愛車を見せてもらえば、その人の人生が見えてくる。気になる人のクルマに隠されたエピソードをたずねるシリーズ第18回の前編。伊藤英明さんがこれまで乗り継いだ愛車を語る!
『よろしくメカドック』に憧れて
“Z”にはいろんなひとの思いが詰まっている──新型日産フェアレディZ試乗記
伊藤英明さんがクルマを好きになったきっかけは、1982年から「週刊少年ジャンプ」で連載が始まり、後にテレビアニメにもなったマンガ『よろしくメカドック』だったという。
「アニメを見たのは小学校の低学年から中学年にかけてですね。2代目のトヨタ『セリカXX』というクルマが登場するんですけれど、デジタルメーターが斬新だったし、ニトロを積んで公道を走るという設定にもシビれました。あとはホンダの『シティ・ターボII』とか『シビック』も印象に残っていますね」
ニトロとは、亜酸化窒素を用いて燃焼をアシストする出力増強装置で、ドラッグレースの盛んなアメリカで流行した。映画『ワイルド・スピード』にも、NOS(Nitrous Oxide System)という名称で登場している。
「クルマとかバイクとかエンジンが大好きになって、工業高校に進んでからもガソリンスタンドでバイトをしました。18歳で運転免許を取得して最初に運転したのは、当時親父が乗っていたトヨタの『マークII』のディーゼル 。80系っていうのかな、バブル期にハイソカーとして流行ったやつです。」
“名車の予感”というキャッチフレーズで話題となった6代目マークIIは、バブル景気真っ只中の1988年に登場し、大ヒット。とくに白いボディカラーのハードトップは、当時を象徴する1台だった。
「あとは幼少期の思い出にあるのはおふくろが乗っていたスズキ『セルボ』(2代目)かな。たしか赤いセルボで、それに4人でぎゅうぎゅう詰めになって乗ったりしていました(笑)」
1993年に「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で準グランプリを獲得、上京して俳優として活動が軌道に乗った1990年代の後半に、初めて所有するクルマとしてボルボV70を購入した。
「田舎育ちでアウトドアも好きなので、ボルボのワゴンがいいかな、と。あと、カクカクした感じとレトロ感に憧れたんですね。色は赤でした。理由ですか? 赤が好きだったんです」
けれども、このボルボには1年も乗らなかったという。
「僕、日本で乗るならコンパクトなクルマがいいと思ったんですね。狭い土地で大きなクルマには乗りたくないというか。アメリカに行ったら大きなアメ車に乗りたいし、イタリアで暮らすなら黄色とか赤のフェラーリに乗ってみたい。それで次に、ふたり乗りのメルセデス・ベンツ『SLK』にしました。初代のSLKで、金属のルーフが開いてオープンになるやつです。でも、SLKに乗りながら、やっぱりポルシェのほうがいいかなと思ったんです」
ここから、伊藤さんとポルシェの付き合いが始まる。
最初は初代「ボクスター」のティプトロニック、続いて996型と呼ばれる初めて水冷エンジンを積んだ「911」、そして2002年にポルシェが初めて開発したSUV、「カイエン」に乗り換えた。
「僕のカイエンは、多分日本に最初に入ってきたうちの1台だと思います。クルマにあまり興味のない人はカイエンなんて知らない時期で、そうそう、雨が降るとヘッドランプの内側が水滴で曇っちゃって、すぐにマイナーチェンジで改良されましたけれど。ポルシェの金色のエンブレムをシルバーにカスタマイズしましたね」
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「アメリカで乗ったのが、アウディ『Q8』とアバルトだったんです。アウディは主に妻が乗って、僕はマニュアル・トランスミッションのアバルトを楽しみました。よく走るし、エンジン音もいいし、コンパクトだし、カースタントの練習にもなる。だからアバルトを見ると、懐かしい気持ちになりますね」
カースタントの練習のため、というのはちょっと意外かもしれない。なぜか?
「できることなら代役を立てず、自分でやりたいんですよ。たとえばトム・クルーズの映画を観て思うのは、アクション・シーンがすべて“ホンモノ”だからこそ迫力があるじゃないですか? 僕も“ホンモノ”にしたいんです。もちろんマニュアルだからなんでもいいというわけではないですよ。練習だからフェラーリに乗るわけにはいかない(笑)。だからエンジン音とかでフェラーリをちょっと彷彿とさせるアバルトはぴったりでした」
そう言ってじっくりとアバルトを眺めてから、伊藤さんはおもむろに運転席に乗り込んだ。そして丁寧な所作でエンジンを始動する。
「いいなぁ、やっぱり低いギヤで引っ張って走りたくなりますよね。引っ張るといっても、2速で引っ張ると結構なスピードになっちゃうんですけど。やっぱりこういうクルマは、2速、3速までが楽しいですね。アメリカって舗装が悪いから、スピードを上げるとちょっと怖いんですよ。特に雨の日とか、サンディエゴにある5車線の道路で、フーっと浮くような感じがしてビビりながら運転したことを思い出しました。懐かしいな……」
伊藤さんは、マニュアル・トランスミッションをリズミカルに操って、楽しそうにアバルトをドライブする。
「やっぱりマニュアル(・トランスミッション)って、自分でクルマをコントロールする楽しみがありますよね。僕は乗馬も好きなんですけど、乗馬も、“こっちに行きたいでしょ”と馬に伝えて、コントロールするわけじゃないですか。そのへんは共通する楽しさがあると思います。もちろん時にはヒヤっとする場面もありますがそれはそれで必要なんです。ギリギリの状況を知らないと、僕らって成立しない職業だと思うので。さまざまな景色を知ったうえで芝居するのと、知らないで芝居するのとでは違います」
ちなみにマニュアル・トランスミッション車を所有したのはアメリカでのアバルトのみという。
「ただ、マニュアル(・トランスミッション)で気になるクルマはいくつもありますよ。日本車だと日産『GT-R(R32型)』が欲しいし、スバルの『インプレッサWRX』も欲しいし、三菱でいうと『ランサーエボリューション』とか。マニュアルが好きな人ってクルマ好きな人が多いじゃないですか? そういうひとたちに向けて開発されているから、やっぱり運転して楽しいんです。そういえば最近のトヨタは、トップの豊田章男さん自身がクルマ好きだから、クルマ好きのためのクルマを作っているじゃないですか? それってクルマ好きには嬉しいことですよね」
後編では、伊藤さんが常に追いかけているという、“映画を彩るクルマ”について綴る。
【プロフィール】伊藤英明(いとうひであき)1975年8月3日生まれ、岐阜県出身。1997年にドラマ『デッサン』で俳優として始動、2000年に『YASHA―夜叉―』でドラマ初主演し、同年に『Blister』で映画初主演も果たす。2004年に主演映画『海猿 ウミザル』が大ヒットし、翌年に『海猿 EVOLUTION』として連続ドラマになったほか、映画もシリーズ化された。Netflix『エイジ・オブ・サムライ:天下統一への戦い』(2021年)など海外作品でも活躍している。
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文・サトータケシ 写真・角田修一 ヘアー&メイク・うらたなおみ スタイリスト・根岸豪 編集・稲垣邦康(GQ) 撮影協力・川崎キングスカイフロント東急REIホテル
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あと、・を使って区切る目安は何?
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