現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 山田宏の[タイヤで語るバイクとレース」Vol.61「テストなのにロッシ+ドゥカティの初走行に沸く!」

ここから本文です

山田宏の[タイヤで語るバイクとレース」Vol.61「テストなのにロッシ+ドゥカティの初走行に沸く!」

掲載
山田宏の[タイヤで語るバイクとレース」Vol.61「テストなのにロッシ+ドゥカティの初走行に沸く!」

2010年はロレンソ選手がタイトル獲得

連載:山田宏の[タイヤで語るバイクとレース]【独占Webコラム】

ブリヂストンがMotoGP(ロードレース世界選手権)でタイヤサプライヤーだった時代に総責任者を務め、2019年7月にブリヂストンを定年退職された山田宏さんが、その当時を振り返ります。2010年のMotoGPは、ヤマハワークスチームのホルヘ・ロレンソ選手がチャンピオンに。ブリヂストンはワンメイク2年目のシーズンを、きめ細やかな対応で乗り切りました。

TEXT: Toru TAMIYA

ライバル勢の怪我もあって、シーズンを圧勝したロレンソ選手

前回話題にしたように、“火星のような”場所にあるサーキットで初めて開催された2010年のアラゴンGP。その翌戦は、本来なら4月開催予定だったのにアイスランドでの火山噴火による影響で10月に延期された、第14戦日本GPでした。チャンピオンシップは、ヤマハワークスチームのホルヘ・ロレンソ選手が、ホンダワークスチームのダニ・ペドロサ選手を56点リードしたランキングトップ。この日本GPを含めて残り5戦でしたから、ペドロサ選手としては挽回に向けて後がない状態だったのですが、蓋を開けてみたらペドロサ選手はFP1(練習走行1回目)の3周目に転倒して負傷……。これにより、ロレンソ選手のチャンピオンがほぼ確実になりました。ペドロサ選手は日本でもファンが多いライダーのひとりですから、欠場にガッカリした記憶があるMotoGP好きの方々も多いかもしれません。

―― 2010年第14戦 日本GPで3位争いを繰り広げた#46バレンティーノ・ロッシ選手と#99ホルヘ・ロレンソ選手。

ちなみにこの年は、あのバレンティーノ・ロッシ選手が初めてブリヂストンブースでのトークショーに参加してくれて、そのことはこのコラムの第50回で話題にしたのですが、このトークショーにはこの年に日本人で唯一MotoGPクラスにフル参戦するライダーだった青山博一選手も参加してくれました。当時に別の媒体で書いたコラムを読み返してみたら、青山選手のトークショーでは、ロッシ選手の“足出し”が話題になったようです。

そしてこの年のチャンピオンシップは、日本GPの翌戦となった第15戦マレーシアGPで3位に入ったロレンソ選手が、自身初のシリーズタイトルを獲得。ライバルのロッシ選手とペドロサ選手がケガで戦列を離れる時期があったことから、シーズンが終わってみれば2位のペドロサ選手とは139ポイント差という、ロレンソ選手の圧勝となりました。ブリヂストンとしては、MotoGPでワンメイク2年目のシーズン。その序盤から中盤にかけ、ライダーからはタイヤのウォームアップ性に関してリクエストがあったので、気温が下がるラスト3戦はリヤのソフト側にそれまで使っていなかったエキストラソフトコンパウンドを導入するなど、対応面での細かい調整はあったのですが、用意するタイヤのスペックは基本的に大きな変更を加えませんでした。とはいえ、シーズンスタート前にソフトとミディアムのコンパウンドを改良して、温度レンジをよりワイド化。それらの成果もあって、満足できる内容のシーズンとなりました。

―― 左はマレーシアGPでタイトルを獲得したJ・ロレンソ選手。右は最終戦バレンシアGPでさらに勝利を重ねたときのものだ。 [写真タップで拡大]

ストーナー選手はホンダ、そしてロッシ選手はドゥカティへ!

この年も、シーズンを締めくくったのはスペインのバレンシアGPでしたが、この最終戦および決勝日の翌々日から2日間実施されるバレンシアテスト(翌シーズンに向けた事後テスト)は、とても注目を集めました。というのも、この年でロッシ選手がヤマハを去り、翌年からドゥカティワークスチームに移籍。そしてケーシー・ストーナー選手が、ドゥカティからホンダワークスチームに移籍するためです。2人のチャンピオン経験者、そしてMotoGPライダーの中でも別格のロッシ選手がメーカーを変更するのですから、話題にならないわけがありません。

―― 2010年でヤマハにいったん別れを告げることになったV・ロッシ選手。バレンシアGPのレースウィークにはさまざまな催し事も。

バレンシアGPのレースウィークにはレース以外にも数々のイベントがあり、金曜日に招かれたのはヤマハのパーティ。パドックのVIPビレッジで開催された会には150名くらいが集まりました。パーティは2部構成で、第1部はロレンソ選手のチャンピオン祝賀会で、第2部がロッシ選手のお別れ会。ロッシ選手だけでなく、チームスタッフやメカニックなど、この年でチームを去る人たちが1人ずつ紹介され、しかも各自のメモリアルビデオが流されていました。あのような演出は、心がすごく温かくなります。また、スポンサーもそれぞれ壇上に呼ばれ、タイトル獲得記念の盾をいただきました。

そしてその翌々日、バレンシアテストがスタートするわけですが、やはりロッシ選手が母国イタリアのドゥカティに乗り、しかもストーナー選手がホンダデビューとあって、サーキットには例年以上の観客が集まりました。イタリア人ジャーナリストたちは舞い上がって、走行開始の1時間も前からロッシ選手のトレーラー周辺に群がるほど。ところが、この日はあいにく天候が悪く、朝に降った雨で路面がぬれている状態で、時間になっても誰ひとりとして走り出しません。それでもロッシ選手のピット前にはものスゴい数のカメラが待機。イタリアのテレビ局は、走行開始予定時間の10時からずっと生中継していたので、1台も走っていないコースをバックに、解説者は時間をつなぐのに四苦八苦していたそうです。ロッシ選手のピットも、シャッターが閉まったままでしたしね。

まあ、とはいえ路面は徐々に乾いて、午後にはみんな走行開始。2日間のテストは翌年にフル参戦するメンバーが全員参加して、無事に終了しました。私も非常に興味があった、ロッシ選手とストーナー選手のメーカーチェンジ。そこで走行終了後には、両選手にみずからコメントを聞きに行きました。2人とも、かなりポジティブなコメントだったのを覚えています。面白いのですが、このバレンシアテストというのは例年、メーカーを変えたライダーが「今年のマシンよりいい」なんて、揃いも揃ってポジティブなコメントを残す傾向にあります。本当はそんなこと、あり得ないはずなんですけどね。翌年に向けて、ライダーのモチベーションが高まるからだと思うのですが、これはバレンシアテストの“あるある”ネタです。

―― こちらは年が明けて2011年2月のウインターテストにて。ドゥカティレッドに染まったロッシ選手は2012年まで在籍する。 [写真タップで拡大]

※本記事の内容はオリジナルサイト公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

トヨタ「86シューティングブレークコンセプト」が凄かった! “クーペじゃない”まさかの「ワゴンスタイル」採用! 歴代最大級の“室内空間”で実用性アップの「FRスポーツカー」とは?
トヨタ「86シューティングブレークコンセプト」が凄かった! “クーペじゃない”まさかの「ワゴンスタイル」採用! 歴代最大級の“室内空間”で実用性アップの「FRスポーツカー」とは?
くるまのニュース
主人公を覚醒させた頭文字Dのガムテープデスマッチ! 現実的にはやっても「メリットなし」の可能性大
主人公を覚醒させた頭文字Dのガムテープデスマッチ! 現実的にはやっても「メリットなし」の可能性大
WEB CARTOP
アルピーヌが2027年からギヤボックス“内製化”を目指す理由とは? F1新時代ではメルセデスPUカスタマー入りが決定済み
アルピーヌが2027年からギヤボックス“内製化”を目指す理由とは? F1新時代ではメルセデスPUカスタマー入りが決定済み
motorsport.com 日本版
【クルマら部】クルマ愛クイズ!『2代目ロードスター(NB)』全4問・解答編!
【クルマら部】クルマ愛クイズ!『2代目ロードスター(NB)』全4問・解答編!
レスポンス
216万円! ホンダ「6速MT&ターボ」採用の「N-ONE RS」に反響多し! 「“反転TURBOステッカー”って渋い」「スポーティでカッコイイ」の声も! 運転楽しそうな「軽ハッチ」に熱視線!
216万円! ホンダ「6速MT&ターボ」採用の「N-ONE RS」に反響多し! 「“反転TURBOステッカー”って渋い」「スポーティでカッコイイ」の声も! 運転楽しそうな「軽ハッチ」に熱視線!
くるまのニュース
〈CES2025〉NVIDIA、自動車向けの取り組み発表 トヨタやコンチネンタルと次世代車を開発
〈CES2025〉NVIDIA、自動車向けの取り組み発表 トヨタやコンチネンタルと次世代車を開発
日刊自動車新聞
【MotoGP】バニャイヤ、2024年のパフォーマンスは「2019年のマルケスと同等だった」と自負見せる
【MotoGP】バニャイヤ、2024年のパフォーマンスは「2019年のマルケスと同等だった」と自負見せる
motorsport.com 日本版
信号待ちで無意味に「ジワっと前に寄せる」ナゾ行為にモヤモヤ 「後続みんな動かなきゃじゃん!」 なぜするのか、交通心理士が一刀両断!
信号待ちで無意味に「ジワっと前に寄せる」ナゾ行為にモヤモヤ 「後続みんな動かなきゃじゃん!」 なぜするのか、交通心理士が一刀両断!
乗りものニュース
2/12申込締切 誰も教えてくれないカーシェア法人ユーザー決裁者の本音~市場の40%を占める最重要セグメントを攻略するシナリオ~
2/12申込締切 誰も教えてくれないカーシェア法人ユーザー決裁者の本音~市場の40%を占める最重要セグメントを攻略するシナリオ~
レスポンス
トヨタ車体が斬新「SUVミニバン」公開して反響多数! ありそうで無かった“ちょうどいい”サイズ!  コンセプトだけど開放感スゴイ「ドア」採用した「クロスバン ギア」とは
トヨタ車体が斬新「SUVミニバン」公開して反響多数! ありそうで無かった“ちょうどいい”サイズ! コンセプトだけど開放感スゴイ「ドア」採用した「クロスバン ギア」とは
くるまのニュース
トヨタ新型「クラウン・エステート」に“2025年春に発売”との新情報! 注目モデルは“レジャードライブ”に使える? 荷室は使いやすい?
トヨタ新型「クラウン・エステート」に“2025年春に発売”との新情報! 注目モデルは“レジャードライブ”に使える? 荷室は使いやすい?
VAGUE
2025年 激変する“原付界隈”をホンダ企業広報が回答
2025年 激変する“原付界隈”をホンダ企業広報が回答
バイクのニュース
判断が間違っていたと証明するだけ……角田裕毅、レッドブル昇格を果たせずも自身の成長確信「重要なのはチームが信頼してくれていること」
判断が間違っていたと証明するだけ……角田裕毅、レッドブル昇格を果たせずも自身の成長確信「重要なのはチームが信頼してくれていること」
motorsport.com 日本版
ディフェンダー、ダカールラリーおよびW2RCへの3年間参戦概要を発表・壮大なアドベンチャーの幕開け!
ディフェンダー、ダカールラリーおよびW2RCへの3年間参戦概要を発表・壮大なアドベンチャーの幕開け!
LE VOLANT CARSMEET WEB
〈CES2025〉ソニー・ホンダ、新型EVの量産第1弾モデル「アフィーラ1」を発表 価格は1400万円から
〈CES2025〉ソニー・ホンダ、新型EVの量産第1弾モデル「アフィーラ1」を発表 価格は1400万円から
日刊自動車新聞
【2024写真蔵トップ10】<第1位>「エアー」と「クロスター」の2タイプでデビューした、ホンダ 新型フリード
【2024写真蔵トップ10】<第1位>「エアー」と「クロスター」の2タイプでデビューした、ホンダ 新型フリード
Webモーターマガジン
ダカールラリーはステージ2終えトヨタのラテガンが総合首位。サインツSr.は車両ダメージにより“終戦”
ダカールラリーはステージ2終えトヨタのラテガンが総合首位。サインツSr.は車両ダメージにより“終戦”
motorsport.com 日本版
レッドブル、バイビットとの年間5000万ドルのパートナーシップを終了
レッドブル、バイビットとの年間5000万ドルのパートナーシップを終了
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村