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【試乗】サーキットでは猛獣! ワインディングでは高級サルーン! マクラーレン750Sの進化っぷりに唖然

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【試乗】サーキットでは猛獣! ワインディングでは高級サルーン! マクラーレン750Sの進化っぷりに唖然

 この記事をまとめると

■720Sから750Sへと進化を果たした新型マクラーレンに試乗した

眉唾っぽい逸話溢れる自動車メーカーエンブレムの由来! とくに気になる5つのメーカーの真相を探った

■ワインディングでは「コンフォート」モードの乗り心地のよさに感服

■サーキットでは750馬力・800Nmのスペックが驚異的であることを思い知らされた

 720馬力から750馬力へと進化したマクラーレン

 マクラーレン720Sの誕生からすでに6年。スーパースポーツの世界に流れる時間が、驚くべき速さであることを考えれば、720Sにもそろそろ新たな進化のタイミングが迫っていたのは事実だった。その意識はマクラーレン自身にもあったのだろう。彼らは先日、720Sを新たに750Sへとモデルチェンジ。

 そもそもスタイリング的にも、またメカニズムにおいても、いわゆる古さなどまったく感じさせなかった720Sをいかにして次世代モデルへと進化させるのか。試乗前にわかっていたのは、その車名が物語るとおりの30馬力のパワーアップと、エクステリアのディテールが微妙に変化していること、正直ただそれだけであった。

 今回はそのマクラーレンのNEWスーパーカー、750Sのパフォーマンスを、ポルトガルのオンロードと、かつてのグランプリサーキットであるエストリルで試乗することができたので、さっそくリポートを始めることにしよう。

 ちなみに750Sには720Sと同様にクーペとスパイダーの両モデルがあり、試乗のプログラムはまずオンロードでスパイダーを、そしてエストリルサーキットでオプションのロールケージやレーシングバケットシート、それにフルハーネスシートベルトなどを装備したクーペの走りを体験することができるというものだった。

 750Sのエクステリアデザインは、720Sのそれを基本的にはそのまま継承しているものの、そのディテールではさらなるエアロダイナミクス向上のために、積極的な改良策が施されている。

 フロントのスプリッターはより拡大され、これまで以上に大きなダウンフォースを得ることに成功。エアインテークと一体となるアイソケットと呼ばれる特徴的なヘッドライト部のデザインもやや細く、そしてリヤホイールアーチのベントもデザインが改められた。

 ちなみに高速域からのブレーキング時にはエアブレーキとして、またDRS(ドラッグ低減装置)としても機能するリヤウイングは、その面積が20%拡大され、同時にハイマウントのエキゾーストシステムなど、765LTから受け継がれた設計により、結果としてダウンフォース量は720S比で15%も拡大。

 クーペとスパイダーとではそれが展開する角度や速度の最適値が異なるため、当然設定値は両モデルで違う。

 30馬力のパワーアップ以上に進化していたドライビングプレジャー

 スパイダーのドライブを始めてまず強く感じたのは、その乗り心地の素晴らしさだ。モノケージIIと呼ばれるカーボンモノコックを基本構造体に用いる750Sは、720Sのそれに対してさらに30kgも軽量化されているというが、その剛性感こそがこの感動的な乗り心地を生み出す大きな理由だ。

 ドライバーは自身の好みで「コンフォート」、「スポーツ」、「トラック」の各モードを、パワートレイン、シャシーの各々で選択することができるが、「コンフォート」ならば、まさに高級サルーンなみの快適な走行が楽しめるのだから驚く。

 ステアリングホイール上にはひとつもスイッチを持たない750Sだが、このメーターカバーの左右に配置されるアクティブ・ダイナミクス・スイッチの操作性は悪くはない。さらに、ハンドリングやエアロダイナミクス、パワートレインなどのセッティングを自分の好みに設定しておけば、センターコンソールのMCL(マクラーレン・コントロール・ローンチャー)スイッチひとつで、それを瞬時に再現できる機構も便利だった。

 試乗ルートの途中にあったワインディングロードでは、今回そのギヤ比がクイックな方向に改められたステアリングと、第3世代へ進化したというプロアクティブ・サスペンションのナチュラルな動きに感動させられた。

 ミッドに搭載される4リッターのV型8気筒ツインターボエンジンは、いわゆるターボラグを感じさせることもなく、中高速域での魅力的なトルク感をドライバーに伝えながらコーナーをクリアしていく。ここにはやはり軽さという、マクラーレンの絶対的なアドバンテージも影響しているのだろう。

 エストリル・サーキットに戻って、今度はクーペの試乗を行う。まずは再度V型8気筒エンジンのパフォーマンスをフルに味わってみたが、最高出力の750馬力、最大トルクの800Nmはやはり驚異的なスペックであることを改めて思い知らされる。

 それに対する車重は最軽量モデルの乾燥重量で1277kg。話は若干前後するが、スパイダーはカーボン製のアッパー・ストラクチャーとコンポジット製のRHT(リトラクタブル・ハードトップ)を採用した関係で、クーペからの重量増はわずか49kg。そのハンディは、一例として0-200km/h加速データを比較しても、クーペの7.2秒に対してスパイダーは7.3秒とないに等しい。

 前後のタイヤにピレリ製のPゼロ・トロフェオRを装着した750Sの走りは、まさにサーキットスペシャルといった印象だった。フロントで3%ソフトに、リヤでは4%ハードに設定が改められたスプリングレートとPPC IIIの動き、そしてフロントトレッドが6mmプラスされたフットワークの狙いは、おもに操舵初期のノーズの動きをより軽快なものにすることにあるようで、もちろんその後もコーナーの大きさにかかわらず、750Sは常に安定した姿勢に終始してくれる。

 アルティメット・シリーズのファーストモデルであるP1よりも高性能な動力性能を発揮する750Sのパワーユニット。そのトルクのピークは4000rpm付近で感じられ、もちろんレブリミットの8500rpmまで、そのスムースな回転は続く。M840T型と呼ばれるこのエンジンは、もちろん同型式の720S用の単なる排気量拡大版ではなく、超低慣性のツインスクロール型ターボのブースト圧アップやシリンダーの内圧アップ、さらには765LTと同じ軽量ピストンの採用に独自のエンジンマネージメントなど、その改良ポイントは広い範囲にわたる。

 エストリルで初めて試した「トラック」モードでの走りは、まさに獰猛な肉食動物のそれだ。ドライバーが望めば、さらにVDC(可変ドリフト・コントロール)によって、ESC(エレクトリック・スタビリティ・コントロール)のセッティングとは別に、トラクション・コントロールの介入レベルを調節することも可能。安全に750Sのもつパフォーマンスをフルに楽しめる環境がそこにはある。

 そういえば、「トラック」モードを選択するとメーターパネルがシンプルな横バーのデザインとなる、あの独特なギミックはどこに行ったのか? きっとそれもまた、ストイックな軽量化のために廃止されてしまったのだろう。マクラーレン750S。驚くべき進化の姿を見た1台だった。

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