所有やシェアリングとは別の一案ではないか。
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みんなのコメント
新潟のようにBRTが名ばかりで終わったケースもあるし、東京BRTも専用道路を走るわけではない。